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眼科医の本音

眼科に通院していて、いろいろ治療をうけても治らないとき

患者さんの心理を推し量ると...
「この病院でこのまま治療をうけても大丈夫なのか?」
という不安や疑念が湧いてくるのは当然ではないかと思います。

そういう時は、周囲の人たちから
「あそこの病院が良いらしから、いっそ病院を変わってみては?」
とアドバイスを受けられ、ほとんどの方が前の病院に黙って、来院されるケースがほとんどです。

そんな時、どうするのがベストなのか?

患者心理からすれば、
「この先生は一生懸命診療にあたってくれていたのだから、
こちらから"何処か別の病院を紹介してください"とは言いだしにくい」
というのが、自然なことかもしれません。

だからこそ、周りの意見やネットを検索して、前の病院に黙って
紹介状はもちろん持たず、治療内容も十分把握してない状態で他院を受診されるのでしょう。

先日、こんなことがありました。

角膜疾患の患者さんでした。
目にアルカリ性の薬剤が入り、重篤な「角膜化学腐食」を来たしていたと考えられます。
県内でも一番信頼できる大病院眼科に通院し、手術も受けられたとのことです。
その病院には私もたくさん患者さんを紹介させてもらっております。

ただ残念ながら、角膜の疾患治療については、その病院が日本でTOPという訳ではないのです。
「角膜疾患の治療」について広島県は、未だ日本のTOPレベルの治療
(内皮移植・幹細胞移植など)ができないという現実があります。

その病院でいろいろ手を尽くされ、患者さんも
「今も通院していますがあまり状態が変わりません。
でも先生には本当に感謝しています。
親身になって治療をして下さって...
ここまでしてもらったんだからもう十分!
見えなくなるのも運命だと諦めています。
でも、知り合いがどうしても「(私のところに)行ってみろ!」
というので、来て見ました」

ここまで至る経過をお聞きし、現在の治療薬も見せてもらいました。
当然ながら「○○先生も広島でできる治療は最大限に行っておられる」
ことをお告げいたしました。
患者さんは
「やっぱりそうですよね...
あそこで治療してもらって治らないのなら、私も覚悟を決めました」
と爽やかな笑顔になられたのです。

その先生は「患者さんから言われない限り、自分で最後まで(それだけの実力者ですから)
責任をもってあらゆる治療を試みる」という姿勢の先生です。
眼科の歴史においても、ここまでハイレベルの臨床をされる先生は全国でも数少ないと考えます。
私達凡人眼科医からみれば広島の宝です。
そのことは私もよく知っています。
ですから、患者さんが「別の病院を紹介してください」と言われなければ、
(腫瘍や未熟児網膜症などの手術を除いては)自ら他に紹介されることは少ないです。

ただ私が思うに、この症例については
「自己培養角膜幹細胞移植」or「自己口腔粘膜移植」を試みる価値があるのではないか?
これは現在の広島県では行えない治療なので、
「京都府立医大眼科」(その他の施設も行っていますが)に一度診察に行かれてみたらどうなのか?
と考えてしまいました(実際、当院から紹介させて頂いた患者さんがキレイに治っていましたので)

私は患者さんに、

一度「京都府立医大眼科」で診てもらっては如何でしょうか?
そこに行けば必ず治る保障はありませんが、少なくとも角膜疾患の全国的専門病院ですので
私から紹介状を書くよりも、一度前の病院の先生に相談して、治療経過を書いてもらって
そこから紹介してもらうのが一番だと思います。

とお告げしましたが、
患者さんは
「先生(私)が京都に行ってみろと言うなら診察には行きますが、ここまでお世話になった先生に
紹介してくれなどとそんな失礼なことはとても言えない!!」
と考えておられるようでした。

この考えは決してすべての医者がこう思っているのではないし、
誤解を招く恐れがあることも承知であるという前提で書きますが、

むしろ「こちらが切り札的な治療をしたにもかかわらず、
どうやっても治療がうまくいかない患者さん」については、
「別の医院を紹介してください」と相談されることは、
正直医者の心理からすれば「肩の荷が下りる」ということもあるのです。
医者も人間です!
治療がうまくいかない患者さんばかりの治療にあたれば、自分の未熟さ・医療の限界を
思い知らされDepressiveになってしまうものなのです。

