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「反近代の思想」

『ウナムーノ、オルテガ往復書簡』(以文社)を讀み始める――。
編者A・マタイスによる解説文が解り易い。西部邁がオルテガにはまつた事に就いて考へる爲にもオルテガを讀む必要がある。オルテガも「反近代の思想」の思想家で、ニーチェ同樣問題のある思想家として參考にしなければならない。

多くの頭の良い人々に誤解されてゐるけれども、「反近代の思想」或は「超近代の思想」と呼んでゐる或種の思想家・文學者・哲學者その他の人々を、私は單純に「信ぜよ」とは言つてゐない。參考にせよと言つてゐる。
多くの人が思想家を讀むのを思想家を信ずるのと同義だと思つてゐるが淺はかな發想だ。

アンチの人が、野嵜は「敵身方思考」を非難しながら自分も「敵身方思考」で考へてゐる、と非難して呉れてゐる。けれども、さう云ふアンチの人が單純に思想家について「信ずる」「信じない」と云ふ態度をとつてゐる事が私には滑稽に思はれる。それが敵身方思考と云ふ奴だ。
例へば私が今、マルクスを讀み玉へ、と述べたとしよう。或はマルクスを引用したとしよう。それを見たアンチは「マルクスは野嵜と立場が違ふwwww」と私を非難するのだ。頭が惡過ぎる。
小林秀雄は資本論を熟讀したさうだ。

氷上英廣『ニーチェの顔』(岩波新書青版954)を讀んだ――。

ニーチェは史上最大のアンチで、いろんな人に粘着しては非難を浴びせると云ふのを一生やつて、最後に發狂して死んだ。粘着アンチ問題にかかはる人はニーチェを研究すると良いと思ふ。あれこれ難癖をつけては評價を下げるニーチェの手練手管。

ニーチェは、現世肯定=自己肯定の立場から、現世を否定する思想なら何でも敵視し、人を否定する道徳を敵視した。結果として、自己を禮讚する狂氣に陷つた一方、自分も結局は道徳を創造し人に御説教する立場に嵌り込んでしまつた。

ニーチェは、Aさんを否定するのにBさんの言つてゐる事が使へるとなればBさんを禮讚する。けれども、すぐにBさんを否定したいと云ふ氣分になつてCさんを持出して來る。結果としてAさんの評價が逆轉する事になるのだけれども、ただでは褒めたくないものだから最後は最う言ふ事がめろめろに。


日本の保守主義者がルソーの民主主義を敵視して、激しく非難してゐるのを最近見た。ニーチェも民主主義批判をやつたが、念頭にあつたのは矢張りルソーの民主主義だつたと云ふ。何れにしても英米の民主主義の思想は考慮外である。

ニーチェは同時代の人の間では全く知られてゐなかつた。後に「現代思想」の人に再發見されて有名になつた。彼の「思想」のつかみどころのなさ・判り辛さは「深奧さ」と誤つて解釋された。
「うなぎのやうに掴み所がないが兔に角アンチ」と云ふ人物は、我々にとつて今や身近な存在になつてゐる。

今の人はなぜビジネス書に惹かれるのだらうか。半年も壽命が無いのに。そんな本を一生懸命讀んで、何か學べるのか。
大枚はたいてビジネス書を新刊で買つてゐる人には、頭の惡さう、と云ふイメージをいだいてゐる。多くのビジネス書は、出てから半年も經てば、BOOK OFFで百圓で買へるやうになる。
ビジネス書を出す人も、その本が本屋の店頭に並び、「生命を持つてゐる」のは精々一箇月間くらゐだ、と承知である。ビジネス書は、書店の店頭から消え、新刊でなくなると、一切の價値を失ふ(新刊は普通、店頭に出て、賣れなければ一箇月で返品される)。
古本屋に流れると、ビジネス書はたいてい店頭の百圓均一ワゴンに放り出されて埃まみれになるか、そもそも賣り物にもならないと看做されてさつさと潰されるか、のどつちかである。本として價値を認められてゐない。

創作を見下したり、ラノベを見下したりする人は、それらの中から名著と呼ばれる作品が屡々出て來る事のある事實を見逃してゐる。ラノベからはたまに「傳説の名作」が出てくる。その手の本は、品切・絶版にならうとも、欲しがる人が何時までもゐて、彼等によつて探求され續ける。ビジネス書からは、年を經ても、傳説の名著と呼ばれるやうな本は先づ出て來ない。古ければ役に立たないと簡單に判斷される。
20年前のラノベは、今でも樂しめる。20年前のビジネス書は、今となつては屁の役にも立たない。ラノベは文藝の仲間であり、ビジネス書は赤本の仲間である。

最新のビジネス書を一生懸命追ひ掛けてゐる人よりも、最新の週刊少年ジャンプを一生懸命追ひ掛けてゐる人の方が、まだしも増しだと思ふ。ビジネス書に出てゐる教訓も、ジャンプのマンガに出て來る教訓も、たいして違はないからだ。なら、讀んで樂しいだけ、ジャンプの方が増しである。
――ビジネス書を買はうとしてゐる人に忠告したい。あつと言ふ間に古びる本なんて、買ふのはおよしなさい。代りに古典を買ひませう。何百年も生命を保つてきた本ならば、古くても古びてはゐませんから。

人を貶すために貶す人

人は屡々、自分が嫌ひだと思ふ人間を貶める爲に、その人の關係者を貶める。師を貶すのはその一番安易な手法であり、弟子を貶すのも同じやうに安易な手法である。最惡なのは、その人が、それが「手法」だと云ふのをすつかり忘れて、何時の間にか本氣になつて關係者の方を貶め始める事である。

「日本人論を言う人は一般に」何うの斯うの……と非難する人がゐるけれども、自分がをかしな事を言つてゐると、なぜ認識出來ないのだらうか。日本人を日本人と一般化するのはをかしいと言ひながら、自分も一般化を試みてゐる。誰が何う考へたつてをかしい。

「右翼のくせに日本人批判をしてゐる」とか言つて怒つてゐる左翼の人。自分にも國粹主義の傾向があると自覺した方が良いと思ふ。

「日本人批判を出來る程、御前は偉いのか」と言つて人を嘲る人。あなたこそ「自分は偉い」と思つてゐるから、他人を批判してゐるのでないか。

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