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日本IBMの設立75周年記念イベントにおけるサミュエル・パルミサーノ会長の基調講演を読んだ。
考えさせられたのはコモディティ化の圧力にどう対応するかという話。

IBMは周知のように、パソコン事業から撤退したが、現時点でどんなに儲かっていたとしても事業の中核をなさないと分かったら撤退する判断が重要とのこと。

なるほどと思う。


ただ、ここで考えてしまった。
特にコモディティ化の見本のような存在である米生産から日本農業は撤退できるのだろうかと。

ここ十数年、農業ビジネス、農家の経営感覚が取りざたされ、その感覚がない農家はダメな農家だと烙印をおされてきた。

一般的な感覚の持ち主であれば、兼業の水田経営など即時撤退の対象だろう。
そのため、経営が成立する大規模化、集約化への道筋ができた。

そして今、中小水田営農農家はコモディティ化の中にどっぷり漬かり、海外からの圧力に屈するという構図ができあがっている。

実際、これまで多くの兼業農家がこの波にのまれて「撤退」したし、これからも撤退は加速する。
一方で、様々なブランド米生産や直販によってこの波を乗り切っている農家も数多くいる。

では、日本の米づくりはやはり大規模化による効率化を推し進め現在の延長線上でコモディティ化に対応し、経営感覚のある農家や地域だけがブランド化で差別化を図る、そうした流れでいいのだろうか。

否、これでは日本の水田、米づくりを守ることができない。

思うに米は大衆化することが一種の宿命でもある。
本来日本人の誰もが安心して手にできるべき生命線という意味において、米の一般化は必要なのだろうと思うから。

そう考えると、「ある程度」の一般化は内包すべきであるものの、際限のないコモディティ化からは脱却すべきだ。

では、どうすれば脱却できるか。

答えは容易い。
日本の米、米づくりの価値を再認識して、皆で支えることだ。
片手間でやっている米づくりも赤字であることを皆が知り、農家も大規模化以外の効率化を推し進める。

どうすれば支えることができるか、どうすれば支えてもらうことができるかを真剣に考える。
つまり、自分たち国民一人ひとりの問題だと思うことだ。

やるべきことは簡単でも、実現は容易ではない。

地道にやるしかないのかもしれないが、最低限再生産できる採算ラインを見極めた価格の上に、ブランド化や大規模化、ビジネスといった話がこないと日本全体の水田農業の未来を語るのは難しい。

(伊藤 浩正)

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初めてお邪魔します。
私は今後の世界は間違いなく「食糧」を奪い合う競争になっていくと思いますので日本の成長戦略として農業、漁業(養殖)、林業に注力が必要だと思います。どの産業も、課題は今までの原価積み上げ式のプライシングにあると思っています。農林、漁業の皆さんも安価で沢山供給できるユニクロやディスカウンターで買物されているんじゃないですか?
現在営農、営漁されている方の意識がそこに向かないのであれば、「法人化」して安全な、良いものをどんどん作って売りまくることしか方法はないと思いますが、如何でしょうか?

2012/10/1(月) 午前 11:36 [ fuchimoto55055 ] 返信する

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他の製造・サービス業同様に世界にはまだまだ市場があるのだから量と価格で勝負すべしとのご指摘だと思います。漁林業は分かりませんが、少なくとも農においては、地域に経営者が乱立している状況で、外から眺めている以上に各者が相互依存する関係(例えば水や施設管理)にあります。加えて、集落との結びつきも強い。そうした点から全体が方向転換するには強烈な外的インパクトがないと難しいです。
法人化は、平坦地ではどんどん進めていけばよいと思いますが、中山間地域では担い手を絞り込むことになるため、諸手をあげての賛成はできません。
いずれにしても農は世界に向かう前にやらざるを得ないことが山積しているように思います。
現在のビジネス感覚からいうと逆行しますが、効率化・集約化ではない軸が必要だと感じています。

2012/10/2(火) 午前 9:03 [ 農楽(NOUGAKU) ] 返信する

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中山間地域の農業が課題になっていることは承知しているつもりでも実態を知らないので大きなことは言えませんね。恐縮です。
しかし、人口増によって世界の食糧需要が高まるのは自明の理。今の食糧自給率を考えるとわが国だけ考えても食糧難になります。従って、他地域にも余力を振り返るだけの増産を国家戦略として方向付けよ、ということです。
現代は昔の経済学の需給バランスでは説明できない”価格”で動きます。工業製品ばかりでなく農産品も、世界中、所得格差が広がっていますから大多数の低所得層に売るのか、少ない富裕層に売るのかによって”売り”とプライシングが変わらなければ、中途半端だと売れません。”自画自賛的ブランド品”でも売れるかどうか・・・?
第一次産業にも「マーケティング・マネジメント」が必要なのではないでしょうか?

2012/10/2(火) 午後 1:03 [ fuchimoto55055 ] 返信する

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ご意見、ありがとうございます。
食料難の問題、起こらないという識者もいますが、やはり起こり得ることだと思います。でも、日本国民は飢えることがないと考えているんじゃないでしょうか。耕作放棄地が一向に減らないし、適地適作して日本は採算のとれない農業をやめて輸入する。これがグローバル時代に応じた考え方ということを言っている人も。
生産調整による需給調整をしなければ米が余り暴落するという筋書きに対しては、仰るように海外に振り向けるなり対処する必要があります。ただ、受け入れ側にも本質的な問題を抱えさせる可能性があるように思えてなりません。食料、特に主食品目は市場に全てを委ねてしまうのは危険じゃないかと感じます。やはり基本は自国で賄えることを支援すべきで、食料輸出で相互扶助するのは非常時くらいでよいようにも思います。あくまでも米についてですよ。
マーケティングの必要性は重々感じますね。本当にご指摘の通りです。とはいえ、現世代には求めるべくもなく、次世代でどう転換できるかだろうと。これも現状の流れをみている限りは明るくはありませんが。

2012/10/3(水) 午前 8:31 [ 農楽(NOUGAKU) ] 返信する

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「受け入れ側にも本質的な問題を抱えさせる可能性があるように思えてなりません」とのご指摘、受け入れ側の農民に与える影響が大切なことはその通りです。世界規模の食糧難が「起こるとすれば」ですが、受け入れ側である国の農業の生産性が上がるよう、日本の”技術”で応援し、自立を促す必要性がある、また義務であると思いますが、如何でしょうか?これは国を挙げての戦略にしなければ不可能ですが・・・

2012/10/4(木) 午後 10:18 [ fuchimoto55055 ] 返信する

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その通りです。「基本は自国で賄えることを支援すべき」と書いた本意はそこにあります。出し惜しみするのではなく、技術援助・支援を今後もしっかりすべきですね。

2012/10/13(土) 午前 10:04 [ 農楽(NOUGAKU) ] 返信する

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