○○先生も私と同じ心理ではないかと思いましたので、患者さんに
「少なくとも患者の依頼があって他院に紹介するのは医者の義務です。
また今回のケースはとてもレアなので、○○先生も京都府立医大ならば
快く紹介状を書いてくださいますよ!」
とアドバイスいたしました。

しばらくして
その患者さんが私のところへ来られました。

「先生(私)にはとても感謝いたします!○○先生は嫌な顔をするどころか、笑顔で紹介状を
書いて下さいました!京都でも治療が難しければまた、○○先生に診てもらおうと思います」

信じて通院してくださる患者さんには心から感謝しなければなりません。
しかしながら、一人の医者がすべての疾患の専門家であることは不可能です。
私は自分の専門以外の疾患で「私の手には終えない」と思った場合、
無理せず患者さんを紹介させてもらうことにしています。
もちろん上記に挙げた○○先生にもこれからもお世話になると思います。

以上、眼科医の本音でした...
この後、am7時からOpeです(~_~;)

閉じる コメント(23)

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のま先生 おはようございます。私も先生のご意見に全く同感です。自分が責任を持って診療を行えない疾患(小児眼科、斜弱、角膜疾患、網膜硝子体疾患、ぶどう膜疾患、神経眼科領域…あれっ、多すぎますね(笑))の患者様は、できるだけそれぞれのスペシャリストでいらっしゃる先生のところに紹介させていただくようにしています。
(もちろん、LASIK希望の患者さまは↑かおり先生の医院さんを紹介させていただくことにしました。)今日も手術お疲れさまでした。ポチさせていただきますね。

2008/4/23(水) 午前 9:06 [ - ]

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のま先生、肝心なことを忘れておりました。眼瞼疾患の患者さんに関しては、「多少遠方でもかまわないから、最高の医師を…」という患者さまにはのま先生のところを真っ先に紹介させていただきますね。

2008/4/23(水) 午前 9:19 [ - ]

確かに患者さんにも遠慮はあるし、医師にも遠慮が出てしまいがちですよね。。。また専門病院が遠方にある場合は経済的状況も関わってきますから余計に…。
でも両者にとって気持ちの良い紹介の形ができたのは幸いです。これはのまさんの仲介のおかげかも?
京都府立医大はうちからも数名患者さんをご紹介しています。角膜疾患で困ったときは部長もすぐ電話で問い合わせていますね。
頼りになる専門機関が近くにあると…こちらも紹介しやすいんですが。。。

2008/4/23(水) 午後 10:47 [ ちゃめ ]

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初めまして。いつもブログを拝見させていただいています。
私は某地方にて父とともに個人眼科をしています。

非常に共感できる記事であるとともに、考えさせられました。
自分の手に負えない患者さんを、より良い専門医に紹介することは医師の責務だと思います。
それと同時に、難しい症例を紹介してばかりいると、自分の医師としての技量が下がっていく気がして怖いのです。
開業医となった今は自分で学びスキルアップしていかなければならない訳ですが、そのために患者さんを犠牲にすることはあってはならないことです。

父の代から長年通院してくださる患者さんは、車で10分程度の総合病院にも行きたがらずに、慣れた医院で私のような若造に眼を預けて下さる方が多いです。

その方々の期待に応えるためにも、頑張らなければいけませんね。

2008/4/24(木) 午前 0:15 [ ちゃっぴ ]

>Alice先生、ポチありがとうございます!(^^)!
一人の医者ができることに限界があることを医師のみならず、
患者さんにも知ってもらったほうがよいと思いましたので(^_^;)

2008/4/24(木) 午前 8:23 のま眼科

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>あさがお様、コメントありがとうございます。不躾などとめっそうもありません。そのような悩みをもっておられる方は多いと思います。レーザー治療とはPDT(光線力学療法)のことでしょうか?
黄斑変性症にもclassic CNV、PCV、RAPと種類があり、それぞれにPDT治療の効果が異なります。また最近ではAvastin治療を併用することもあります。もしよろしければ私のメールアドレス(HP上に記しています)までメール下されば、状況によって紹介できる病院(広島県外も含め)をお伝えできるかもしれません。

2008/4/24(木) 午前 8:29 のま眼科

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>内緒さま、ご指摘通りですね!
私も歯医者さんはHPを頼りに探して通院しております(*^。^*)

