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「朝飯ダウンタウンへ行って食おか・・」尾上さんの何気ない一言が「ベイバーガー」との奇跡の出会いだった。 人生にはまるでBJでめくられるカードのように、偶然だが必然だったような奇跡的な出会いがある。
今回一緒に旅している尾上さんもそうだ。12年前の俺はプー太郎でデザイン学校の夜間に行き、徹夜でバイトをし、朝からパチンコに行く、という真っ当なろくでもない青年だった。 コンビニで「パチンカーワールド」を手に取り、「新世界ブラッドストリート」というパチ漫画に(面白いな〜、俺も将来こんな漫画描きたいな〜)と思った。
それを描いていたのが尾上さんなのだ。ラスベガスで俺が助手席に座っているのをコンビニで立ち読みしていたあの日の青年は想像出来ただろうか・・・
ダウンタウンは「浅草みたいな感じ」という尾上さんの説明通り、いい感じの老夫婦が多く、少し寂れた、ゆっくりと時間の流れる町だった。 腹の減っていた二匹の黄色い猿は、看板や店先を見ながらあれでもない、これでもないっと「ええ店センサー」をビンビンに働かせた。
「ピキーン」ときたのか、よくわからないが何故か古びたカシノ内の「ベイバーガー」という地元客の
並んでいる店に入った。 コーヒーを頼み、メニューを見た。
尾上さんはしきりに「ステーキ食おかな・・」と朝一からエキサイティングな事を口走っていた。
「スープザデイ」と「ベイバーガー」に俺は惹かれた。数あるメニューの中からこの二つを選んだ自分をほめてあげたい。
まず運ばれた「スープ」は豆を裏ごしした優しい味のどろっとしたスープだった。一緒に運ばれたクラッカーに乗せて食べると、少し足りなかった塩味が追加される。(計算されてる〜!)と思わず心の中で叫んだ。
こうなると「ベイバーガー」は絶対うまいだろうっと確信できた。ここでカシノ側がベッドを認めてくれるなら「うまい」に全額張る。
皿の上に手ぐらいの大きさのバンズの上に肉厚なパテ、レタスと玉ねぎとピクルスをつまようじで止めてある。自分でマヨネーズ、ケチャップ、マスタードをかけ、レタス類をパテに乗せ、バンズを上から「どっせ〜い!」とかぶせる。
で・・でかい。口を思いっきり広げかぶりつく。シャキっとしたレタスの後に肉汁が俺の口中を攻める。「ぐわっ!」撃沈された俺。
この日から三日連続朝食は「ベイバーガー」になった。「また来てんの〜?」っと明るい笑顔のウエイトレスに俺らは「アイライクイット!」と叫んだ。
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