|
巻8−1627
大伴家持(おほとものやかもち) 秋相聞 大伴宿祢家持が非時(ときじき)藤花を攀(よじり)并芽子黄葉二物を坂上大嬢に贈る歌 我が宿の時じき藤のめづらしく今も見てしか妹が笑まひを 家の庭に季節はずれの藤のように、愛しく今も見たいです。あなたの微笑を。
巻8−1628
大伴家持(おほとものやかもち) 秋相聞 大伴宿祢家持が非時(ときじき)藤花を攀(よじり)并芽子黄葉二物を坂上大嬢に贈る歌 我が宿の萩の下葉は秋風もいまだ吹かねばかくぞもみてる 庭の萩の下葉は秋風がまだ吹かないうちに、こんなにも色づいています。
巻8−1629
大伴家持(おほとものやかもち) 秋相聞 大伴宿祢家持が坂上大嬢に贈る歌 ねもころに 物を思へば 言はむすべ 為むすべもなし 妹と我れと 手携さはりて 朝には 庭に出で立ち 夕には 床うち掃ひ 白栲の 袖さし交へて さ寝し夜や 常にありける あしひきの 山鳥こそば 峰向ひに 妻問ひすといへ うつせみの 人なる我れや 何すとか 一日一夜も 離り居て 嘆き恋ふらむ ここ思へば 胸こそ痛き そこ故に 心なぐやと 高円の 山にも野にも うち行きて 遊び歩けど 花のみ にほひてあれば 見るごとに まして偲はゆ いかにして 忘れむものぞ 恋といふものを 心から思い巡らせば言うこともすることもどうしようもない。あなたと私手を取り合って朝には一緒に庭に出て、夕べには寝床を潔め、白栲の袖を二人差し交へて一緒に枕を交わした夜は何度もなかった。山鳥でさえ峰を隔てて相手を呼び鳴くというのに、この世の人である私は何をしているというのか。一日一夜も離れて暮らして居て嘆き恋しむのだろうか。こう思うと胸も痛みその故に、心が慰むかと高円の山にも野にも出かけ、馬を乗り回し遊び歩くけれど花ばかり美しく咲いているだけで見るたびに余計にあなたを思い、どうしたら忘れられるのか、恋というものを。
|
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
2019年04月01日
全1ページ
[1]
全1ページ
[1]


