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終わったもののなかには、すぐに忘れてしまうこともあるだろうし、そうでないものもある。
あかぎれのした手は一生忘れないし、その大きな瞳と長いまつげも一生忘れない。
忘れなければいけないのは、そういうふうに想ってしまう、自分の感情。
毎晩ちゃんとクリームを塗って、手袋をして寝るのは忘れてはいけないこと。
健康で、充実した一年が過ごせますように。
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考える
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一年前から同じ夢をよくみる。
夜の街を上空から眺めている夢だ。
鳥が大きく翼を振りかざしながら、
夜の街をはるか上方から俯瞰しているように。
必ず希望がある。
思い続ける限り、その先には未来がある。
たとえ数十キロ離れても、
夜の空は渋滞がないからすぐに飛んでいける。 今はこのままでいい。
何も起こらなくていい。
ただ、この気持ちが永遠に続けばよいのにと思っている。
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as you know, i'm a journey man traveling all over the world aimlessly, |
You have enemies? Good. That means you've stood up for something, sometime in your life -- Winston Churchill 「軍事政権に告ぐ。ただちにこの違法に組閣された政権を放棄せよ。お前達にこれを拒否する選択権はない。その場合は我々も実力行使にでる」 「わたしがこの国のリーダーだ。革命派の諸君、それをきちんと理解したまえ」 「ふん、独裁者が何をいう。そもそもお前は民主的に選ばれたリーダーではない。今まで何人ものライバルたちを政治犯として投獄、そして死刑にしたのを我々は知っている」 「そんな証拠はどこにあるのだね。みたまえ、この国民の熱狂ぶりを。この国の経済を活性化し、彼らの生活を豊かにしたのはわたしと軍部の政策によるものだ」 「そんな目先の利益に騙されるほど国民は馬鹿ではない。少なくとも我々はお前たち軍部がしてきた数々の違法行為の裏をとっている。弾劾裁判で全国民の前で恥をかきたくなかったら、すぐにこの政権を解体せよ」 「君たちのどこにそんな力があるというのかね?この圧倒的な軍部の力を前にして怯まない度胸は買っておくが」 「我々はすでに諸外国のリーダー達とも連絡をとっている。A国をはじめ、ほぼすべての民主国家の支持をとりつけてあるのだ」 「まだわかってないようだね。いいかね、この国の主権は我々にあるのだよ。それは他国が侵すことのできない、神聖な権利なのだ。誰がどうやってその地位に就いたのかは問題ではない。そこに誰がいるのか、それがすべてだ。ちなみに我々は君たちのいうところの『民主国家』以外のリーダーたちの支持はとりつけているがね」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ かくして革命派の人間たちは、公衆の面前で国家反逆罪として全員処刑された。もちろんA国をはじめとする諸外国のリーダー達はこの行為を糾弾し、遺憾の意を表したのだが。 このニュースを聞いた世界各国の「民主的な人々」もすぐさま非難の声を一斉にあげた。でも悲しいかな、みな一か月もすればこうした惨劇など忘れてしまうのだ。 日々の生活に忙しい君はいったいどこまで外の世界に関心があるんだい?新聞やテレビの報道にどれだけ耳を傾けているのかい? ライバルはいろいろなところにいる。 敵・味方もいろいろなところにいる。 国境とか政治的同盟とか、そんな堅いものとは関係なくね。 自分のために立ち上がることは、大いに結構だ。 自分の家族や友人のために立ち上がる行為は美しい。 では、赤の他人のためにはどうなんだ? 君はそこに敵を見つけたら、自分のパッションを注げるかい? 何かに立ち向かうとはそういうことだ。 その行為の前では、努力や勤勉なんていう言葉は薄っぺらい意味しか持たないんだ。 そういうお前はどうなんだって? おいおい、そんな野暮なこと聞かないでくれよ。そもそも俺は地位とか名声とかいったものに興味はないんでね。一文にもならないことには関心がないのさ。 俺にしかできないことをやり、その見返りとして報酬を得る。それだけの話だ。もちろん値段は高いけどね。なんたってこの世に一人しかいない俺がやるんだから。 その法外な報酬を赤の他人のために使えだと? 誰がそんなことするもんか。ばかばかしい。だいたいこの世の中、金はあるところにはあるんだ。誰かを救いたいんだったら、それをお前さんの力でどうにかしてくれよ。 いいか、頼むからもう二度とそんなくだらないことを言い出さないでくれよ。 まじめに答えたって一文にもならないから。
