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画像出典:独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)HP内
機械システム技術開発部>プロジェクト情報 「環境適応型高性能小型航空機研究開発-H15〜23 『成果概要(H17年度版)』」より
…前回の投稿からそれなりに日にちが経ってしまったが、今更ながら今回十分に資料・文献を読み込まず、
「見切り発車」的に連載を始めたことを、少し後悔し始めていたりする。まぁ、仮に間隔が開いたとしても地道に
調べて書き上げるので、気長に待っていて欲しい。
さて今回は三菱重工業株式会社(MHI)の主導のもと開発の進む、まさに「YS-11の直系後継機種」とでも
言える「環境適応型高性能小型航空機」(経済産業省における正式名称。MHIでの通称は「MJ」)の紹介
である。前回紹介した「HondaJet」が、何らかの公的機関からの援助・技術支援無しに、100%の民間開発で
造り上げた航空機であるのに対し、この「MJ」開発はMHIの他に、富士重工業(FHI。自動車の「スバル
(SUBARU)」シリーズの製造元)・NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構。経済産業省管轄下の
独立行政法人)・日本航空機開発協会・JAXA(宇宙航空研究開発機構)等が参加する、まさにAll Japan体制
のプロジェクトである。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)「環境適応型高性能小型航空機」』
( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%92%B0%E5%A2%83%E9%81%A9%E5%BF%9C%E5%9E%8B%E9%AB%98%E6%80%A7%E8%83%BD%E5%B0%8F%E5%9E%8B%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F )
現在開発が進められているMJの機体規模は、70席前後と90席前後の2種類になる予定で、いわゆる
「リージョナルジェット機」と呼ばれているカテゴリーに属している。このリージョナルジェットと呼ばれる機種
は、今でこそ日本国内でIBEXエアラインズ(IBX)やジェイエア(J-AIR)で使用されている、Bombardier
・CRJ-100/200シリーズ等ですっかり馴染みのあるカテゴリーとなっているが、そのスタートはルフトハンザ
・ドイツ航空傘下のLufthansa CitylineがCRJ-100を導入した1992年からと以外と最近の出来事であり、
現在も機体規模が大型化(50席前後→70〜90席前後)しつつ、拡大を続けているマーケットである。その中でも
特にMJの狙う「60〜99席」クラスの市場は、2005年末の運航機数で約950機であったのが、2025年末の
運航機数予測では約4600機と約5倍弱もの急激な伸びをしてしており(*1)、航空会社向けの航空機
マーケットの中では(…と但し書きをしたのは、前回紹介のVLJ市場があるからです)、大型機を含めて
最も成長著しい市場となっている。
勿論これだけ将来性のある注目マーケットでは、他メーカーの競合機種も多い。現在の市場はカナダの
ボンバルディア(Bombardier)社と、ブラジルのエンブラエル(Embraer)社の二強体制となっているが、
今後さらにロシアのスホーイ(Sukhoi)社と、中国の中航商用飛機有限公司(ACAC)社が新たに参入する
予定である。
(Sukhoi・ACACの座席数・受注機数はフリー百科事典Wikipediaより。その他のデータは各社HPより。
航続距離はその機種中で最長モデルの値を記載)。
メーカー 機種 座席数(1クラス) 航続距離(nm) 運航開始年 受注機数
Bombardier CRJ-700 70 2,002 2001年01月 292(06年07月末現在)
Bomberdier CRJ-900 90 1,828 2003年01月 102(06年07月末現在)
Embraer E-170 70 2,000 2004年03月 152(06年09月末現在)
Embraer E-175 78 1,800 2005年08月 52(06年09月末現在)
