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太郎坊のそよ風
NPO法人 富士山測候所を活用する会 スタッフブログ

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寄付を受け取る「山ガーナアプリ」の監修にあたられた日本登山医学会副会長の増山茂先生
 

思いがけない有り難いご寄付のお知らせをいただきました。
「お口の恋人」株式会社ロッテさんが立ち上げた「山ガーナプロジェクト」さまからです。チョコレート事業50年目の節目にあたり、ガーナミルクチョコレートと共に楽しく安全な登山を応援するプロジェクトとのことです。

「山ガーナプロジェクト」では、今夏(2013年8月)毎週土曜日に、山ガーナ隊が富士吉田ルート6合目で、富士山登山者に富士登山に必要な知識やマナーを伝えるとともに、①「ガーナミルクチョコレート」②「ゴミ袋」③スマホアプリ「山ガーナオフィシャルアプリ」の3点セットを配ったそうです。この様子はこちらでご覧いただけます。



このうち③スマホアプリは、GPS機能を使って登った距離・高度・時間を割り出し、登山者の年齢・性別・身長・体重・脈拍数の変化などを勘案して消費したエネルギーや水分量を計算し、食事や水分補給のタイミングを自動的に知らせてくれるすぐれもの。当NPO法人の理事でもある日本登山医学会副会長の増山茂先生がアプリ作成の監修をしています。

これを利用して山頂に到達した登山者は、富士山を守るための活動を支える「山ガーナ基金」へ募金することができます。このお金は、『富士山憲章山梨県推進会議』と私たち『NPO法人富士山観候所を活用する会』に寄付されることになっているのです。

株式会社ロッテさま、山ガーナプロジェクトにかかわった皆さま、そして山頂でご寄付をしていただきました登山者の皆さま、大変ありがとうございました。わたしたちも環境NPOのひとつとして、未来の富士山ひいては未来の日本の環境を守る活動のために大事に使わせていただきたいと思います。

今年配付したスマホアプリとチョコは合計1万2千セットとか。当然のことですが「登山者にはすごく喜ばれた」とのことでした。「来年はもっと本格的にやろう」と今から盛り上がっているそうです。


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「山ガーナプロジェクト」のウェブサイトには、「山ガーナ基金」として、以下の記載があります。 
皆さまからいただいた山ガーナ基金117,855円は、
『富士山憲章山梨県推進会議』と『NPO法人富士山観候所を活用する会』に
全額寄付させていただきました。
寄付金は未来の富士山のために役立てられます。
皆さまのご協力、ありがとうございました。


●本アプリは2013年8月26日の富士山閉山とともにサービスを一時終了しております。
●「山ガーナ」ホームページはこちら



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山頂での観測の合間を縫って庁舎の補修作業をしていただいた大河内グループ(早稲田大学)の学生たち



ボランティア【volunteer】 社会事業のために自主的に、労働や技術を無料で提供すること
 (現代新国語辞典 第四版)

資金不足となった今年の夏期観測。観測期間を例年より一週間も短縮するなどして経費節減をはかったが、何とか乗り切ることができた裏には、専門家や学生による労働と技術の両面でのボランティア活動があった。

地上では御殿場基地事務所の設営や後片づけ・撤収には学生や社会人のボランティアに手伝っていただいた。また、基地事務所の駐在担当の人手が足りない期間は、ボランティアの研究者や学生が詰め、太郎坊での荷上げ、荷下げの対応、山頂・事務局との連絡調整などにあたっていただいた。
 
山頂も例外でない。老朽化した測候所の建物は一昨年にも兼保理事が中心になりボランティアで補修していただいていたが、昨年は中断。5月の通常総会で決定した中期計画でも、測候所の建物については機能を維持するための最低限の小規模修繕で対応していくこととなっていた。そんな折も折、「測候所の雨漏り補修をやりたい」と
会員の山本さんから事務局に電話があった。

山本さんは昨年の夏、会員を対象にした測候所見学会に中学生のお子さんと親子で参加。測候所の建物の傷み具合に直に接し、「知人の一級建築士の方にも同行してもらい、ボランティアで協力したい」との、ありがたいお申し出である。

7月26日、兼保理事と山本さん、林さん、本田さんの4人で材料や工具を携え上山。事前の打ち合わせどおり、午前中に現場確認と山頂班からのヒアリング、その日の午後と翌27日の2日間をかけて補修作業。痛んだシーリング材を剥がし、ケレンした上にブチルゴムテープを貼り、プライマーを塗るところまで。場所は1号庁舎から急傾斜の階段が降りてきて4号庁舎とつながる部分、そして4号庁舎と仮設庁舎のつなぎの部分の2カ所である。

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時間がなく積み残しとなった部分は、建築補修の専門家の林さんが詳細な作業インストラクションをつくってくださり、8月16日に再び兼保理事が上山。今度は研究観測のために山頂に滞在中の大河内グループ(早稲田大)の磯部さん、松永さんのふたりの学生がボランティアで作業。再度プライマーを塗り、その上にさび止め塗料・上塗り塗料の二度塗りを行って最後まで仕上げていただいた。

