ここから本文です
太郎坊のそよ風
NPO法人 富士山測候所を活用する会 スタッフブログ

書庫過去の投稿日別表示

全1ページ

[1]

イメージ 1
軽快なトークのみならず、次々と魅了する放電現象の動画を示していただき、あっという間に聴衆を科学の世界へ引き込んだ。

5月26日(日)15:30から東京理科大学総合研究機構山岳大気研究部門と NPO法人富士山測候所を活用する会とが共催した特別講演会。今回は鴨川仁先生(東京学芸大)のご紹介で、北海道大学理学研究科教授の高橋幸弘先生にご講演をお願いした。演題は、「宇宙と富士山をつなぐ」。
 
高橋先生は、東北大学でオーロラの研究で学位をとられ、南極越冬隊隊員を経験後、成層圏にみられる高高度発光現象のいくつかのうち「エルブス」という現象を発見された。現在では、世界に冠たるグローバルな雷研究を推進するだけでなく、複数の超小型衛星の製作を同時に行い、衛星による地球観測の既成概念を打ち破るアイディアで科学革命を起こそうとされている。また、富士山の夏期観測2013では鴨川先生のグループで共同研究者として名前を連ねておられる。

講演では、高橋先生の軽快なトークのみならず、次々と魅了する放電現象の動画を示していただき、あっという間に聴衆を科学の世界へ引き込んだ。講演のはじめには、高高度での放電現象についての最先端科学の紹介のみならず、富士山ならばどういった現象を撮るのがよいのかなどの提案があり、また後半には、高橋先生が新たに開発した液晶フィルターを用いて複数の超小型衛星からの観測で富士山の山体崩壊や噴火に予測に向けた健康診断ができないかという提案もあった。

イメージ 2
「大気の鉛直構造」を示すスライド。対流圏、成層圏、◯◯圏といった高さに応じて、それぞれ対応する学者(学会)が違う。


興味を持ったのは「大気の鉛直構造」を示す一枚のスライド。対流圏、成層圏、◯◯圏、××圏といった高度に応じて、それぞれ対応する学者(=学会)が地震学者、海洋物理学者、気象学者・・・と違っているという。その理由は、それぞれの学者が使っている道具(?)が異なっており、お互いに相容れないため。これでは全体を通して考えることができない・・・とも。空の上は縦(タテ)割りならぬ横(ヨコ)割りの世界である。

ひるがえって富士山測候所の夏期観測には、毎年延べ400人から500人もの研究者や学生が研究活動に参加している。大気化学の先生もいれば、放射線、雷、天文学の専門家もいる。中学高校の教師もいる。医師もいる。これだけ多くの分野の専門家が短い富士山頂の夏に集い、同じ屋根の下で研究活動に参加しているのである。

富士山測候所は、系列の垣根を越えた連携がとりやすい環境にあるといえよう。まさに、富士山測候所が新しいタイプのユニークな研究所と言われ始めている所以(ゆえん)でもある。この特長を活かせば、学際的な連携アプローチをとることで新たな知見が得られることも可能となる。異分野の先生方の間でこのような動きが活発化してきているのは、素晴らしいことではなかろうか。


イメージ 3
講演会では活発な質疑応答が飛び交わされた。


イメージ 2
学生ポスター賞を受賞した早稲田大学大河内研究室の磯部貴陽氏。手にしているのは記念に贈られたトロフィー。

月19日から24日まで,横浜赤レンガ倉庫1号館3階ホールにて開かれた第6回霧と露の国際会議
(The Sixth International Conference on Fog, Fog Collection and Dew)
で早稲田大学の磯部貴陽氏が学生ポスター賞を受賞した。
おめでとうございます。

この会議は、霧・霧水沈着・露を扱う唯一・最大の国際会議であり、世界各国の研究者間の情報交換を目的に3年おきに開催され、前回は2010年にドイツで開らかれた。大気汚染によって酸性度が高まった「酸性霧」の実態の研究成果などで、29ヶ国118名の参加がありポスター発表数は61件。

学生ポスター賞を受賞した早稲田大学大河内研究室の磯部貴陽氏の論文タイトルは、Observation of Cloud Water Chemistry in the Free Troposphere using Mt. Fuji(日本語:富士山体を用いた自由対流圏における雲水化学観測)。7年間(2006年〜2012年)にわたって富士山頂(標高 3776m)で夏季に採取した雲水の化学成分・組成を、富士山南東麓および世界各地の自由対流圏高度(標高3000 m以上)に位置する山岳、大気境界層内(標高1000 m以上、2000 m以下)の山岳における雲水(霧水)と比較して富士山頂の雲水化学の特徴を明らかにし、越境大気汚染の影響評価を行ったものである。

なお、大河内博氏(早稲田大・教授)、緒方裕子氏(早稲田大・助手)、皆巳幸也氏(石川県立大・准教授)ら、富士山測候所を活用する会の主要メンバーが共著となっている。

富士山は研究の場であると同時に、素晴らしい教育の場ともなっているのである。


受賞学生:早稲田大学創造理工学研究科 地球・環境資源理工学専攻修士課程2年生
大気水圏環境化学研究室(大河内研究室) 磯部貴陽
受賞論文タイトル:Observation of Cloud Water Chemistry in the Free Troposphere using Mt. Fuji
受賞論文共著者:Takaharu ISOBE, Hiroshi OKOCHI, Hiroko OGATA, Daisuke TAHARA, Shohei MARUYAMA (Waseda Univ.), Yukiya MINAMI (Ishikawa Prefectural Univ.) 
種別:学生ポスター賞
イメージ 1

全1ページ

[1]

本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事