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拝啓 おばちゃんです。 呪いの釘 最終回になりました。 11月1日 新しい作品になります。 宜しくお願いします。 皆様、ご支援ありがとうございます。お陰様で作品も数多くなりました。 読売れいんぼう掲載作品集『本』出版を目標に頑張る意欲が湧いています。 今後ともよろしくお願いいまします。 呪いの釘(3)
二人は大変心配になり「もし、『呪いの釘』ならどうなるのでしょう?」と、和尚様にすがるようにお尋ねました。返事に困った和尚様は腕組みをされると、真剣な顔つきで「まあ、じっくり様子をみましょう」とお答えになりました。 それからしばらくの間、お福さんは悲鳴ばかり上げていました。なにしろ自分の後ろに白い影が何度も表れるそうなんです。裏庭の掃除をしていると寒気がして、ふと振り返ると白い影が恨めしい顔で浮かび、どこからともなく冷ややかな風がヒュ〜と背筋に伝わりました。「ねえちゃん、また、でたぁ。」とお福さんは叫び声を上げ、その怖さに手を合わせ(私に、何も見えませんように。)と心で唱えました。毎日のように叫び声を上げるお福さん、その悲鳴を毎日聞き続けるお清さん、二人のそんな生活も月日は流れ、ある日の夕方、近所の人こんな話しを聞かせてくれました。 昔、透き通るような美しい若いお嫁さんがその家にいて、お婿さんにひどい裏切りをして、よその男の人と浮気をして家を出て行ったそうです。真面目なお婿さんは気が狂うほど嘆き、病に伏し他界したと言います。そのお婿さんの母親が、自分の息子を哀れに思い、裏切った若嫁に呪いをかけて毎晩のように釘を打ち込んだのではないかと。あの釘は、姑が若嫁に憎しみを込めた『呪いの釘』らしいのです。 その話しを聞いた、お清さんとお福さんはその事を和尚様に相談しました。 和尚様は、色々と対策を考えてくださいました。お知恵を頂いたお福さん、ある日、寒気がして再び白い影が立ったその時でした、「私は、あなたとは関係ないですよ。」と、冷静に気合いを入れ声に出して言ったのです。そしてハッキリ分かるように「私は、ここの若嫁ではありません。」と言うと、しっかり後ろを振り返りました。あっ、ほんとだ、そんなうつろな声がしたような、その途端、白い影はヒーュッ!と消えたのです。 お清さんもお福さんも、その後は勝手にぬいてしまった『呪いの釘』で、どんな事態になるのか心配でしたが、それから十数年たちました。 お清さんとお福さんは「和尚様、あれは『呪いの釘』だったのでしょうか?」と尋ねました。和尚様は考え深げに腕を組まれ「釘にも、好みがあるのでしょうな。」と、お答えになりました。そして和尚様は笑顔を見せられました。 そして、それ以来お福さんが後ろを振り返っても白い影が表れることはありません。 ひょっとすると、和尚様は心のなかで(もう誰も恨まず成仏なされよ)と、白い影の母親へ手を合わせてくださったのかもしれません。 |

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