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太郎坊のそよ風
NPO法人 富士山測候所を活用する会 スタッフブログ

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放射線研究者らで構成する「日本放射線安全管理学会」の第10回6月シンポジウムが6月13、14の両日、郡山市で開かれた。被災地福島県の現場の声を聞きながら早期復興に向けてどのような対策が有効か、どのような協力が可能かを探るために、昨年度初めて郡山市で開催され、今回は昨年にひきつづき2回目となる。

NPO法人富士山測候所を活用する会から「富士山における福島原発事故起因の放射線の測定−富士山で事故の影響は見えたか?−」と題して、鴨川先生(東京学芸大学)がポスター発表した。NPO法人富士山測候所を活用する会に所属する研究者が事故当時および事故後に観測した 放射性核種に関するデータを,他地点の調査を加えて鉛直分布の観点から整理を行ったものである。

論文よりまとめの部分を抜粋した。

福島第一原発事故によって大気中に放出された放射性核種の鉛直分布に関して整理したNPO研究者の観測データ,他の研究者や自治体の公表したデータを総合すると下記のようにまとめられる。
1) 富士山南東麓における通年観測から、福島原発事故後の比較的早い時期に,放射性雲が1300 mの高度に到達していた。
2) 富士山頂2か所で採取した積雪4層試料の精密測定,富士山を用いた空間線量率の鉛直分布観測,および夏季富士山頂における高エネルギー調査から,福島原発事故由来の放射性核種は富士山頂が位置する標高
3000mを超える自由対流圏高度まで輸送されていない。これは,高度別スコリアの放射性核種濃度を行った他研究機関の観測と整合している。

以上より,福島原発由来の放射性雲は2011年3月後半に富士山を含む中部山岳域に到達したが、輸送高度は2500m以下の低高度に限られ,富士山での放射性核種の沈着は東側斜面に集中していた。このように,放射性核種の輸送挙動を解明する上で、富士山など山岳を利用した鉛直分布観測が有効である可能性がある。

標高日本一の富士山は、このような放射線の鉛直分布の観測に対して有効であることを実証できたといえる。発表を終えた直後、鴨川先生から「発表のほうですが想像以上に反響ありました。NPOの宣伝もしっかりしておきました」とのご連絡をいただいた。

最後になりましたが、本研究は一般財団法人新技術振興渡辺記念会平成24年度科学技術調査研究助成
(上期)「富士山体を利用した福島原発起源の放射線核種の輸送に関する調査研究」により行われたことをご報告しておきます。


発表ポスター(写真右下の+をクリックすると拡大してご覧になれます)

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軽快なトークのみならず、次々と魅了する放電現象の動画を示していただき、あっという間に聴衆を科学の世界へ引き込んだ。

5月26日(日)15:30から東京理科大学総合研究機構山岳大気研究部門と NPO法人富士山測候所を活用する会とが共催した特別講演会。今回は鴨川仁先生(東京学芸大)のご紹介で、北海道大学理学研究科教授の高橋幸弘先生にご講演をお願いした。演題は、「宇宙と富士山をつなぐ」。
 
高橋先生は、東北大学でオーロラの研究で学位をとられ、南極越冬隊隊員を経験後、成層圏にみられる高高度発光現象のいくつかのうち「エルブス」という現象を発見された。現在では、世界に冠たるグローバルな雷研究を推進するだけでなく、複数の超小型衛星の製作を同時に行い、衛星による地球観測の既成概念を打ち破るアイディアで科学革命を起こそうとされている。また、富士山の夏期観測2013では鴨川先生のグループで共同研究者として名前を連ねておられる。

講演では、高橋先生の軽快なトークのみならず、次々と魅了する放電現象の動画を示していただき、あっという間に聴衆を科学の世界へ引き込んだ。講演のはじめには、高高度での放電現象についての最先端科学の紹介のみならず、富士山ならばどういった現象を撮るのがよいのかなどの提案があり、また後半には、高橋先生が新たに開発した液晶フィルターを用いて複数の超小型衛星からの観測で富士山の山体崩壊や噴火に予測に向けた健康診断ができないかという提案もあった。

