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オジサン的マウンティング
映画「ボヘミアン・ラプソディー」がヒットしていて,若い人を含め,Queenの曲が改めて注目されています。
そういう状況になると,50代以上のオッサンは,「Queen人気は最初は日本からだったんだよね。ルックスに注目した日本の女の子たちが・・・云々」とか,「キラー・クイーンのときはイマイチだと思ったけど,渋谷陽一のサウンドストリートでボヘミアン・ラプソディーを初めて聴いたときはハンマーで頭を叩かれたみたいな衝撃を受けたね・・・云々」とか,「高校の合唱大会でサムバディー・トゥ・ラブを歌ったんだよね。たぶん日本で最初にクイーンの楽曲を合唱大会で歌った高校生じゃないかな,俺たち・・・云々」みたいなマウンティングをしてしまいがちです^^;
「村上春樹はやっぱり風の歌を聴けとか1973年のピンボールが良かったな。もちろん世界の終りとハードボイルドワンダーランドも。ノルウェイの森あたりからはあんまり読んでないんだけど・・・云々」的な言い方も,50代以上のオッサン(いや,私のことです^^;…)にありがちな「オジサン的マウンティング」です。
メジャーになる前から知っていたこと,ファンであったことを主張することで,自分の立場をより上位に置こうとする動機が透けて見えています。
長い間にわたって売れ続けているスーパースター的な存在は,幅広い世代に好かれているがゆえにこうしたオジサン的なマウンティング言説を生み出しがちです。
新しいアーティストがブレイクし始めた時にも似たことが起こりますが,この場合はオジサンに限らず,若い人でも,早い段階でファンであったことを主張することができれば,マウンティングができます。
そんなふうにマウンティングされると,された方の気持ちは萎えます。少しだけかもしれませんが。
結果的に,新しいアーティストのファンが増えることに対して,微妙にブレーキをかけることになります。
「私だけの〜でいて欲しい!」という気持ちのなせるわざかもしれませんが,優れたアーティストの作品をより広い範囲の人たちに享受してもらいたいのであれば,こうしたマウンティングは避けなければなりません。
イノベーター理論と文学
イノベーター理論というものがあります。
時代の変化の最先端に真っ先に反応するイノベーターと,変化を敏感に感じ取り早い段階でそれをキャッチアップする少数のアーリーアダプターと,それに少し遅れて動き始めるアーリーマジョリティーと,ゆっくり腰を上げるレイトマジョリティー。最後に,てこでも動かないラガードという5つのタイプに商品購入のあり方を分けるマーケティング理論です。
それぞれのタイプの人数バランスが正規分布のグラフを使って示されていて,その割合は「イノベーター:2.5%,アーリーアダプター:13.5%,アーリーマジョリティー:34.0%,レイトマジョリティー:34.0%,ラガード:16.0%」です。
商品購入ということだけではなく,文化のあり方や人間の生き方にも適用できそうな理論です。
小説を万年筆で書く時代がワープロで書く時代に変わっていく時に,イノベーターだったのは安部公房であり,アーリーアダプターは村上春樹であり,晩年にワープロで書いていたと思われる中上健次はレイトマジョリティーあたり,伊集院静や林真理子はラガードです。
デレク・シヴァーズが教えてくれたこと
イノベーターがアーリーアダプターに「まねすんじゃねえ!」と言ったり,アーリーアダプターがアーリーマジョリティーを「今ごろそんなことやっての?アホ!」と罵倒したり,アーリーマジョリティーがレイトマジョリティーを「遅れてるねぇ」と小バカにしたりしたら,ムーブメントは起こりません。
リーダーがフォロワーを自分と対等に扱うことができるかどうかが,ムーブメントを起こすことができるかどうかの鍵です。 教育の世界における変化も,そんなまなざしで捉えると面白いかもしれません。
「アクティブ・ラーニング」という言葉がフェイドアウトして「主体的・対話的で深い学び」という言葉に置き換えられた理由の1つは,「私が先。お前のは偽物」「ホントウのアクティブ・ラーニングは…」というようなマウンティング合戦にありました。
TEDでDerek Siversが語った「How to start a movement」というプレゼンのキモは,「最初のフォロワーが大事」ということではなく正確に言うと,「リーダーが最初のフォロワーを対等に扱うことが大事」ということなのです。 ※下のYouTube動画は,歯車マークをクリックすると日本語字幕をオンにできます。
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イノベーター理論、初めて聞きましたがよくわかります。「アクティブ・ラーニング」「主体的・対話的で深い学び」、これも初耳です。
2019/2/3(日) 午後 8:49
イノベーター理論。絶対に動かないラガードが16%というのは,何を根拠に算定しているのか…などと考えると,エセ科学っぽい感じもしますが,大枠はたぶんそうなんだろうな〜と思わせるものがあります。
2019/2/4(月) 午後 5:45
「アクティブ・ラーニング」と「主体的・対話的で深い学び」は文部科学省が使っている言葉です。2012年と2017年の日本の学校教育の世界における「新語・流行語大賞」です^^;
2019/2/4(月) 午後 5:49