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そこは、暗い森だった。 いや、森ではない。 ずっと、ゆるやかな傾斜が続いている。 鬱蒼と木々が生い茂る、ここは、山だ。 地面に力強い根をおろした木々が、空に向かってまっすぐに伸びている。 一本一本が、想像も出来ないような長い年月を経たものなのだろう。 その幹は太く、まるで網をかけるかのように頭上に広がる枝々が、太陽の光をさえぎってしまう。 周りはとても、薄暗い。 私は、息を切らせながら、その山道を登っていた。 もうすぐだ。 もうすぐ、この山道をを抜けて、頂上に出る。 気持ちは急いでいるのに、反するようにこの足は、思うように動かない。 まるで、大きな鉛の固まりを、両足にくくりつけているかのようだ。 荒い息を吐きながら、足元を、見下ろす。 服はところどころ裂けて、ボロボロだ。 裂けた衣服の隙間から、自分の足が見える。 そこには、無数の赤みを帯びた傷跡が、刻み付けられていた。 あれ? 私は、改めて自分の足を、よくよく見る。 ・・・こんな変なブーツ、私、持ってたっけ・・・ 長靴でもない、うちの商店街にも売ってないような、ブーツ。 見覚えはないけど、だいぶ、使い込まれているようだ。 こんな、いかにも男物のブーツなんて、履いたことないのに。 今の私は、ピタリと自分の足に馴染むように履いている。 あれ? 私は、改めて自分の手を見る。 私の手は、足と同じように、無数の小さな傷がついて、泥にまみれていた。 いや、その前に。 私、こんなに大きな手をしていたっけ。 細長い指に、骨ばった大きな手。 男の人の手だ。 小さな違和感が、徐々に思考の片隅で、大きくなっていく。 あれ? どこか、おかしくない?? そんなことを思っていたら、突然、周りを囲むように立ち並ぶ木々の隙間から、何かが飛び出してきた。 それは、私の進む道を、さえぎる。 私は、反射的に身構えながら、腰にさげている剣に、手を伸ばした。 目の前に、現れた人物。 その男は、長い剣を構え、まっすぐに私に狙いを定める。 その剣の切っ先が、鈍く光って見えた。 「見つけたぞ」 長い髪の隙間から、いびつに曲げられた口元が、見える。 私は、口の中で、舌打ちする。 − 邪魔が入った − − 一刻も早く、あそこに行かなければいけないのに − 相手に、疲れを悟られないように、息を整える。 腰に収まっている剣を、すらりと抜く。 そして、私の口が、開いた。 「・・・、おい」 あれ? 「おい・・・!」 自分で話しているつもりなのに、声が違う方から聞こえてくる。 やがてその声は、まるで雷が落ちたかのように、私の脳天を突き刺した。 「おい!起きろー!!いつまで寝てんだ!!ケイト!!!」 「お父さん!ごめんなさい!!!」 叫ぶと同時に、私は、ベッドから飛び起きた。 −つづく−
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夢の内容はフーリスだった時の記憶みたいっすね。
にしても「お父さん!ごめんなさい!!!」って(笑)
多分起こしたのはお父さんじゃないんだろうけど、普段からケイトは朝は弱くてお父さんに叩き起こされてるんやろなぁ^^
2009/3/6(金) 午前 0:22 [ - ]
夢オチかなぁとは思ったけど、最後のケイトの台詞に笑ってしまいました。シリアスな場面だったのに・・・。
続き、楽しみにしてます♪
2009/3/6(金) 午後 11:00
ねおさん、ありがとうございます!
夢から起きたときのケイトの台詞は、まさに長年にわたって体に沁み込んだ習慣ですね(笑)
2009/3/7(土) 午後 11:30
有栖川さん、ありがとうございます!
やはりケイトがいる限り、シリアスな展開は難しいかもしれません(笑)というか、私が笑いの方に走りたくて仕方なくなっちゃうんですね。困ったものです〜(笑)続きもよろしくお願いしますw
2009/3/7(土) 午後 11:32
再開待ってました♪
元気で明るい前向きなケイトにまた会えて、続きが楽しみです!
ビーダとのやり取りもまた…★
2009/3/8(日) 午前 3:20 [ つばき ]
夢おち?っていうか、フーリスの時の記憶、ってもしかして、フーリスが死んだとき?
この時の目的っていうのが、これからのケイトの目的になるのかな?
続きが楽しみ〜♪
2009/3/8(日) 午後 11:11
つばきさん、ありがとうございます!
そう言ってもらえると本当に嬉しいです。ビーダとのやりとり、お楽しみにしててください(笑)
2009/3/9(月) 午後 9:42
佐奈さん、ありがとうございます!
おお、さすが鋭い。ご名答です。ケイトよりも鋭い(笑)
フーリスの記憶の断片が、夢となって現れているようです。
この夢のシーンは物語の後半で明らかになってきます。どうぞ続きもよろしくお願いします。
2009/3/9(月) 午後 9:47