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「大気の鉛直構造」を示すスライド。対流圏、成層圏、◯◯圏といった高さに応じて、それぞれ対応する学者(学会)が違う。


興味を持ったのは「大気の鉛直構造」を示す一枚のスライド。対流圏、成層圏、◯◯圏、××圏といった高度に応じて、それぞれ対応する学者(=学会)が地震学者、海洋物理学者、気象学者・・・と違っているという。その理由は、それぞれの学者が使っている道具(?)が異なっており、お互いに相容れないため。これでは全体を通して考えることができない・・・とも。空の上は縦(タテ)割りならぬ横(ヨコ)割りの世界である。

ひるがえって富士山測候所の夏期観測には、毎年延べ400人から500人もの研究者や学生が研究活動に参加している。大気化学の先生もいれば、放射線、雷、天文学の専門家もいる。中学高校の教師もいる。医師もいる。これだけ多くの分野の専門家が短い富士山頂の夏に集い、同じ屋根の下で研究活動に参加しているのである。

富士山測候所は、系列の垣根を越えた連携がとりやすい環境にあるといえよう。まさに、富士山測候所が新しいタイプのユニークな研究所と言われ始めている所以(ゆえん)でもある。この特長を活かせば、学際的な連携アプローチをとることで新たな知見が得られることも可能となる。異分野の先生方の間でこのような動きが活発化してきているのは、素晴らしいことではなかろうか。


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講演会では活発な質疑応答が飛び交わされた。


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総会で配布された参考資料。山頂運営にはこれだけ経費がかかっていることを訴えている


第8回通常総会が、5月26日(日)神楽坂PORTA(新宿区神楽坂)において開催された。

議決権を有する会員出席15名、委任状出席57名の合計72名が出席、正会員総数113名の過半数を超え、平成24年度(2012年度)の事業報告、決算報告をはじめ、中期計画、平成25年度(2013年度)の事業計画案、活動予算案、その他の議案が提出され、すべての議案は原案通り満場一致で可決・承認された。

今年の総会には第8回にして初めて「中期計画」が議案としてあった。この背景には東京管区気象台の第3期貸付公募に応募し、平成30(2018)年までの5年間という中期の継続借り受けが決定し、その利用の大きな枠組みは固定されたことがある。一方で、当会を取り巻く環境も認定NPO法人制度の法整備、PM2.5など越境大気汚染の深刻化(・・・これはまさに、設立にあたり本NPOが予見していたものであるが)、富士山世界文化遺産登録の決定など、各方面で大きな動きを見せていることがある。

総会でも、岩坂泰信理事(名古屋大学名誉教授)からいみじくもこの関連の発言があった。「われわれを取り巻く環境の変化は、世界文化遺産登録と噴火問題があげられる。これらにはNPOとしても(正面から)顔を向けていくことが大事である。文化遺産登録に関しては、NPOが旅行会社とタイアップして、例えば「富士山で健康ツアー」などを組んで(山頂でなく)五合目まででいいから連れて行って、研究者が研究内容を発表するというような企画も考えられるのではないか。」

「また、大噴火の前には何らかの変化があるはずであり、これが把握できれば爆発が起きたときにどれだけ被害を減らせるか、ということにも貢献できるず。太郎坊から山頂に向かう送電線の電柱に装置か何かを取り付けておいて、危険な状態になったときに予知連に連絡するなど、大げさなものでなくてもいいから、山を安全利用している姿勢のひとつとしてもやるべきだ。富士山測候所を活用する会として組織的に考えたほうがいいのではないか」と。

この2つの問題は、NPOとしてはどちらかというと正面切っての対応はあまり考えていなかった。というよりは、われわれの活動にはある意味でマイナス要因であるとあえて避けてきたきらいがある。件(くだん)の理事の発言は、これらに対しても積極的に取り組むべきであるという発想であり、啓発されるところが大であった。

