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1929年以来の世界恐慌が危惧されている。 しかし、当時と違うのは、実体経済を支える社会資本が格段に充実していることだろう。 インフラもソーシャル・キャピタルも、1929年の水準をはるかに凌駕している。 ありていに言って、現在の人類は60億人の生活を支えるのに十分な生産能力を潜在的には保持している。 したがって、経済や資本のような幻想を剥奪してしまい、進歩したテクノロジーを駆使して生産活動を効率よく行えば、理論的には餓死する者は激減するはずだ。 なぜなら、現在の世界は、食糧や機械などの物作りに直接的にはかかわらず、インターネット上で数字を操作するだけの人間に莫大な富を配分しながら、それでも何とか何十億もの人間の胃袋に食糧を供給し、飛行機を飛ばし、映画や音楽などの文化を生み出し、相対的な豊かさを実現しているからだ。 今回の騒動の中で、三菱UFJフィナンシャル・グループが米モルガン・スタンレーへの90億ドル(約9000億円)出資を前倒しで実行した。 具体的には、三菱UFJの担当者がモルガンスタンレーの本社を訪れ、額面90億ドルの小切手を一枚手渡したのだという。 ただの紙切れである。 90億ドルの数字を書き込んだ紙切れだけでブレーキがかかる世界大恐慌! 世界経済というものの虚構性をこれほど見事に映し出している光景はないだろう。 だから、経済という虚構を剥奪して、実体としての生産活動ベースで見れば、人類は決して恐慌に陥る必要はないのである。 経済活動には無駄や遊び、あるいは嘘や欺瞞が必要である。 預金者が銀行から一斉に資金を引き上げようとしたら、ただちに経済は破綻する。 「逃げろや逃げろどこまでも」的に、なにもかも先へ先へと繰り延べるからこそ、経済は成り立っている。 だから、株をやる人間がいてもいいし、数字を右から左に動かすだけで生きていく人間がいてもいい。 しかし、そんなことにうつつを抜かしている人間が増えすぎたのだ。 そういう人間を必要以上に増やすようなシステムを放置してきてしまったのだ。 金さえもうかれば勝ちというアメリカ発のグローバリゼーションに終止符を打たねばならない。 パソコンに向かって、数字を操作するだけの人間を減らし、彼らに寄生してギャラをもらうだけの人間を減らし、実業を通して社会に貢献する人間を増やすことができれば、さまざまな業界で深刻化している人手不足もずいぶん緩和されるはずだ。 医師不足も介護スタッフ不足も、少子化と高齢化社会による必然である。 ただ、それだけですませられる問題でもないのだ。 今の日本社会で虚業についている人間が多くなりすぎていることも、人手不足の一因である。 他者から富を収奪するだけで何かを生産することなく生きている人間をせめて半分に減らすことができたら、日本社会のさまざまな領域で起きている人手不足は劇的に軽減されるだろう。 そういう社会を生み出すインセンティブを、いったいどのように作り出せるかという問題が、実はこれからの日本社会における大きな政治課題なのである。
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訪問、コメントありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
2008/10/23(木) 午後 5:26 [ tamai000kinngoro ]
こちらこそ。
2008/10/24(金) 午前 6:55