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景気対策としての法人税減税

 法人税減税を推進する意見は、日本国内への企業誘致による税収確保を目的にあげる。この目的には異論は無い。

 しかしその根拠として短絡的にアイルランドの例をあげたり、そもそも論の法人税二重課税否定説を持ち出したり、どうも腑に落ちないのだ。

 そこで、なぜ腑に落ちないのかその理由を改めて考えてみた。

 今回の法人税の話題は景気回復のためにあるということを前提に、先ず、景気対策を分解してみる。

景気対策は、次の2つに分かれる。
* 金融政策・・・低金利政策、量的緩和
* 財政政策・・・減税、政府支出増

今回法人税減税が改めてクローズアップされている背景には、従来の景気対策の有効性が問われているからだ。
 金融政策には、中央銀行が金利を引き下げることで市中銀行の貸出を増加させる機能があるが、通常の金融政策が機能しにくくなっている。リーマンショック後米国も超低金利政策の仲間に入り、量的緩和も末端での資金需要を喚起するのにも限界が出てきている。この『限界』に根本的な問題があるのだが、今回は触れない。この限界から、財政刺激策に重点を置く傾向になっている。
財政刺激策には、政府支出増加と減税が考えられる。
 しかしギリシャ問題の表面化により、財政赤字にも慎重にならざるを得ないことで、財政出動も積極的になりにくいという状況だ。

 こういう背景で消去法ではないだろうが、減税が残ってくる。

法人税減税の目的は、次の2つ。
* 投資刺激
* 企業誘致
投資減税は、限界税率を効率的に引き下げて投資を刺激できる。法人税減税は、それに比べると必ずしも投資につながるものではなく、その効果に限界がある。
 もし約40%の法人税をなくすと、利益が100%株主に配当されるので、配当課税率によっては、なくなった法人税はカバーできるとの見解もある。しかしいかに株主重視といえども、不況期の法人税減税であればなおのこと、企業経営者は利益留保を先ず考えるだろう。二重課税論を持ち出す場合には、株主利益と企業行動についてのバランスがどうなるのかを検討する余地があろう。

 さて、アイルランドの例を持ち出して、法人税減税が経済成長を促すとする見解については、日本にあてはまるだろうか。

 OECD《Economic Outlook Interim Report》によると、アイルランドは、輸入比率(正確には 輸入/(GDP-輸入))がGDP比約40%と高い。したがって財政刺激策の効果が相対的に低いといえる。これは、政府支出の増加による需要押上げに対応する供給が輸入により国外流出しやすいためである。

 GDPに対する輸入比率の高い国は、ベルギー、アイルランド、オランダ、スイス、ハンガリーなどがあり、これらの国々は周囲の国々と輸出入での相互依存関係が深く、財政面での刺激より減税により企業誘致したほうが高い効果が得られるといえる。
 ちなみに日本の同比率は約10%となっている。米国はほぼ同じ、ドイツは約20%となっている。政府支出増の乗数効果が高く同比率が低い国々は、法人税減税より財政刺激のほうが良いといえる。
他にも、法人税減税が景気浮揚に適合する要因があると思うが、少なくとも日本とは違いがあると思わざるを得ない。

「 注)http://bit.ly/gCnimr
 上記OECD 村山裕氏のレポートを参考にしています」


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