向う5年間の目標は設定された。その達成実現は、いつにこれからのわれわれの努力にかかっている。



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現在(2013年4月)は、過去6年間(第1期および第2期)とこれからの第3期5年間(+1夏シーズン)のちょうど中間点にあたる
 

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第6回成果報告会講演予稿集。おもて表紙、うら表紙とも写真はいずれも池田敦氏(筑波大)が撮影。


第6回目となった成果報告会は、一般財団法人新技術振興渡辺記念会、日本郵便株式会社、三井物産株式会社の各助成団体および東京理科大学総合研究機構山岳大気研究部門の後援を得て、1月27日(日)東京大学小柴ホール開催されました。

発表件数は28件(口頭発表11件、ポスター発表17件)。分野別では大気化学(11件)を筆頭に大気電気(件)、放射線(3件)、高所医学(3件)、教育(2件)、永久凍土、天文学、雷害対策、設営(各1件)とバラエティに富んでおり、改めて富士山測候所の活用分野の拡がりを実感させてくれました。

参加者は報道関係者を含んで1名。初めて参加いただいた方からは、「学会のMLで初めて知ったが、もっと早くわかっていれば毎年参加していたのに・・・」との声もありました。せっかくの研究成果の発表を知っていただくために、まだまだ告知方法を改善する余地がありそうです。

なお、成果報告会講演予稿集(A4判54ページ)は残部数があります。ご希望の方には送付しますので、事務局までご連絡ください


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O-03富士山頂短期滞在次の安静および運動の動脈系血行動態に及ぼす影響に関する研究(岡崎和伸・大阪市市立大)。脳への血流量を超音波ドプラー法で測定しAMS急性高山病を引き起こす原因を調べ


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O-04富士山の永久凍土再発見と今後の研究展望(筑波大学池田敦氏)。
富士山の永久凍土の現状を解明すべく地温変化をモニタリングしている。2年前に設置した10m深観測孔は初年度は落雷でデータが欠落したものの、2年目になって通年の地温変動を示すデータを回収することができた。

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P-7富士山太郎坊と山頂におけるエアロゾル粒径分布の変動および霧による影響(堀 周・東京理科大
P-8富士山斜面の雲上下で採取した海塩粒子:雲過程による粒子組成への影響(上田紗也子・東京理科大)
大気中のエアロゾル粒子を富士山頂、山麓の太郎坊、そして斜面を下りながらと富士山をまるごと使って観測した。

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P-11富士山山頂における雷雲発生時における高エネルギー放射線の観測(左:片倉翔・東京学芸大
P-12富士山山頂における高高度放電観測(右:鈴木裕子・東京学芸大
雷活動が盛んな富士山頂で高エネルギー放射線発生のメカニズムや発光現象の解明のために観測を行なっている。お二人は大変お忙しい合間を縫って、朝からボランティアとして会場設営手伝ってくれました。

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P-18富士山頂実験室(佐藤元・気象実験クラブ)。
ポスター討論には、気象実験クラブのメンバーのほか、気象庁OBの姿も。いわき市の会場と結んでの実験は残念ながら交信中に回線断となって子どもたちを失望させたが、ことしは再度チャレンジ予定。

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O-02理科準備室へようこそ-富士山頂での教材開発(古田豊・立教新座中学高校)。
山頂で行った盛り沢山の実験の中から一部を紹介。初参加でしたが理科の学びの場として富士山測候所は貴重なフィールドでした。


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ポスター会場でも高校1年生の田丸真太郎くんと宮城大雅くんが、富士山頂で行った実験を再現してくれました。タケコプターは新田次郎の小説「富士山頂」にでてくる測候所建設の時のヘリコプターによる建築機材の運搬を実験で試したものということ。