庁舎の補修は業者に発注というのが気象庁時代からの文化。山小屋のように自分たちで出来る範囲は自力でやるべきである、というのが兼保理事の持論。また、研究や教育活動で利用するといったこれまでの活動とは異なった形で、NPO会員が富士山測候所に関わる一つの例ができたことは意義深い。ボランティアで作業をしていただいた皆さまにお礼申し上げる次第です。

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(上左)まず再度プライマーを塗り、(上中)その上にさび止め塗料(上右)さらに上塗り塗料の二度塗りを行う。
(下)補修が完了した屋根の継ぎ目部分。

『紙つぶて』の反響

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ムクチナートから眺めたダウラギリです。ずっと雲がかかっていたのですが、「もう見える見えないにこだわらなくていいんですね」と語りかけたら、雲がぐ〜んとこちらにむかってくるようにぬけた瞬間の写真です。いつまでも人を思いやる気持ちのままの季生に、思わずくすっと微笑まされてます。(山本さとみさん撮影・記)


東京新聞(中京地区では中日新聞)夕刊コラム『紙つぶて』。7月3日(火曜日)から半年間、土器屋由紀子・理事が火曜日の執筆を担当されている。富士山測候所での多分野の研究内容から、山頂設営、ご自身が3.11以降ボランティアで続けてこられた福島県飯舘村での放射能除染活動など、話題は縦横無尽だ。猛暑の真夏から投げ続けた『紙つぶて』も、いつの間にか寒波が到来する11月になり、あと数回を残すのみとなった。

この間、事務局にも思いがけない反響があった。
東京新聞連載の土器屋由紀子先生の『紙つぶて』を毎回興味深く拝読しています。少額ですがお役に立てて頂きたく思っております」とのメッセージを添え、富士山測候所を活用する会に寄付をされた方。井手里香先生(都立大塚病院)の研究を紹介した「急性高山病」(9月26日掲載)を読まれた名古屋市の男性から、最近一緒に登山した仲間が高山病に遭遇したことから是非詳しい研究内容を知りたいと、電話があり当NPO法人に入会された登山家の方。

10月末、土器屋理事あてに一通のお礼のメールが届いた。3年前の9月、ネパールのダウラギリで登山中に雪崩に遭い、亡くなられた元山頂班員を偲ぶ内容の「山本季生さん(10月1日掲載)を読んで便りをされたという。
差出人の山本さとみさんは、この回のコラムの終わりに登場している

日付: 2013年10月16日
件名: ありがとうございました
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土器屋 由紀子様

こんにちは。
先日の中日新聞の記事、拝見させていただきました。

ネパールから帰国した足で岡崎の山本の実家を訪ねた際に、
「さとみさん見て!」 と、山本両親がその切抜きをとても嬉しそうに見せてくれました。
なんと連載の1回目から綺麗にスクラップされていました!

先生の書いてくださった文章の端々から、生前の季生の様子が、そして今も想ってくださる気持ちが伝わってきて、本当に嬉しかったです。
3人で何度も、そして特に好きなフレーズは声に出して読みました。
本当にありがとうございました。
多彩に紡がれる先生の文章、これからも楽しみに拝見させていただきます。

ネパールで・・・
季生からの返事はこうでした。
「風になって、また会いにいきますから」
泣いて、笑ってました。

またお会いできる日を楽しみにしております。
山本さとみ

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また、今週の火曜日に掲載になったばかりの野中至と広瀬潔」(11月12日掲載)については、早々に広瀬潔様のご長男にあたる洋一様より丁重なお礼のはがきが届いた。

スペースの関係で全部は紹介しきれないが、その他にもあちこちの思いがけない方々からお声がけがあったという。ネット万能時代といった感があるが、新聞一面コラムの存在感は圧倒的だ。

実は、『紙つぶて』の反響はまだまだこれから先、さらに広がりそうな気配を見せている・・・。












広瀬洋一氏からの礼状(クリックで拡大できます)。


(*1)山本季生さんとの想い出についてはこちらを参照ください。
追悼・山本季生 ダウラギリに逝った山頂班山本さんを悼む(2011.2.5)
(*2)これまでの『紙つぶて』のバックナンバーはこちらを参照ください。
バーチャル博物館>随想・随筆・評論集



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秋の訪れを告げる山麓太郎坊のフジアザミとウラナミアカシジミ。    (2013.8.30 土器屋由紀子理事撮影)


測候所最終日の8月30日(金)。山頂はあいにくの強風と濃霧で大荒れとなった。
10時52分、商用電源を切断して閉所。最後のシフト勤務にあたった山頂班の4名が下山し、太郎坊で荷降ろし計量などの作業が終わって御殿場基地へ帰り着いたのは17時近くに。これで46日間の山頂活動は無事終了した。
9月2日には、御殿場市内に開設していた御殿場基地事務所も撤収。富士山の4つの登山道も9月2日には冬季通行止めとなり、今年の夏のシーズンを終えた。

