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夜の首都高速をとりまくネオンはいつもよりもひっそりと、明るさをおさえて佇んでいる。
東京タワーも、銀座の繁華街も、渋谷の駅も、レインボーブリッジも、みんな静かだ。いつもの華やかさはどこへいったんだろう。
湾岸線に車を走らせ、お台場を通り過ぎたころ、僕は隣にいる人を愛おしく感じた。
華奢な肩をしっかりと抱きしめたいと思った。
僕たちは羽田を左手に見ながら、これまたいつもよりも暗く佇んでいるベイブリッジを駆け抜ける。
ちょっと、急ぎ過ぎたかもしれない。僕はこれ以上何も望んでいないのだから。
車は本牧埠頭の出口をゆっくりと降りてゆく。
いつもは賑やかな元町の商店街や中華街も人はまばらだ。
横浜が一望できる場所へ彼女を連れていき、真っ暗な庭園で見た彼女は、そこにある薔薇と同じくらい美しかった。
ああ、僕はやっぱりこの人が好きなんだなと思った。
午前4時過ぎ。
まだ君を離したくない。
今夜は誰もいない場所で、一緒に歩きたい。
物珍しさで周囲をきょろきょろ見回している彼女を横目に見ながら、僕は彼女を想い続ける。
みなとの風景は、暗くもあったけど、とてもきれいだった。
長い長いレールの続く道を、彼女と一緒に進んで行けたらと思った。
いつかは終わりがくる。
何も進展がないのかもしれない。
それでいいと思っている。
午前2時に彼女を連れ出せるのは僕だけなのだから。
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