2008/4/24(木) 午前 8:31 のま眼科

>かおり先生、おはようございます。一昨日は長々とまとまりのないコメをして申し訳ありませんでした。K.S.教授は私の専門医試験の試問担当でして、その時はとても怖い印象を持ちましたが、いつも患者さんを紹介させて頂いた折には丁寧に診療をしてくださり、しかも示唆溢れるお返事をいただけてとても感謝いたしております。Y井助教授、I講師皆さんにこの場を借りて厚くお礼もうしあげます。

2008/4/24(木) 午前 8:45 のま眼科

>(続き)かおり先生、激しいポチもありがとうございます(*^。^*)
先生のおっしゃる通りですね!まず診断力を磨くこと、そしてどういった治療があるのか(自分かできなくても)知っておくこと、そして可能ならば自分のできることは狭くてもいいから深く...それを遵守しておられるかおり先生はやはり名医です!(^^)!

2008/4/24(木) 午前 8:48 のま眼科

>ますい先生いつも大変お世話になります(^^♪
私も先生同様、斜弱視については当院に検査機器が揃っていないので、Stationalな状態でなければ紹介をメインにさせてもらっております。「どのクリニック、どのDrが本当のSpecialistであるか」を知っておくことも大事ですよね。加えて、各分野のSpecialistの先生と仲良くなって「紹介させて頂きやすい」ように、日頃から学会に出ていくことも大事だと思っています!(^^)!

2008/4/24(木) 午前 8:57 のま眼科

>ますい先生、眼瞼疾患の紹介のお言葉ありがとうございます。
しかし大阪えきさいかい病院に三戸先生が来られてますので、えきさいかい病院の方が近いですし、三戸先生の来院日に紹介されるのが現実的にはベストかもしれませんね(^^♪

2008/4/24(木) 午前 8:59 のま眼科

>ちゃめさん、ありがとうございます(^^♪
自分がその難疾患になったらどこで診て貰うか?を考えれば、やはり最高の選択肢があることも情報としてお伝えする義務があると思っています。京都府立医大眼科も京都駅から直通のバスで30分くらいですから、決して遠い距離ではないといわれる患者さんも多いのが助かります(^^♪

2008/4/24(木) 午前 9:03 のま眼科

>ちゃっぴさん、私とまったく同じ境涯ですね!しかも考え方も同じでとても嬉しいです(*^。^*)何でもかんでも紹介するばかりでは、自分のスキルも高まりません、だからこそ、学会に行ったり、手術見学に行ったりして、みんな頑張っているのですね。お互い頑張りましょうね!(^^)!

2008/4/24(木) 午前 9:06 のま眼科

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>内緒様、アタリです!!勉強会にはPCを持参いたします(^^♪
あのクソババアの店のあとでA5クラスの肉とはウレシイ限りです。
ヨロシクお願いいたします\(^o^)/

2008/4/24(木) 午後 11:39 のま眼科

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のま先生、お早うございます。
私も患者様から深刻な相談を受けたと時など、「うう、鬼、しけるのう」などとは言わないように注意しています。

2008/4/25(金) 午前 10:30 [ とし ]

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のま先生、
そんな時は、「○○ちゃん、しょうがないとあきらめろ」と励ますようにしています。

2008/4/25(金) 午前 10:33 [ とし ]

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>J-size先生、これから貴方のコメントに点数をつけたいと思います。評価はA(Adaptation:記事との適合性)B(Ban:放送禁止度)C(Comment:コメントのセンス)を競輪の班で点数にします。SS,S1,S2,A1,A2,A3の6段階評価です。
ちなみにまず「うう...しけるのお」は
A:A2,B:A1,C:A3です!過去ネタは評価が下がりますのでご注意クダサイ((+_+))

2008/4/26(土) 午前 7:23 のま眼科

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>J-size先生、これは多少評価に値するかもしれません
A:S2,B:A1,C:S1といったところでしょうか?
○○ちゃん(まみちゃん)はお亡くなりになりました。
ご冥福をお祈りいたします...

2008/4/26(土) 午前 7:25 のま眼科

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先生のおっしゃるとおりです。
これからも紹介させていただきますので、よろしくお願いします。

2008/5/9(金) 午前 11:10 [ ウォーリー ]

>stryper先生、こちらこそ急ぎの霰粒腫摘出、涙道内視鏡手術適応の患者さんは紹介させて頂きますのでよろしくお願いいたします。

2008/5/26(月) 午後 1:31 のま眼科


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