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少年は横浜で生まれ、20代の中ごろまで東京で暮らし、それからLAに移った。
東京とはまったく違うLAの気候、文化に最初は戸惑ったが、異文化に触れるたびに新鮮な驚き、喜びを感じ、ここでの生活もまんざらでもないな、と思った。
街を歩いているだけで様々な人に声をかけられる。
「そのシャツいいね!」
「元気かい?」
こんなこと東京で言ったら変人扱いどころか通報されそうだな、と苦笑することもしばしば。
英語は初めからまったくわからなかった。
LAは色々な人種で溢れかえっており、みなそれぞれ独特のアクセントの混じった英語を話す。現地の人もそれを当り前だと思っているから、会話するときもまったく容赦しない。そんなドライな関係に、少年は心地良さを覚えた。
LAでの生活も4年が過ぎた。
中古のフォードを購入した少年は、今まであまり興味のなかったSFという街へ向かった。
LAと違ってなんだか洒落てるというか、洗練された雰囲気が東京やNYとイメージが重なり、少年の関心も薄かった。
車に乗ること8時間。ラスベガスのちょうど倍だ。
最初は周囲の雄大な光景に気分も高揚していたが、それも最初の1時間ほど。延々と続くフリーウェイは危険だ。眠気が襲ってくるか、単純に運転に飽きるかのどっちかだ。
少女は東京で生まれ育ち、10代の後半にSFへと渡った。
パン屋で3年間一生懸命働いて、渡米の資金に全額つぎこんだ。昼も夜も働き、親に内緒で買ったヤマハのバイクも売った。すべてはSFでの新しい生活のためだ。
その新しい生活で、一番困ったのは車の運転だ。
少女は東京で単車は乗りまわしていたが、車の運転の経験はなかった。しかも、SFの地形についてまったく知らなかったので、あの坂道の連続には本当に苦労した。購入した車がマニュアルだったことも。。
英語は初めからまったくわからなかった。
ただ、ホームステイしていたこともあり、すんなりと現地の文化にもとけ込めた。友達もたくさんできた。
3回ほど休憩した後、少年はようやくSFに着いた。
なんなんだ、この都会感は。LAとまったく違うじゃないか。電車もあるし、街にいる人間の服装からして洗練されている。こりゃあ場違いなところに来てしまったな。
そういえば、ユニオンスクエアというところが中心街らしい。中華街はLAにもあるし、まずはそこに行ってみるか。
アメリカのどこにでもあるレストランチェーンの前に出来ている行列を横目に見ながら、ユニオンスクエアの中にあるカフェに入る。
困ったな、この後どこへ行こうか。
仕方がないので、持参してきた小説を読むことにしよう。いい時間潰しにもなるし。
「あの、、私も東野圭吾好きなんです。やっぱり『手紙』が最高ですよね。あと、宮部みゆきもいい作品いっぱいありますよね!」
なんだなんだ、この子は。俺はたまたま友人にもらった本を持って来ただけなのに。それに、どっちの作者の本も読んだことないよ。
「あ、すみません。私、普段は見知らぬ人になんて声かけられないくらい小心者なんですけど、その本を見たら黙っていられなくて」
おいおい、どこが小心者なんだ?しかもいつの間にか俺の目の前に席に移動してるじゃないか。
「もしよろしければ、少しご一緒させていただいてもいいですか?なんだか私たちか気が合いそうですね」
何を言ってるんだ、この子は?もうすでに相席してるくせに。しかも、初対面なのに気が合うとか、小心者どころか随分と肝が据わってるじゃないか。
「SFにはどれくらい住んでるんですか?私は半年くらい。最近はようやく坂道運転にも慣れてきたんだ。あなたも運転するんでしょ?ここはアメリカの、しかも西海岸だもんね」
あーあ、俺の一番苦手なタイプだな、こりゃ。
「俺はLAに4年ほど住んでる。あと半年で帰国するから、その前にここに来ただけだよ。同じ州なのに一度も来たことないしね」
「え、そうなの?実は、私も半年後に帰るんだ。一年間限定の留学なの」
そうかいそうかい、まあ俺には関係ないけどね。
「ねぇ、これもなにかの縁だし日本でまた会わない?あなたは日本のどこに帰るの?」
「東京。だけどまたすぐに外国に行くよ」
「そうなんだ。。どこに行くの?」
「ロンドンだよ。今度は一年間限定だけど」
「じゃあ、ロンドンから帰ったら会えるね!私も東京だし」
おいおい、俺たちはいつからそんなに親しくなったんだ?会ってからまだ30分も経ってないのに。
「そうだね、会えたらいいね」
「ねぇ、あなたお酒飲める?」
「飲めるよ。なんでそんなこと聞くの?」
「私は全然飲めないの。だけどね、焼酎でいろんなお酒を作れるんだ。だから、今度再会したときに何か作ってあげる」
変わった子だなぁ。酒飲めないくせに焼酎で酒作るなんて。しかもなんで焼酎なんだ?
「ああ、お願いするよ。いつになるかわからないけど」
「いつでもいい、約束だよ。そのときは心を込めて作るから」
まあ、悪い子でもなさそうだしいいか。ちゃっかりしてるけど真面目そうだし。
「ありがとう。楽しみにしているよ。じゃあ、そのときはお礼に何かCDでもあげるよ。どのアーティストがいい?」
「なんでもいい。あなたが好きな曲をいっぱい入れて欲しいな。ごめんね、面倒で」
「気にしなくていいよ。俺はいつも暇を持て余してるんでね」
「じゃあ、絶対約束だよ。東京で会うんだからね。今日はもう時間だから帰るね!」
やれやれ、慌ただしい子だな。まあ、イギリスから帰ったら連絡でもしてみるか。久々に焼酎も飲みたいし。
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ラスベガスからSFに近いヨセミテという国立公園までレンタカーを運転した事があります。フリーウェイ中心に寄り道しながらですが、15時間くらいかりました。そのあとSFに行ったのですが、運転する自信がなかったので列車で行きました。SFには二泊したのですが、洗練された街のイメージだった一方で、人種のるつぼ的な光景やホームレス等もけっこう目につきました。このお話には、ご自分の経験的な要素が含まれているのですかね?
2011/9/13(火) 午前 11:44 [ つうくん ]
つうくんさん
ヨセミテはどうでしたか?ロッククライミングやっている人とか見れますよね。
それにしても、15時間のドライブはすごいですね^^
列車の旅も僕は経験していませんが、どんな感じだったのか気になります。
自分では、LAとSFには、何度か行ったことがある程度です。
どちらも人種の坩堝という印象を受けましたね。
2011/9/13(火) 午後 9:43 [ npon0124 ]
英語圏に住んでいる人は、アメリカとイギリスに問題が無くて良いですね・・・
アメリカの西海岸は行ったことがないですが、良いらしいですね。
2011/9/19(月) 午前 4:13
pompuさん
西海岸は気候が良いな、というのが第一印象です。
イタリアは冬は極寒というイメージです。夏はどんな感じですか?
西海岸は秋のイメージがあまり湧かないのですが、イタリアはどうですか?
2011/9/19(月) 午後 9:33 [ npon0124 ]