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氷山にぶっつかって船が沈みましてね…。
わたくしはどうしてもこの方たちをお助けするのが私の義務だと思いましたから
前にいる子供らを押しのけようとしました。
けれどもまたそんなにして助けてあげるよりは
このまま神のお前にみんなで行く方がほんとうにこの方たちの幸福だとも思いました。
それからまたその神にそむく罪はわたしひとりでしょってぜひとも助けてあげようと思いました。
けれどもどうして見ているとそれができないのでした。
子供らばかりボートの中へはなしてやってお母さんが狂気のようにキスを送り
お父さんがかなしいのをじっとこらえてまっすぐにたっているなど
とてももう腸もちぎれるようでした。
そのうち船はもうずんずん沈みますから、私はもうすっかり覚悟してこの人たち二人を抱いて、
浮かべるだけは浮かぼうとかたまって船の沈むのを待っていました。
誰が投げたかライフブイが一つ飛んで来ましたけれども滑ってずうと向こうへ行ってしまいました。
私は一生けん命で甲板の格子になったとこをはなして、三人それにしっかりとりつきました。
どこからともなく 番の声があがりました。
たちまちみんなはいろいろな国語で一ぺんにそれをうたいました…。
この方たちのお母さんは一昨年没くなられました。
ええボートはきっと助かったにちがいありません、何せよほど熟練な水夫たちが漕いですばやく船から離れていましたから。
-- 黒服の青年、天上行きの汽車にて
「教授、僕が自立できていない人間だなんていくら恩師でも言葉が過ぎるのではないですか」 「どうやら君のプライドを傷つけてしまったようだね。それは悪かった」 「そんなことはどうでもいいんです。僕が知りたいのは先生のその発言の真意です。いったいこの医局で僕より優秀な外科医が何人いますかね。僕はプライドなんてどうでもいいのです。ただ自分の腕だけは世界一だと自負しています」 「それはわたしも認めよう。君より腕のいい外科医はそうはいないだろう。実際このわたしなんかよりも君のほうが数倍も上手にオペをこなす」 「ではいったいなぜ、わたしが未だに自立できていないのですか。自分でいうのもなんですが、まわりからは十分な人望は得ていると思います。社会的地位だってそんなに悪くない。僕はこの仕事に誇りを持っているし、それを社会的貢献という、目にみえるかたちで還元しているではないですか」 「どういう貢献のことだね?」 「今まで何千人というクランケの傷を治し、命を救ってきました。もちろん救えなかった命もありましたが、それでも僕は出来うる限りのことはしてきましたよ」 「君はいったい何を言っているのかね。それではまるで君ひとりでクランケを治しているみたいではないか」 「どういう意味でしょうか。そりゃぁ僕だって助手の医師たちや看護婦にも感謝していますよ。さすがに僕一人で執刀はできませんからね」 「どうも君はさっきから勘違いしているようだ。いいかね、われわれ医師はただ単にクランケが治るのを手助けするだけなんだ。クランケの命はクランケのものだ。だからそれを治すのも彼ら自身でなければならない。我々医師は聖職者ではけっしてないのだ」 「それはそうですが・・」 「君は彼らの命を預かっている気になっているが、その考え自体が間違っているのだよ。君もこの広大な宇宙の中で誰かに生かされているんだ。それが判って、人間初めて自立した人間になるのだよ」 「教授の仰る意味はなんとなくわかる気がします。でもそれでは医者の存在意義が失われてしまうのではないですか。われわれのような、特別なスキルをもった人間は社会に必要ではないのですか」 「もちろん必要だ。ただひとつだけ気をつけてほしい。人間が人間の命の終りの時期を決めようなんて、そんな傲慢な気持ちをもってはいけない。君も医者ならわかるだろう」 「たしかに人間死ぬ時は死にます。現に昨日オペした男性のクランケは癌が全身に転移して、手のほどこしようがありませんでした・・」 「ああ、そのクランケならわたしもさっき会ったよ。病室で意識も朦朧として、それでも妻が傍に静かに寄り添っていた。死期が近づいていることは、おそらく本人もわかっているだろう。母親が人目をはばからず泣いているそばで子どもたちを呼び寄せて、そのクランケが言っていたよ。 「なんと?」 「息も絶え絶えで『お母さんを一人にしちゃだめだぞ』と」 「・・・」 「子どもたちはなんのことだかおそらく理解していないだろう。でも今まで自分を生かしてくれたものの一つが、この世から去るということは本能で感じているはずだ。クランケの妻も実際、君に深く感謝していたよ。何度も頭をさげて、君のおかげで夫もここまで生きることができました、と」 「医師として当然のことをしたまでです・・」 「それでいい。向こうへ行ってその子どもたちに声をかけてやりなさい。なんでもいいから君自身の話をしてきなさい。それからその白衣は脱いでいったほうがいい。子どもたちが緊張してしまうから」 「わかりました。何を話したらいいか困ってしまいますが、なんとかやってみます」 |


