iPS細胞がつくる新しい医学
今さら私が述べるまでもないでしょう...
アメリカTIMES誌「世界でもっとも影響力のある100人」に選ばれ、
「ノーベル医学賞最有力候補」と目されている日本の至宝、
山中伸弥京都大学教授の「iPS細胞がつくる新しい医学」の講演を一昨日6/24に聴講して参りました。
18:30開場に間に合うよう、外来を早く済ませ開場前に到着するもすでに長蛇の列...
どんな学会でも必ず前で聴講する私は、前から3列目中央を何とか確保。
後ろを振り返るとすでに立ち見が生じる程の盛況ぶり...
左は山中教授広島講演実現の立役者である衆議院議員岸田文雄大臣
中央は広島大学学長浅原先生(私が眼科6年目の時に患ったお腹の腫瘍手術をして下さった外科医)
そして右が山中伸弥教授
膵臓から分泌されるインスリンの欠乏によって糖尿病が生じる。
糖尿病治療におけるインスリン注射は患者にとっては苦痛なもの...
ならば膵臓自体を移植するか、インスリン分泌を直接行う「すい島」を取り出して移植するか...
しかしどちらの方法も至極困難。よってこの例で言えば
「すい島」の細胞を人工的に作り出すことはできないものだろうか?
それどころか「再生医学」と言って、人の手であらゆる臓器や細胞を作り出すことができないか?
再生医学の切り札として登場した「ES細胞」はヒト受精卵の余剰胚を利用して作られる。
そして、このES細胞は人間のすべての細胞へと分化でき、ほぼ無限に増殖できるため、
好きなとき、必要なだけ「心臓、神経」などの細胞を作り出すことができる。
多くの病気は人体のとある細胞が欠損または(悪いように)変化することで生じる。
ならばその細胞をES細胞で作り出し、移植することができれば、あらゆる病気が克服できる!
しかしながら、ES細胞は受精卵からしか作成できず、自分の細胞とは異なるために、
移植後の拒絶反応が問題となる。
また拒絶反応のみならず、ヒトの胚(胚とはピノコのようなもの)を使用することは、
生命倫理として許すべきではない!とブッシュはES細胞の研究を激しく否定している。
その克服のために、皮膚の細胞を初期化してES細胞類似の万能細胞ができぬか?
と山中教授らのグループは研究を始められた。
マウスの実験にて、マウス皮膚細胞にES細胞の転写因子を組み入れ、試行錯誤を繰り返しながら
4つの重要な転写因子を探し出した(2006年)
さらに2007年にはついにヒトの皮膚細胞からES細胞類似の人工多幹細胞である
iPS細胞(Induced pluripotent stem cell)の作成に成功する(2007年)
iPS細胞は電子顕微鏡ではES細胞に酷似している。
iPS細胞は神経、心筋、その他あらゆる人体の細胞へと分化することができる
iPS細胞は細胞自身の移植のみならず、試験管レベル(in vitro)にて、分化した細胞を用いることで
種々の疾患の原因解明や、疾患に対する薬効・副作用をも評価できる。
間に小気味よいJokeも織り交ぜながら、時間にして約40分くらいの講演であった。
医師である私は勿論、一般の方にもとても理解しやすい内容であったと思う。
私の横では、4人組みの高校生(nattusdondon先生の後輩)が熱心に話に聴き入っていた。
(さすが東大進学率広島県TOPの座を維持する学校である!)