赤ワインのポリフェノールは長生きに役立たない? 調査結果に世界が騒然!産経新聞2014年6月1日(日)16:05
さて、今回の本コラムは、最近ではテレビ番組などでも 完全にエンターテインメントしての位置付けを確立している「食」と「健康」に関するお話です。 みなさん“ポリフェノールが健康に良い”といったお話は、 1度は耳にされたことがあると思います。 ポリフェノールとは、多くの植物の樹皮や表皮、種子などに含まれる色素や苦み、 渋みといった成分で、ブドウやブルーベリーに含まれるアントシアニンやお茶に含まれるカテキン、 大豆に含まれるフラボノイドなどが有名です。 そしてポリフェノールには、血液をサラサラにしたり、 脂肪の燃焼を促進したりする効果があるとされ、がんや糖尿病、心筋梗塞、動脈硬化といった 生活習慣病の原因となる活性酸素を除去し、老化を防止する“抗酸化作用”があるといわれています。 ところがいま、欧米でこのポリフェノールが物議を醸しているのです。 5月12日に、米CNNテレビやフランス通信(AFP)など 多くの欧米メディアが報じていますが、このポリフェノールの一種で、 赤ワインやチョコレートに含まれる「レスベラトロール」から、 がんや心臓疾患を抑えたり、人を長生きさせる効能(老化防止効果)が見つからなかったという 衝撃の研究結果が5月12日、米国医師会内科学雑誌(電子版)で発表されたのです。 昔から、赤ワインのポリフェノールには心臓疾患の発症を抑える働きがあるのではないかと、 ささやかれてきました。フランス人はバターやチーズ、フォアグラといった活性酸素を発生させる 高脂肪食品を他国の人々より多く摂取しているにも関わらず、 心臓疾患の発症率が他国に比べて相対的に低かったからです。 この現象を「フレンチパラドックス」と呼ぶのですが、 これを生み出した主要因として考えられてきたのが赤ワインなのです。 フランス人はポリフェノールを含む赤ワインを日常的に飲んでいるので、 その効果で心臓疾患の発症など抑えられているというわけです。 この説を1991年、フランスのボルドー大学の教授兼科学者、故セルジュ・ルノー氏が 米CBSテレビの老舗報道番組「60ミニッツ」に出演し紹介。 一気に世界に広まり、当時、赤ワインの売り上げが急上昇したといいます。 しかし、今回の研究結果は、そうした“効果”を否定するものでした…。 さて、その研究ですが、米の名門ジョンズ・ホプキンス大学医学部の リチャード・センバ博士率いる研究チームが、1998年から2009年まで、 ワインの産地で知られるイタリア・トスカーナ地方の2つの小さな村に住む 65歳以上のボランティアの男女計約783人を対象に行いました。 まず被験者の健康状態を把握・分析したうえで、レスベラトロールの摂取量ごとに 4つのグループに分け、毎日の食事内容を聞き取りながら定期的に彼らの尿を採取。 そこに含まれるレスベラトロールの濃度を測定し、 毎日の食事を通じて摂取したレスベラトロールが 各人の健康促進にどのような効果を与えているかを調べました。 その結果、研究開始から9年目にして、被験者の34%にあたる268人が亡くなり、 27%にあたる211人が心臓や血管に関わる病気にかかり、 4・6%にあたる36人が、がんになったのでした。 つまり、この長きにわたる実験によって、 レスベラトロールの濃度と長寿・早死にとの間に相互関係を見つけることができなかったうえ、 レスベラトールの濃度と、がんや心臓疾患の発症との間にも、 特に関連性や因果関係を見いだすことができなかったというのです。 センバ博士は「欧米タイプの食事に含まれるレスベラトロールを摂取しても、 炎症や心臓・血管に関する疾患、ガン、そして長寿に著しい効果は期待できず、 『フレンチパラドックス』は証明できなかった」と説明し、 「レスベラトールを含む特定の食品が優れているということを 証拠は発見できなかった」と結論付けました。 レスベラトロールに関しては、英科学誌ネイチャーが2006年、 マウスを用いた実験で、寿命の延長、すなわち長寿を推し進める効能が見つかったとの 趣旨の論文を掲載し、世界中で大騒ぎとなりました。 これを受け、米国では現在、レスベラトロールのサプリメントが 年間3000万ドル(約30億円)規模の巨大市場を築くまでになりました。 そうした事情もあってか、今回の研究結果に疑問を抱く研究者も少なくありません。 米ニューヨーク市にあるレノックス・ヒル病院の内科医、ロバート・グラハム医師は AFPに「『フレンチパラドックス』は未だに謎であり、 レスベラトロールに関する今回の研究結果は、健康増進や長寿実現のため の“魔法の弾丸”の役割を調べることがいかに困難かを示す好例だ」と説明。 さらに「レスベラトロールについては、各人が有する固有の代謝レベルや、 摂取・排出率によってその効果が異なるため、レスベラトロールの研究ではそうした (研究過程上における)困難(の打破)に挑まねばならない」と明言。 「より健康で長寿を実現するための秘策は、(多くの人々が)いまなお研究中である」 と述べ、今回の研究結果を全面的に支持することはしませんでした。 また、英国心臓財団(BHF)の心臓疾患担当の上級看護婦、モーリン・タルボット氏も BBCに「今回の研究結果は非常に興味深いですが、 われわれとしては、人々は(健康のため)多くの果物や野菜、 全粒穀物を食べ続けるべきであるという従来の食事に関する助言は変えません」と主張。 しかし「心臓や循環器系の疾病などにレスベラトロールが与える影響を 詳細に学ぶ必要があることは認識しており、今回の研究は(こうした疾患向けの) 治療薬の開発につながる重要なものである」と、今後の展開に期待を寄せました。 こう書くと「赤ワイン飲んでも、酔っ払うだけで何の役にも立たない」 と思われがちですが、そうでもないのです。 米科学系ニュースサイト、サイエンス・デイリーは2007年9月1日、 米アラバマ大学バーミンガム校の研究チームが、赤ワインに含まれるレスベラトロールを マウスに投与したところ、前立腺がんの発症率が87%も減ったとの研究結果をまとめたと報道。 また、2010年2月11日付AFPによると、米マサチューセッツ州のNPO (非営利団体)組織「血管新生基金」は、赤ワインに用いられるブドウとチョコレートが、 がんの治療薬に成り得る可能性があるとの研究結果を発表しています。 将来、がんになる腫瘍に栄養を運ぶ血管の新生を防ぐ薬は現在、 医療現場で約10種類使われていますが、同基金が、 こうしたがんの治療薬(承認済み)といくつかの食品についてその効果を比較したところ、 赤ワイン用のブドウやブルーベリー、大豆、パセリなどで、承認済みのがんの治療薬と同等か、 それ以上の効果を確認し、これらの食べ物を一緒に食べた場合、 がんとの戦いではより効果を上げたというのです。 同基金のウイリアム・リー総裁は「食べるという行為は、 (がんを防ぐための)1日3回の科学療法なのです」と明言。 「医療革命はわれわれの身近で起こっています。 世界中の誰もが、がんの治療薬を買えるわけではないので、 こうした食事による療法が多くの人にとって唯一の解決策となるかもしれません」と指摘しました。 われわれが普段口にする食べ物には、まだまだ知られていない効果があるようです。 日々の健康のため、そして恐ろしい病気を予防するため、 できるだけ体に良い物を食べるよう心がけたいものですね。(岡田敏一) 産経新聞2014年6月1日(日)16:05
赤ワインのポリフェノールは長生きに役立たない? 調査結果に世界が騒然! http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/medical/snk20140601521.html |
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