和歌山弁護士会元会長を逮捕=保釈保証金横領の疑い―地検
もしも弁護士がドラッカーの「マネジメント」を読んだら
もし新米弁護士が、ドラッカーの「マネジメント」を読んだら、彼はきっと驚くだろうな。なぜ
なら、そこには彼が所属する法律事務所と、彼自身のことが書いてあるからだ。
「マネジメントなしに組織はない」
「マネジメントは企業だけのものではない」
「マネジャーをしてマネジャーたらしめるものは、成果への貢献という責務である」
「所属する事務所に何とか成果を出させたい。そのためには自分に何かできることをしたい」
そう考えていた新米弁護士は、この本が「自分のために書かれたもの」であることを確信する
だから以降、そこに書かれていることを脇目も振らず実践するようになる。
法律事務所におけるマネジメントの役割
彼は、「マネジメント」を読み進める。するとドラッカーは、マネジメントには三つの役割が
あると説く。そこで彼は、それらについて一つ一つ自分に当てはめて解釈していく。
1.「自らの組織に特有の使命を果たすこと」
彼はこれを、「人権の擁護と社会正義の実現」と解釈する。
2.「仕事を通じて働く人を生かす」
彼はこれを、事務所に関わる全ての人――事務員一人一人、所長や先輩、そして自分に
至るまで――
を生かすことだろうと解釈する。
3.「自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する」
彼はこれを、事務所を含めた事務所に関わる全ての人――顧問先関係者や依頼主、ある
いは地域の人々――に「夢と希望と勇気を与えること」だろうと解釈する。彼らに感動
を与え、それを彼らの生きる力に変えてもらうことこそが、ドラッカーの言う「社会の
問題について貢献する」ことだろうと確信する。
「だから……」と彼は思う。
「ただ裁判に勝つだけではダメなんだ。依頼主に、夢と、希望と、勇気を与えられるような、
正々堂々とした勝ち方でなければ……!そういう紛争の解決、安心できる生活にいたる方法を
見出して教えてあげなければ」
最初に実行すること
さて、そうして「マネジメントとは何か?」ということは分かった。ただ、それを実行するに
はどうしたらいいのだろう?
しかし、それについて悩んだりする必要は全くない。なぜなら「マネジメント」には、ちゃん
とそのことも具体的に書かれてあるからだ。
ドラッカーは言う。まず「われわれの事業は何か」を問えと。
そこで彼は、それを自らに問うてみる。すると、そこで出てきた答は「人権擁護、社会正義の
実現する」というものだった。
注1)「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とします(弁護士法1条1項)。
弁護士は、この使命にもとづいて誠実に職務を行います。
(日弁連HP「弁護士の使命」より)
注2)「弁護士は、法廷活動、紛争予防活動、人権擁護活動、立法や制度の運用改善に関与
する活動、企業や地方公共団体などの組織内での活動など、社会生活のあらゆる分野
で活動をする・・・」(日弁連HPより)
ところが、その先を読み進めてみると、
「『われわれの事業は何か』との問いに答えるには、顧客からスタートしなければならない」
「したがって『顧客は誰か』との問いこそ、ここの企業の使命を定義するうえで、もっとも重
要な問いである」
と書かれていた。
「顧客!」
彼は愕然とする。これまで事務所に顧客がいるなどとは、つゆほども考えたことがなかったか
らだ。いままでは単なる「依頼主(クライアント)」としか考えていなかった。世間で言う「お
客様」と言う概念は無かった。
しかし、彼は考える。
ドラッカーがそう言うなら、それはきっとそうなのだろう……
そうして、彼は生まれて初めて「事務所の顧客は誰か?」ということについて考える。
長い時間考えて、彼はようやく、それについての答を出す。
事務所にとっての顧客――それは、「依頼主」・・・いや一寸違う・・・
「困っている全ての人々」と
裁判―― 公判は原告と被告そして裁判官で成り立っている。そして傍聴人。ならびに外にいる
・・・結果を、事の成り行きを気にしてくれる多くの人々。
裁判を見てくれる人々・・・傍聴する人々、そしてメディアで取り上げられたり、結果につい
て気にかけてくれている人々がいて、はじめてあの熱い舞台が生み出された。そもそも、紛争
が無ければ法廷という場に立つことも無いだろうし、問題性がなければテレビや新聞にも取り
上げられることはなかったろう。なるほど、全ては「顧客」があってこそなのだ。わたしたち
の夢も、裁判を気にかけてくれる人(顧客)がいたからこそ、はじめて抱くことができたのだ。
原作者:岩崎夏海氏のブログ
http://d.hatena.ne.jp/aureliano/20080711/1215741244
より抜粋して一部パロディ的に字句を変換、加入しています。