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「カムフロム?」とタイ系ディーラーのおっさんが聞いてきた。「ジャパン」と言って五ドルチップを置いた。「お〜、日本ね、日本には私も行った事あるよ」らしきことをディーラーは言いながらカードを配る。6とピクチャーの16。ディーラーのフェイスカード9。
俺は「アイキャントスピークイングッリッシュ」と言いながらヒット。ピクチャーが来てあっさりバースト。チップを回収しながら「沖縄に行った事がある」とおっさんプチ情報を俺にくれる。
(ええからちゃっちゃと札を配らんかい!)
俺はひりっとギャンブルがしたいのに、「マジで!オキナワ?ホットやった?」「うん、ホットだった」などと、どうでもいい片言の会話なんてしたくないんだ。したけど。
ディーラーのおっさんは日本に良い感情を持っているのだろうか。
できれば日本で差別されその時の恨み晴らしたる〜っぐらいの悪い感情で俺と対峙してくれれば、
勝つ可能性がちょっぴり増えるのだが・・・
にこにこと丁寧に配るディーラーからはそんな感情はなさそうだった。取ったり取られたりの展開の中で(ここや!)っちゅう所を一回スルーし6枚張った。
競馬で「まだはもうなり、もうはまだなり」っと菊池寛が言ってたのは、ギャンブルのみならず人生にも通じる。「情報信ずべからず」はこれだけ過度な情報社会には、皆が肝に銘じなければいけない箴言だろう。「なっちの盗作は残念だ・・」とは言っていない。
そんな感じで小波に乗って、一回目のシャッフルタイムまでに70ドルほど浮く。
(どこかでどかっていきたい・・)そんな勝負所が訪れるだろうか・・・
ディーラーがカードをきり終わった。俺はチップ置き、カードを待つ。行ったり来たり。チップのやり取りとカードの目、勝負のあやなどを冷静に探りながら本当の(ここや!)っちゅうポイント、そして大波を待った。
結論から書くと、そんなポイントは無かった。そして気付いた。
尾上さんの「ゲーミング」の正しさを。
何度か40ドル賭けてお茶を濁し、二時間程粘って175ドル消えて席をたった。
(賭金が足らん・・・)
そう実感した。暗い穴ぼこの淵を覗くようなギャンブルを希望するなら、もっと賭量を必要とするのだった。今回持ってきている額では「ゲーミング」で楽しむのがベストなのだ。
朝のチェックアウトの客とすれ違いながら、俺はエレベーターに乗った。
(来年は1日1000ドル×滞在日数。+バックに2000ドル持ってギャンブルしよう。それで1000ドルの勝ちを目指し、1000ドルの負けを納得する、まさに森巣博の書いていた「1000ドル賭人」になろう。それだけの賭金を用意できなければ、楽しく「ゲーミング」すればいい。)
そう決意し、今回の旅は尾上さんと「ゲーミング」を楽しもうと思った。そう思うと急速に「ギャンブル9、その他1」だった感覚が「ゲーミング4、その他6」と視野が広がった。
ここからは尾上さんと歩調が合った。倦怠期を乗り越えた夫婦のように、楽しい日々が始まるのだった。
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