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(画像はIBEXエアラインズHPより)
今日もいつものように航空関連のニュースをザッピングしていたら、気になるニュースがあった。
「エア・ドゥ主翼陥没 鳥衝突事故5年で最多 新千歳空港など防止へ地道な巡回」
( http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060520&j=0022&k=200605209372 )
今月15日夜、新千歳に着陸進入中のADO機に鳥が衝突、右主翼を損傷し、次日以降に多数の欠航を出した
出来事があったが( http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20060516STXKC077716052006.html )、上記記事は
「バードストライク」に関する現状とその対策に関する解説記事である。
・・・記事の主旨に関しては特に気にかかることはないのだが、自分が気にしたのは以下の部分である。
『・・・危険性も決して無視できない。「エンジンが一基停止しても飛行可能」(エア・ドゥ)と航空各社は安全面を強調するが、一九九五年には米空軍機がエンジン停止で墜落、二十四人が死亡する事故が起きている。・・・』
・・・気になる点が2点ある。まず1点目は「商業運航の民間機の事故と、軍用機事故の事象を同列に扱っても
良いものなのか」という点である。例に挙げられている米空軍機の事故がどの様な状況で発生したのか、検証
できないので憶測での話になってしまうが、一般的に軍用機の運用は民間機よりも厳しい条件下で行われる
ものである。勿論軍用機だって「墜落する」前提で飛んでいる訳ではないが、少なくとも民間機よりそのリスクは
高いと見るのが妥当であろう。もしかしたら民間機が欠航する程の厳しい気候条件だったのかも知れないし、
極端に言えば鳥の繁殖地近辺での作戦行動中だったのかも知れない。これはあくまでも私見だが、上記の記事
はおそらく比較対照としての「民間機でエンジン停止による死亡事故」という過去例を上手く提示できなかった
ために、仕方なく「軍用機」での例示になったのではなかろうか。だが事故背景を詳しく精査するならともかく、
上記のような記述での民間機と軍用機の事故比較は控えるべきであろう。
気になった2点目は、引用部分の文脈がどう読んでも「エンジンが一基停止したら危険である」という意味合い
にしか取れないことである。だが現在日本で使用されている双発機は全て「片肺飛行」が可能で、一基分の
エンジン推力を失ってもすぐ墜落するようなことはない。実際に最近は「片側エンジン停止」の事例が多かった。
以下に過去にさかのぼって列挙してみる(情報元はYahoo!ニュース-航空機事故、国土交通省-航空・鉄道事故
調査委員会)。
06/05/17
JAL3385便・神戸→那覇行・B777型機、屋久島付近を飛行中に左エンジン停止。約1時間後に那覇に着陸
06/04/02
IBX3074便・福島→伊丹行・CRJ型機、三重県付近を飛行中に右エンジン停止。約20分後に伊丹に着陸
05/12/01
SKY306便・鹿児島→羽田行・B767型機、鹿児島離陸直後に右エンジン出火。約15分後に鹿児島に着陸
05/11/06
ANA1793便・関西→女満別行・B737型機、北海道南東の太平洋上で左エンジン停止。約25分後に新千歳に着陸
05/10/29
ANA628便・鹿児島→羽田行・B777型機、高知県沖の太平洋上で右エンジン停止。約20分後に伊丹に着陸
05/06/21
JAL1935便・羽田→那覇行・B777型機、高知県沖の太平洋上で左エンジン停止。約50分後に関西に着陸
05/05/21
JAL2371便・伊丹→長崎行・MD90型機、伊丹離陸直後に右エンジン停止。約20分後に伊丹に着陸
・・・2005年一杯までの記録を抜き出してみたが、双発機の片エンジン停止の事象は「ものすごく」珍しいこと
ではないのである。そしてそのいずれもが、墜落するどころか誰一人怪我人もなく何れかの空港へ着陸
しているのである。だからといって今後も片エンジン停止が「絶対安全だ」という保証は何処にもないが、
少なくとも例えエンジンが一基停止してもそれが即「危険な状態」と言うことにはならないのである。
現代の旅客機はそれ位の「安全性」もあるし、緊急時における「冗長性」もある。なので引用記事のような、
読者が不用意に不安に思ってしまうような記述は避けるべきである。
・・・自分はある程度「航空機」に関しての知識を持っているので、航空機が世間一般に認識されている以上に
「信頼できる乗り物」であることを知っている。でもその様な「ヒコーキマニア」ではない一般の人々からして
みると、やはり双発機の片エンジン停止はとても不安に感じるであろうことも理解できる。
報道の意義というのは、起こった事実を客観的に記述し、場合によっては不確定要素に基づく不安・混乱を
収めることだと思うのだが、どうであろう・・・。
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そうですね。強く同意できます。それに乗員たちはどれだけこういったエンジン故障時の訓練をシミュレーターで受けている事か。安易に不安を煽るような記事を作るのは今後控えて欲しいですね。飛行機は安全な乗り物ですから。それにエンジンが壊れない保証はメーカーですらしていないし。日本人だけでしょうこんなに神経質なのは。
2006/5/21(日) 午後 9:55 [ - ]
どこかの本で読みましたが。アメリカの旅客機で離陸時エンジン火災で離陸中止してそのままスポットに戻ってきてある一人の乗客が機長と一緒に歩きながら普通に話していたというのを本で読んだことがあって。アメリカでは壊れたら交換すればいいじゃないか。それくらい安心しているのでしょうね。
2006/5/21(日) 午後 9:58 [ - ]
モンキーさま>アメリカの空の旅は日本よりもずっと身近にあるためか、対応がずっとクールなのですね。
2006/5/22(月) 午後 11:51
推力が大きいエンジンほどラダーを大きく且つ強力に設計されているので 2発エンジンで1発FAILも想定済みなんですよね。
2006/8/3(木) 午前 2:24 [ sho ]
先日のNHK-Sp.「テクノクライシス」を見て、改めて日本の航空会社の「エンジン停止」に対する取り組みが、半端じゃないことを実感しました。やはり異常とも言えるマスコミの取り上げ方には、かなり疑問を感じますね…。
2006/8/4(金) 午前 1:09
初めまして、最近双発を取るために座学をしているのですが、FAAのレギュレーションでFAR PART23を参照してみて下さい。
2007/4/15(日) 午前 9:27
すみません、初めてじゃありませんでした。
2007/4/15(日) 午前 9:28
cessna17220002000さん、少なくとも弊Blogでは「初めまして」なのですが、どこか他Blogでお話しさせていただいたのかな?…(^^;……これまでFAAの文章は全く見たことがないのですが、今度機会があればチェックしてみますね。有難うございます。m(_ _)m
2007/4/18(水) 午後 10:54