時代小説

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隣町の古本屋で

 帰りに隣町の古本屋へ行った。
 ぼくの覚えている限りこの町で一番古く、
 今様にビデオ・DVD・漫画本を置いていない。

 探していた伊藤桂一さんの本を6冊見つけることが出来た。
 バックは重くなり、気持ちも嬉しさで一杯になったが、
 財布は軽くなってしまった。

好きになってしまうと

 伊藤桂一さんの時代小説は、以前から好きな時代物の一つだった。
 「風車の浜吉・捕物綴シリーズ」も好きで、ほとんど読んだが、
引越しの際に古本屋に売ってしまった。

 先日、古本屋で「深山の梅」という文庫本を見つけ、これは初めて読んだが、
読んだあとで、改めて伊藤桂一さんの小説を全部読みたくなってしまった。

 9月に入って、風車の浜吉シリーズをはじめ、いくつかの古本屋を探してみたが、
なかなか見つけることができなかた。
ためしに、普通の本屋も回ってみたが置いている本屋はほとんど無かった。
(目録で調べると確かに本は出しているのだが、再版されていないのだろうか)

 ネットで調べると、40冊ほどの文庫本を出しているはずなのに、
こうも見つからないとなると、余計に読みたくなってきた。

 今日の帰り、まだ入っていなかった古本屋を見つけたので、入って探してみると
2冊だけ買うことができた。
 これでやっと8冊を集めることができたが、まだまだ読んでいないものがあるので、
今度の休みには、神田へでも行ってみようかと思った。

赤い糸

イメージ 1

 朝の通勤路で、赤い糸のようなものが落ちていて、目に止まった。

 数メートル通り過ぎてから、
 半ばまで読んでいた、宇江佐真理さんの連作短編『斬られ権佐』の
 「赤縄(せきじょう)」を思い出した。

 職場で、同年齢の女性に「中国では赤い糸を赤縄と言うらしい」と話したら、
 「そんなに太いものだと、切ることがなかなか出来ないねぇ〜」と返事があり、
 「なにしろ白髪三千丈の国だからね」と笑いあった。

 小説を昼休みと帰宅途中に寄った喫茶店で読み終え、女性作家の解説を読んでいたら、
 赤縄にも触れていて、解説者も驚いたと書いてあった。
 なるほど、女性の感性は似ているものなのかなぁ、と感心した。

 《将来夫婦になる運命の男と女は、生まれたときから、足と足を赤い縄でつながれている。
  その元ネタは、中国唐代の伝奇小説集『続玄怪録』に見られる。日本では、「赤い糸」の
  伝説として巷間に伝わった。》
  ※ 集英社文庫版の解説から抜粋・転載いたしました。

捻くれた読み手

 一昨日から、藤沢周平さんの「麦屋町昼下がり」(文春文庫)を読んでいる。
で、最初の一ページを読み始めてオヤと思うところがあった。
こんな表現もあるのかと感心しながら、もう一度読み返してみた。
もしかしたらと思い、奥付を見てみた。
<1992年3月10日 第1刷> となっていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 そのために月が形づくる物と影の境界はぼんやりと入りみだれて、道のところどころ
にある家や大きな木立の影は、行手に立ちはだかる物の怪のようにも見える。道にはほ
かに歩いている者の姿は一人を見えず、そして夜気は深夜にもかかわらずかすかに潤ん
でいた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 今日、帰りに本屋に寄って同じ文庫本を探し確認してみると、誤植だった。
立ち読みで二度その箇所を読み、気分がすっきりした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 そのために月が形づくる物と影の境界はぼんやりと入りみだれて、道のところどころ
にある家や大きな木立の影は、行手に立ちはだかる物の怪のようにも見える。道にはほ
かに歩いている者の姿は一人も見えず、そして夜気は深夜にもかかわらずかすかに潤ん
でいた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 奥付は、
<2005年8月25日 第24刷> となっていた。
 10数年もの間刷りがこれだけ続いたということは、
藤沢さんのファンがそれだけ多くいるという証かと、あらためて思った。

 ※ 誤字を見つけたと得意げに書いた記事に脱字があっては、シャレにもなりませんでした。
   とんだ赤っ恥を書いてしまいました。
   2006/08/04 穴を埋めました。
   空いていた穴に飛び込みたくなるような気分で、
   大汗をかいてしまいました・・・(ーΩー;) 。

小説の解説

 このところ、引越し前にほとんど古本屋に売ってしまったので、
藤沢周平さんの文庫本を買い戻しては読み返している。

 ところで、これまではあまり解説は読まなかったが、再読後は読むように変わった。

 今日は帰宅途中に寄った喫茶店で、『竹光始末』を読み終え駒田信二さんの解説を読んだ。

 藤沢さんのエッセイから引用し、藤沢さんの小説が何故人の心を打つのかを語っていた。

 僕も、駒田さんの解説から引用させていただくが、次のところが良いと思った。

 <・・・・人がこの世に生きていくということのかなしさではなかろうか。藤沢さんの
  作品の持つやさしさは、それなしには考えられないのである。かなしみをくぐり抜けて
  きた人にしか、その人を見る眼にほんとうのやさしさは生まれてこないのではなかろうか。
  同時に、きびしさもである。>

 駒田さんの小説も読んだことがあるが、こうして解説を読んでみると、
藤沢さんを良く映し出していると感じるが、同時に、藤沢さんを鏡にして
駒田さんという作家も映し出されているのではないかと思った。
 
 解説は、藤沢さんの世界を僕に分かりやすく導いてくれるとともに、解説者自身を計らずも
描きだしてしまい、その相乗によって、より読後の感動を深めてくれるのだと思った。

 藤沢さんの解説を読む楽しみを知ったので、次の作品を読む楽しみがさらに増した。
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