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いつも同じ風景を求めていた。
そこに行けば、大切な人が待っているから。
お酒はまったく飲めなくて、甘いものが大好きで、夜中にも隠してあったアイスクリームを食べてしまう。
「ああ、僕はこの人が好きなんだな。どうやったらこの人への想いを断てるのかな」
できることなら、どこにいても、彼女にはなるべく素面で会いたいな。
いや、まてよ、素面だと僕は無愛想だし、会話も弾まないから少しくらい酔ってから行ったほうがいいのかな。
そんなくだらないことばかり考えながら、博多駅で新幹線を待っていた。
もう離れたほうがいいな。
そうだ、会えなくなるくらい遠くに越せばいいんだ。海外にでも行こうか。
ワシントンDCかベトナムなら仕事が見つかるかもしれない。そこまで遠くに行けば、会いたくても会えないのだから、もう大丈夫だ。
東京駅までの5時間は、そんなくだらないことばかり考えていた。
週末の夜の列車は空いている。出張帰りの会社員らしき人たちがまばらにいるだけだ。缶ビールを片手に携帯電話をいじっているか、ただ新聞を眺めている。
「お酒飲めないのなら、ちょっと変わったアイスコーヒーを出す店に行こう。元町の商店街にあるんだ」
「うん、ありがとう」
東京に着いてからは、いつの間にか早足になり、いつもの風景を求めていた。
カラオケの唄声が響くなか、ガラガラと扉を開ける。居心地の良い空間が目の前に広がる。
シェイカーの振り方は遠慮がちでぎこちなかったが、とても愛くるしかった。
「私も少しはお酒飲めるようになったのかな・・」
「そう思うよ。甘くて美味しいカクテル作ってよ。リキュールは僕が用意するから」
いつもは1杯しか飲まないカシスウーロンを2杯も飲んでたね。だから、お酒は強くなったと思うよ。
一駅隣の店で、もつ鍋と焼き鳥を食べてるときは最高だったな。
一緒にタクシーに乗っているときから僕は浮かれ気分で、薄暗いカウンターで色んな話ができたらいいなと思ってた。
今夜だけは、彼女を独占したい。
今夜だけは、僕のそばにいて欲しい。
こんな時間はいつまでも続かないんだろうな。そんなことはわかってる。でもそれは僕にとって、貴重な時間と空間だから生涯大切にしよう。
そのうち会えなくなるのはわかってる。でも今だけは、彼女との時間を大切にしたい。
たぶんどこか遠くへ行くと思う。離れたほうがお互いのためだから。
もう朝の電車で寝過ごすこともないだろう。
東京発の乗車券を買った後、ホームにて、彼女のことを想いだすかもな。
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今という時間、大事にしなくてはいけないんですよね。 一秒後には過去になり、二度と戻ってこないんです。。
2011/10/25(火) 午前 1:32
pompuさん
一秒後には過去になる。
その瞬間は二度と戻ってこない。
この瞬間がずっと続けばいいのに、と思うことはありますが、
「この瞬間」が無数にあり、すべてが一秒後に過去になるんですね。
2011/10/25(火) 午後 9:28 [ npon0124 ]