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自分は、歴史研究者ではない。
ただ、歴史研究の消費者としては、ずいぶん色々な本を読んできたと思う。
その中でも網野善彦は、出色だと思った。最初に読んだ本は「無縁・苦界・楽」だった。なぜかわからないが非常に、衝撃を受けた。
今、思うと、彼の歴史観はカラフルだったからだと思う。
それまでの歴史観は、日本人=農耕民族=天皇中心 の、白黒だったものが、彼によって、見事に総天然色に塗り替えられたような気がした。
今まで折に触れ、日本人とは何かを自分自身で考え続けてきた。日本にいても、アメリカにいても。
それは、単なる知識の習得としての「勉強」ではなくて、自分の存在と、未来を考える格闘の一部だった。
今改めて、「日本社会の歴史」(上)(中)(下)を読んでみた。
このような通史を書くことは、歴史家にとっては大変な仕事だと思う。彼が歴史学に果たした貢献は大きなものだと思う。
「日本人=農耕民族=天皇中心」という「公式」だけならば、そうでない自分自身を肯定するには過去を否定するしかない。つまり、歴史に学べないことになる。
彼のなしたことは、歴史学を救ったのだと思う。歴史を振り返ることによって、生き生きと生活してきた日本人の姿を振り返り、人々に、現在と未来を考えるきっかけを与えたのだ。
日本の社会経済が、停滞のなかで大きな転換を求められているときに、彼の打ち立てた歴史観は、大きな役割を果たすと思う。
今から考えれば、彼が生きている間に、無理をしても会いに行けばよかったと思った。
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