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澄んだ泉の畔に咲いている一本の赤いバラのようだ。

男は、その女を初めて見たときを回想する。

美しい女だった。

独り身でないことは明らかだったが、それでも魅力的なのだから仕方ない。 男はあっさりとその現実を受け入れた。 誰かに心を奪われるときなんてそんなものだ。

「あなたに惹かれました。好きです」

こんなありきたりのセリフしか言えないのか、俺は。

「・・・」

「まあ、とっくにバレてましたよね。すぐに態度にでるほうなので。。」

「いいえ、まったくわからなかったわ」

この女性みたいに、優しくて、聡明な人は、そういう嘘を平然と言う。

「僕の想いはあなたに届かなくてもいい。僕の願いなんて叶わなくてもいい。あなたを愛してる。。ただそれだけです」

こういうロマンティックをかじったような男は、そういう嘘を平然と言う。何も求めない愛などないのだ。無償の愛など誰が信じるものか。こういうロマンティストに限って、心の底でこのようなことを考えているのである。

「あなたしかみえない」

そりゃそうだ。恋は盲目なんて、今時の小学生でも知ってるぞ。

「そんなこと言われても困ります。私、どうしたらいいかわからない・・」

至極正論ですな。だいたい、いい年をした大人なんだから冷静に状況をみつめるべきだ。不毛な恋愛などこの世にゴマンとある。その一つ一つを特別視していたらきりがないじゃないか。

「あなたに嫌われるようなことはしたくない。でもあなたを想う気持ちは誰にも負けない」

あーあ、そういう余計な一言が重いんだよな。まさに惚れた相手に嫌われる典型です。

「私は、あなたの気持ちを押しつけられているなんて思ってないから。。今まで通りで大丈夫よ」

あーあ、この女もちょっとマズイな。こういう優しさは残酷なものだって、今時、中学生でもわかってるのに。
だが、男は思ったよりも単純だった。

「ありがとう。あなたのそういうところが好きです」

あちゃー、こりゃだめだ。放っておこう。こういうケースでは、恋愛の神様は何もアシストが必要ないことを悟っているのだ。

「僕は今、こうやってあなたを想っている瞬間がいつまでも続けばいいと思ってる。僕にとって、それは終わることのない、不変なものなのです」

「・・・」

「いいんです、今まで通りで。あなたは何もしなくていい」

「ごめんなさい、何もできなくて」

「人の流れなんて無限のものです。その無限の流れのなかで、こうやってあなたに出逢えた。その偶然に感謝しないといけない。心から愛する人に出逢えたその偶然に」

「・・・」

「あなたの仕草のすべてが好きでした。あなたの笑顔が好きでした。あなたがいると、周りの空気がすべて僕に優しくなったようで、心地の良い風に取り巻かれた気分になりました」

「ごめんなさい、何と言ったらよいのかわからなくて・・」

「何も言わなくていい。今まで通りに、僕のそばにいてください。ただそれだけいい」

「・・・」

こういう恋愛のかたちは、この世にたくさんありそうだが、実際はそうでもない。

たとえ報われなくても、たとえ抱きしめられなくても、その人を心から愛するという行為はそれだけで尊い。だが、尊い分、それを実現するのは難しい。だから、このような恋愛のかたちは滅多にないのだ。

「僕の気持ちをあなたに押し付けるつもりもないし、あなたへの想いを断ち切ろうとも思っていない。あなたは僕の気持ちをわかっていると言った。ただそれだけで充分です。僕の想いを理解してもらえただけで充分です」

「はい・・」

そう、こういう古典的な恋愛は最近はあまりないのです。だけどね、最近みかけないが故に、恋愛の神様がいたずらをする可能性もあるんだよ。今夜ばかりは、この愚直な男にエールを送ることにしよう。










閉じる コメント(2)

ちなみに私はやたらめったら好きだ惚れただという男は苦手ですけどね(笑)
妹さんはお誕生日覚えていますよ。毛糸の靴下もらったぜい!

2011/10/13(木) 午後 6:36 グーコ

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グーコさん

あなたの勝ちです。。

靴下の柄とサイズ教えてくれたらプレゼントします(笑)

2011/10/17(月) 午後 10:36 [ npon0124 ]


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