夏期観測が始まる直前の6月に富士山の世界遺産登録が決定。マスコミも富士山測候所を活用する会の活動に例年以上に目を向け、取材攻勢も活発化した。気象庁との5年間の第3期庁舎借受契約の初年度で当NPO法人の中期計画の1年目でもあったが、財政事情は例年以上に厳しく、観測日程は昨年より1週間ほど短縮を強いられてのスタートとなった。

終わってみれば、富士山測候所の利用者は前年比17%増の延べ427人となり、ピークの2010年に次ぐ規模となった。それだけ活動の密度が高かったことになる。特に後半の8月中旬以降は利用者が絶える日がなく、来年度に向けて既存プロジェクトの拡大や新規プロジェクト実施のための現地調査なども併行して行われた。

山頂では珍しい超高層雷放電・スプライトの撮影や、桜島噴火の影響の観測など、これまで続けてきたからこその成果も得られた。また、これまでのプロジェクトのほかに、新たな動きがでてきているのは、測候所の利用価値が高まっていることの証左でもある。大震災のあった2011年以降2年間続いていた減少傾向に歯止めをかけるとともに、来年につながる勢いの兆しを見せているのは何よりだ。

まだ、閉所したばかりで今年の総括をするのは時期尚早とは思うが、今年もいろいろな出来事があった。「山頂では不測の事態が発生するのが常」といみじくも誰かが言っていたが、この夏も例外ではなく、情報共有のあり方、作業統制のあり方などに新たな課題もでてきた。

9月には記憶も新しいうちに反省会が開かれる。来年に向けた準備の始まりでもある。


(参考)ニュースリリース2013.8.30 
夏期観測2013は8月30日(金)をもって終了しました





21日(水)早朝、加藤准教授(首都大学東京)からメールが飛び込んだ。SO2の観測データに桜島噴火の影響がでているらしいとの第一報である。鹿児島市・桜島(1117㍍)で爆発的噴火があったのは、18日(日)午後4時31分。報道によれば、噴煙は火口から約5000㍍まで上昇したという。


2013年8月21日 水曜日 午前5:41
首都大学東京の加藤です。
8月20日の21時ごろから21日の3時ごろにかけて
SO2(*1)濃度が上昇しており、暫定的なデータですが4ppbぐらいにまであがっています。桜島の噴火の影響を捉えているのかもしれません。CO、O3はこのときかなり低濃度で、海洋性の大気のはずです。太平洋からの空気が桜島の影響をうけて富士山に到達したのでしょうか。

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SO2濃度が8月20日の21時ごろから21日の3時ごろまで高くなっているのがわかる



加藤先生は毎夏、富士山頂でCO、O3SO2を数年間継続して観測しておられる。観測データは無線LAN−インターネットを経由して大学で監視できるようになっており、毎日準リアルタイムでホームページ上で配信している。

10時頃、こんどは
バックワードトラジェクトリーの計算結果を添付した続報が届く。

2013年8月21日 水曜日 午前10:00

8月20日21時〜21日3時(JST)でのSO2高濃度ですが、バックワードトラジェクトリー(*2)でみるとちょうど桜島のあたりを通過しており火山ガスをひっかけている可能性が高いです。(添付ファイルはUTで20日15時、JSTで21日0時のものです)昨夜のSO2高濃度ですが、バックワードトラジェクトリーから桜島の影響だと判断してよいかと思います。

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バックワードトラジェクトリーの計算結果。
このときの空気は桜島のあたりを通過して富士山頂に到達している。


まるで絵にかいたようなぴったりの結果である。
最近、名古屋大学の長田先生から土器屋理事宛に「紙つぶて」の感想(中日新聞連載中)と合わせてつぎのようなメールをいただいていたという。

ところで、今年の夏は、ヘンテコな空気の流れになっているみたいですが、富士山でのSO2やCOなど、例年とくらべてどうでしょうか?
一つは、桜島噴煙の影響があるのではないかと思いますが、いかがでしょう?
もう一つは、西日本の下界では、大陸方面から大気汚染物質がひっきりなしにやってきているようなのですが、富士山の高度ではどうでしょう?
続けてきたからこそわかる「おもしろそうな結果」が得られていることを楽しみにしております。


まさに、続けてきたからこそわかる「おもしろそうな結果」が得られたことになる。これまでに苦労して 
SO2を測定されたことが報われたといえよう。

それにしても、観測が本日21日で終わるのはとても残念。それとも、終了前に間に合って幸運だったというべきか。

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SO2測定は今年から3号庁舎のインレットを使用している。


(*1) SO2 二酸化硫黄(亜硫酸ガスとも言った)。人体に有害な刺激性の微量気体で、人為的には石炭燃焼など工業活動で発生するが、火山ガス、温泉などにも高濃度ふくまれる。
(*2)バックワードトラジェクトリー(後方流跡線):どこから空気が流れてきたを計算でもとめたもの。空気塊がどこから来たのかを時間をさかのぼって追跡する方法で、その場その場の風速と風向や気温などの気象データから計算される。

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