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私の高校時代の友人で、南山大学の哲学科の教授である、長倉久子さんから、「恩寵の旅路」と題した本の贈呈を、先週受けた。「中世思想研究者が見た、ヨーロッパの人間と生活、そして信仰」といういかめしい帯びが付けられていた。
余り知られていないが、南山大学の哲学科は、日本の最高峰であると、ある講演会で聞いた事がある。彼女は、敬虔なクリスチャンであったので、この題名からキリスト教にまつわる彼女の宗教的な思想が書かれた本であろう・・何となく重い気持ちになったのも事実である。
でも、折角送ってくれたのだから、後で会った時に「如何でした?」と感想を聞かれた時に、気まずい思いがしそうだなぁ!と言うことから、日曜日の朝、思い切って・・それこそ・・覚悟を決めて読み始めました。
最初の書き出しが
1971年の10月の半ば、その日は一日中小雨が降り続いていた。
「お母さん、遅くなるわ。もう帰った方がいいと思うけど」
「あれ!長倉さん、小説を書いたのか!」・・・と錯覚を覚えるような書き出しで始まっていた。
今、このブログで、きちっとした読後感は書けないが、彼女の情景の捉え方、チョットした事への正確な描写、人間の心の動き・・これ等の表現の上手さには、本当に驚いてしまったと言うよりは、参ってしまった・・と言う方が正確かもしれない。
私の読書量は決して自慢できるほど多い訳ではないが、間違いなく3冊に入る良書であった。素晴らしい長倉さんの「エッセイ集」は、読み終わった今でも、感動の余韻が消えていかない・・
その長倉さんの”あとがき”に、この本の発行の動機が書かれていた。期日は2007年8月と書かれていたから、未だ1ヶ月前のことである。
そこには次のように書かれていた。
このエッセイ集は、過去、研究の合間に随筆として、雑誌に発表していたもの
で、友人から「本にするように」と何度も背中を押されていたが、その度にため
らい・・ズルズル引き伸ばしていた。
だが、今年の4月突然ガンの宣告を受け,「もう恥ずかしがってはいられない」
その思いが、この本の発表に繋がった。
と書かれていた。
この私のブログに触れた方、長倉久子さんの「恩寵の旅路」(知泉書館)を、是非読んでみてください!きっと私と同じ感動を受けると思いますよ!
本当に、素晴らしかった!
大滝
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