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僕は新大阪駅で下車し、タクシー乗り場に向かった。とくに並んでもいない。僕はすんなりタクシーに乗ることが出来た。
僕が乗ったタクシーのドライバーさんはとても笑顔が素敵な男性だった。50前後だろうか。白髪混じりの頭は整髪剤で綺麗に整えられ清潔感がある。車内の温度調節も素晴らしく、急発進急ブレーキもない。これぞ優良ドライバーといった感じだ。 目的地に順調に向かっていたが、ドライバーさんを見ると小刻みに震えている。お手本の様な安全運転をしてくれているので車内には目立った振動はない。しかしドライバーさんだけが明らかに振動している。それも時間が経つにつれ強く。また強く。 どうしたんだろう。 僕はドライバーさんから目が離せなくなった。ただただ見つめるドライバーさんの揺れる白髪頭。するとドライバーさんの振動が止まった。そして車もゆっくり停まった。信号ではない。普通の路肩だ。ドライバーさんがゆっくり振り返り血走った目で口を開いた。 「申し訳ございません」 まさかの謝罪。何故だ。謝罪することはあっても、謝罪される覚えはない。 「どうしたんですか」僕は聞く。 「それが、急激に、お腹が痛く、なりまして、あの、トイレに、行かせていただいても、よろしい、でしょうか」 冷や汗と句読点の多さと顎の筋肉が「限界」を物語っている。 「もし、お急ぎでしたら、我慢しますので」 絶対に無理だ。そしてそんな一か八かにかけられても困る。「我慢」を選択した結果「失敗」されたら一大事だ。とんでもない「悪臭」立ち込めるタクシー移動ほどの地獄はない。 僕は刑事ドラマで見る「前の車を追ってください」のテンションで「早急にコンビニを探してください」とドライバーさんに告げた。 あの優良ドライバーさんが初めて急発進をした。 つづく。 ほいでは。 |

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