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冬の陽ざしの

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東京の友達から一篇の詩が送られてきました。

お正月に、赤坂の元料亭を改装した素敵な懐石料理屋さんに連れて行ってくれた友達。そのときに話しきれないこともあったようで、そのことを控えめに書いて、それとともにこの詩を送ってきてくれた。
多くを語らなくても、彼女の気持ちが伝わってきました。

前を向いて行こう、と気持ちを切り替えたとき、それまで見えていなかった扉がすっと開いて、次に進める。そこで人は何かに出会い、また生きていく勇気が湧いてくるのでしょう。

詩は、人のどうしようもない気持ちや、それでも生きていくということに、「ちゃんとわかっているから」と言ってそっと寄り添ってくれるみたい。
そういうことが、この頃やっと少しだけわかってきて、ことばがしみじみと心に入ってきます。
大人になるって、こういうこと?





冬の陽ざしの     吉野弘



冬の陽ざしのおだやかな

明るい海の波打ち際

瀬戸やガラスが

くりかえし

しずかにもまれて居りました。



水際に

ほっそり丸い青い石

実はガラスでありました。

洗われて高雅にやせたかけらでした。



かけらにも

することがあったなんて。



そういえば

とんがった

若い気鋭のかけらたちも

美を専念の声をあげて

波にもまれて居りました。



かけらでおしまいになれないなんて

それでおやすみできないなんて。

こわれるとすぐに

未来がふりあてられ

すぐに未来に引き渡されて

またすることがあるなんて。

 

へんに倫理的な浪や風から

慰撫され彫琢され

気遠い美をそそのかされ。



こわされても

こわされても そのたびに

かけらには

新しい未来がふりあてられ



おだやかな冬の陽ざしが また

こぼれ落ちてくるなんて。




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