Embraer E-190 98 2,300 2005年09月 298(06年09月末現在)
Embraer E-195 108 2,100 2006年予定 41(06年09月末現在)
Sukhoi RRJ60 60 2,630 0
Sukhoi RRJ75 75 2,571 20(06年02月末現在)
Sukhoi RRJ95 95 2,421 2008年予定 50(06年02月末現在)
ACAC ARJ21-700 90 2,000 2009年予定 41(06年06月末現在)
ACAC ARJ21-900 105 1,800 2009年予定 0
MHI MJ-70 70 2012年予定 販売活動前
MHI MJ-90 90 2012年予定 販売活動前
現在明らかになっているリージョナルジェット計画においてMJ-70/-90は最後発ではあるが、この「最後発」
という事実を「開発時期の新しさ」として捉え、どれだけの先端技術を機体に盛り込めるかが、巻き返しの
ポイントとなる。記事冒頭の画像は、NEDOが毎年公表している「MJプロジェクト」成果概要からの抜粋
である。多くの先端技術が盛り込まれる中、MJの技術的特徴(開発目標)をまとめると、以下の3項になる。
1. 競合他機と比較して機体軽量化・低抵抗化する事により、胴体性能比で1割、新エンジン(*2)との組み
合わせの総合比で2割の燃費削減効果を目指す。
2. デジタルアビオニクスの採用と、操縦システムの動力伝達の合理化により操縦の容易性を確保し、パイロット
のワークロードを軽減すると同時に、訓練にかかる時間・コストの削減を目指す。
3. 設計段階において最新のCAD/CAMを活用することによって、実証に必要な機体の設計・試作に要する
時間・コストを大幅に削減する。
リージョナルジェット機というカテゴリーはAirbusやBoeingの製造する中・大型機とは違い、F/Cクラスが
収益の柱になる訳でもなければ、貨物事業(ベリー輸送)が収益を下支えする訳でもない。つまりどういう事か
と言うと、リージョナルジェット機は機材運用の効率化がより収益の増減に直結しやすく、メーカー側としても
機材の扱い易さに始まり、メンテナンスコスト・燃料費等のランニングコスト・フライトサイクルの延長・重整備
期間の短縮等、どれだけ効率性の良い機体を造れるかがこのカテゴリーで成功する鍵となる。現在
Embraer・E-Jetsシリーズとの受注合戦でやや苦戦しているBombardier・CRJシリーズだが、実は
BombardierはこのCRJシリーズとは別の「Cシリーズ」と呼ばれる110〜130席クラスのリージョナル
ジェット機開発を行っていたのだが、航空会社の希望する機体サイズと効率性のすり合わせが不調に終わり、
06年01月末に計画中止となってしまっている。
…もう少し本記事は続くのだが、どうやら「字数制限」に引っ掛かったようである(涙)。
この続き(と脚注)は「YS-11の孫達」【2-2】を参照して貰いたい。とても見辛い記事になってしまい、
申し訳ありません。
(続く)
追記(10/13)
各リージョナルジェット機のメーカー別比較表の中で、Embraer社の受注機数期間が間違っていたので、
訂正をしました(「2006/06月末現在」→「2006/09月末現在」)。申し訳ありません。
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お久しぶりです!YSの引退、残念ですね〜>_< ・・自分を含め沖縄県民にも広く愛された機体で、俺個人も好きな飛行機でした。俺が初めて乗った飛行機もYS−11。・・・ところで、HONDA-JETとMJの純国産航空機開発には、俺も密かに期待してます。昔から、日本は高い航空技術を持っていましたが、開発規制されてた・・っという話を聞いたことがあります。それを乗り越えての開発着手から十数年。実用化が待ち遠しいですね♪
2006/10/13(金) 午前 1:50
くれのぶさん。YS-11は南西航空時代から、長らく沖縄の空を結ぶ足として活躍してましたね。地上ではクーラーが効かず、南国ではさぞ大変だったでしょう(笑)。本文中でも触れていますが、日本の航空機開発技術は既に世界と渡り合えるほど十分なレベルにまで回復しており、成功への最大のポイントは「いかに事業として軌道に乗せるか」に掛かっているのだと思います。何とか無事就航にこぎ着けて欲しいですよね♪
2006/10/14(土) 午前 2:06