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〜箱根の山を丹沢の二の舞にしないために〜
2015年8月28日(金) 二ホンジカ過食圧地をみる視察・見学会レポート その3 主催;小田原山盛の会
講師;古林賢恒(元東京農工大森林生物保全学・シカ問題の専門家)
小田原山盛の会は今年度県の助成により、シカ専門家の古林賢恒氏の指導をうけ、箱根外輪山のシカ調査を実施しております。想像以上に進んでいた過食圧地を見て頂くため、先日実施された火打石岳での視察会レポートその3をお送りします。
火打石岳稜線のエゴノキ。樹皮食いによる剥皮でこの木は枯れる運命です。山頂稜線の樹木は角こすりや樹皮はぎや、噛み折りなど何らかの損傷を受け・・・。
シカ道が無数にあり、林床植生は過食圧により乏しく、次世代の木はほとんど枯れています。
丹沢並みだ❣という声が聞こえます。稜線のササのない林床はこのような所が広がりつつあります。
不嗜好性植物のツルシキミやマツカゼソウが群生している所もありました。耐性のない植物は退行し、植生の多様性が失われます。
クリック拡大。不嗜好性植物。
ササ地の改良のため植栽されたイチイ林も確認できた範囲はすべてこのように樹皮が食べられていました。
私達がシカ広場と呼んでいる草原です。低木が経年採食により矮性化し、盆栽状となっていました。シカの休憩跡も見つかりました。
下りの人工林ではシカのヌタ場(繁殖期、♂が泥浴びをする。)を観察し、そのような所に落ちているシカの毛を探しました。
帰路、林道の堰堤や土捨て場を視察。ここは刈りはらわれている訳ではありません。シカが常時採食するため草本も低木も上に伸びることができないのです。林道の谷部にはこのような土捨て場が必ずあり、最近できた林道の土捨て場は皆シカの増殖場になっています。
クリック拡大。
これは今年度3〜8月までに踏査したコースを表したものです。
生活痕跡が多量にあり、植生の矮性化や劣化が認められる所を赤線にしています。青線は生活痕があるものの劣化には至っていない所です。外輪山東部の稜線はおおよそ過食圧がかかっている状況が分かって頂けるかと思います。
今回ご案内できなかった所も、憂慮すべきところは多々あり、例えば明星ヶ岳の小田原市側はこのようになっています。
この広葉樹林は25年度から高標高では中止になった、広葉樹林本数調整伐(実生を増やすための採光間伐。)が10年ほど前に行われた所です。それによってシカが入り易くなり、生えてきた実生は食べられ、噛み折りや過食圧により低木が失われてしまいました。刈り込みに耐性のあるイヌツゲも枯れていました。
林床に見える緑はマルバフジバカマやマツカゼソウなど不嗜好性植物です。森林は植生の階層性(高層、亜高層、低層木)があるために雨水による浸食が抑えられ、保水力を保つことができますが、低木が失われたこの林地では雨水が直接地面をたたくため、所々土壌流下が始まっていました。
外輪山東部には道から一歩入った林地にこのような場所が所々見つかっています。
箱根が丹沢の二の舞にならないように、と書きました。
しかしすでに丹沢並みの場所が点々とあり、それが面となって広がりつつある。
丹沢程の頭数でないにも関わらず、累積によって箱根はじわじわと丹沢に近づきつつあります。
調査を重ね、やっとその現実を知ることになりました。
山盛の会としては少しでも地域の方達にこの現実を知って頂き、
近い将来頭数爆発が起こる前に、有効な捕獲体制と植生保護が行えるよう、微力ながら調査結果をお知らせしていきたいと思います。
尚、当会のシカ調査はどなたでもご参加いただけます。
興味のある方は是非一度ご参加ください。 以下は今後の日程です。 ■ 9月24日(木) 久野・和留沢・足柄林道を車で走りながら食痕の多い所の観察をいたします。 ■10月4日(日)・22(木) 明神ヶ岳過食圧地調査(航空写真から劣化域が予想されます。) ■11月12日(木)・29日(日) 調査地未定 集合;小田原駅西口早雲公像前8:00 終了16:00頃 持ち物;お弁当、飲み物大目、メモ帳、筆記用具、分からない植物を入れるビニール袋、 雨具、折り畳み傘、あれば双眼鏡、カメラなどご持参ください。 お申し込みは、 小田原山盛の会 川島範子 090-9349-7014 norako.k@nifty.com |
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