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P-14富士山頂でのスカイコンディション調査(坂本強・日本スペースガード協会
初めて参加した夏期観測で、晴天率や大気透過率も高い富士山は天文観測サイトとして適していることを確認できた2013年は1ヶ月以上にわたりスカイモニターを設置、昨年のデータと合わせより長期のデータから晴天率、大気透過率などを測定すると同時に、流星などの突発天体をも検出する予定。



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「2012年富士山で行った高エネルギー放射線観測」片倉翔さん(学芸大)


今年も残すところ1週間。年末恒例の行事となった東京理科大学総合研究機構山岳大気研究部門主催のデータ検討会」が東京理科大で開催されました。

データ検討会」は富士山測候所の夏期観測に参加した学生が主体となってその成果を発表するもので、早稲田大学、東京理科大学、東京学芸大学、山梨大学、首都大学東京、東京農工大学、電中研などから30名以上が参加しました。

研究発表内容は非常に充実していて、富士山研究が若い人たちに担われて発展していることがわかるよい集会でした。


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懇親会もとても盛り上がって・・・やはり若い人はすごい!と実感しました。



[プログラム]
「富士山頂の夏季のCO,O3の5年間の測定結果比較」
加藤俊吾(首都大)

「富士山山頂で観測される放射性物質の発生源について」
児島紘・永野勝裕(東理大・理工)

「富士山頂におけるラドン・トロン娘核種の測定」
府川明彦・古川理央・三浦和彦(東理大・理)、永野勝裕・児島紘(東理大・理工)

「富士山頂における新粒子生成」
長岡信頼・羽賀菜津美・三浦和彦・上田紗也子(東理大・理)、小林拓(山梨大)

「富士山頂で測定された雲凝結核」
渡辺彩水・長谷川朋子・三浦和彦・上田紗也子(東理大・理)

「富士山斜面の雲上下で採取した海塩粒子の性状富士山斜面の雲上下で採取した海塩粒子の性状」
上田紗也子・広瀬雄揮・三浦和彦(東理大・理)

「富士山頂のエアロゾル粒径分布の変化要因」
堀周・関山舞・上田紗也子・三浦和彦(東理大・理)、小林拓(山梨大)

「太郎坊のエアロゾル粒径分布の変化要因」
関山舞・堀周・上田紗也子・三浦和彦(東理大・理)、小林拓(山梨大)

「太郎坊における係留気球観測」
桐山悠祐・関山舞・上田紗也子・三浦和彦(東理大)、速水洋(東理大連携大学院/電中研)

「3合庁舎の新インレットについてもしくは偏光OPCの現状」小林拓(山梨大)

(進行係)大河内博(早大)
「2012 年夏季集中観測期間中の富士山における大気中PAHs およびOPAHs の観測結果」
緒方裕子・大河内博・小林由典・藤田雅俊・皆巳幸也(早大)

「2012 年夏季集中観測期間中の富士山における雲水化学観測結果」
田原大祐・大河内博・緒方裕子・皆巳幸也(早大)

「2012 年夏季集中観測期間中の富士山における大気中BVOCs の観測結果」
鈴木佳祐・大河内博・竹内政樹・宮崎祐樹・緒方裕子・皆巳幸也(早大)

「2012年夏季集中観測期間中の富士山における大気中酸性ガス&エアロゾルの観測結
果」磯部貴陽・大河内博、竹内政樹,宮崎祐樹,緒方裕子、皆巳幸也(早大)

「2012年の富士山における大気中界面活性物質の観測結果」
曽田美夏・大河内博・緒方裕子・皆巳幸也・山之越恵理(早大)

「2012 年の富士山における大気中フミン様物質の観測結果」
山之越恵理・大河内博・緒方裕子・皆巳幸也(早大)

「2012年夏季集中観測期間中の富士山におけるVOCsの観測結果」
山本修司・大河内博・緒方裕子・小林由典・皆巳幸也(早大)

「2012年富士山で行った高エネルギー放射線観測」
片倉翔・鴨川仁(学芸大)

「2012年富士山で行った高々度発光現象観測」
鈴木裕子・鴨川仁(学芸大)

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