栄養士のための栄養士による 「栄養情報NET勉強会」

定期的に栄養疫学の論文の内容をレポートし、素朴な質問、論文に対するコメントなどを議論するJournal CLUBの内容を掲載。

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引っ越しました

栄養士のための栄養士による「栄養情報NET勉強会」の内容を、ブログで一部公開してきましたが、このほど引っ越しををしました。
引っ越し先は …こちらです

ぜひコメントなどお寄せください。

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今週の栄養疫学論文_BMJ

このML(勉強会)の内容・参加方法を詳しく知りたい方は、”勉強会案内へジャンプ”をクリックしてください。
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皆さん、こんにちは。今回はAmerican Journal of Clinical Nutrition (8,9,10月号)とBritish Medical Journal (7/14〜10/27)の中から栄養疫学を紹介します。

長期間母乳のみで育てることが、アレルギーやぜんそくを予防につながらなかった: ベラルーシ共和国, クラスタランダム化比較試験

Kramer MS, et. al. Effect of prolonged and exclusive breast feeding on risk of allergy dn asthma: cluster randomized trial. BMJ. 2007; 335;815-18

 母乳を与えて育てることが、ぜんそくやアレルギーを予防するかということは長いこと議論になっており、いくつもの観察研究では予防効果が報告されています。

 しかし症例対照研究では思いだしバイアスなどの問題、コホート研究でも診断の難しさや、授乳期間や頻度など曝露情報の誤分類などの問題があり、観察研究の結果には限界があります。 これらの問題を解決する方法としては、無作為化割付試験を行うことが考えられますが、母乳を飲ませる群と飲ませない群に割り付けるというのは、倫理的にも問題があります。

 そこでこの論文の著者らは、母乳で育てるとすでに決めている母親を対象に、施設毎に長期間母乳のみで育てることを勧める群と、何も勧めない群にわけ、6年半追跡し、子供にぜんそくやアレルギーの症状がでているかどうかを、質問票および皮膚プリックテストによって調べました。

 31の病院を施設という集団毎に割付を行ったので、クラスタランダム化比較試験と呼びます。介入群にはWHO/UNICEFのBaby-Friendly Hospital Initiative ( BFHI )にそった指導を行い、コントロール群は、無作為化の段階で病院が行っていた指導方法のままにしました。


 3ヶ月後、母乳のみで育てている母親は、介入群で44.3%、コントロール群で6.4%と大きく異なり、12ヶ月後でも、この差は統計学的に有意でした。ところが、6年半後、介入群とコントロール群でアレルギー症状についての質問票および皮膚プリックテストを行ったところ(追跡率は両群80%程度)、ぜんそくの症状や、テストへの反応などに差はありませんでした。そればかりか、テストの成績に著しくアレルギー陽性率の高かった施設をのぞいて解析したところ、介入群でアレルギー陽性のリスクが高いという結果でした。


 この結果について著者らは、先行研究においても結果は一致していないことに言及しながらも、母乳が世界的にも推進されているにもかかわらず、ぜんそくやアレルギーが増えていることをあげて、母乳を与えることと、子供のぜんそくやアレルギーは関連がなく、これらの症状の他の原因を特定し、新たな対策方法を探さなければならないと結論づけています。


考察には研究の限界についてあまり述べられていなかったので、勝手に限界を考えてみました。12ヶ月後にも介入群とコントロール群で、母乳のみの授乳率に有意に差があったとは言っていますが、実際には介入群でも6ヶ月で7.9%と、ほとんどのひとがやめるか混合にしています。12ヶ月後、混合にして続けている人の割合も、介入群19.7%、コントロール群11.4%とあまり差がありません。介入はしてみたけれど、長期的に継続がなされなかったため、母乳がアレルギーと関係ない、というよりこの介入の仕方では効果がなかったので、母乳とアレルギーの関係はわからない、というところなのではないのかな、と思いました。

**介入方法のもとのBFHIは、WHO/UNICEFの共同声明で、「母乳育児成功のための10カ条」を呼びかけて母乳育児を推進しています。

ユニセフホームページ コチラ
日本語版/日本母乳の会コチラ

この10カ条の中では、期間などについての、具体的目標値は見あたらなかったので、研究の中でどういう介入をしたのかが、今一見えないところが残念でした。
今回は目次和訳はなしで、ゴメンナサイm(_ _)m

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今週の栄養疫学論文_JN

皆様、こんにちは。大妻の小林です。今週はJournal of Nutritionからご紹介いたします。

抗酸化栄養素のサプリメント摂取で皮膚がんを予防できるか

Antioxidant Supplementation Increases the Risk of Skin Cancers in Women but Not in Men Serge Hercberg, Khaled Ezzedine, Christiane Guinot, Paul Preziosi, Pilar Galan, Sandrine Bertrais, Carla Estaquio, Serge Briançon, Alain Favier, Julie Latreille, and Denis Malvy. J. Nutr. 2007 137: 2098-2105.

(背 景) 老年人口の増加、オゾン層の破壊による強度の日光曝露によって、皮膚がんの発生率は増加している。UVによって誘発された酸化ストレスに対抗するためには、ビタミンとミネラルの経口摂取量を増やすことによって、内因性の抗酸化システムを強化することだという報告がある。臨床治験では、一定の見解が得られてはいないが、日焼けの防止のために経口の抗酸化剤の摂取が推奨されている。
 特に、β-カロテン、アスコルビン酸、ビタミンE、セレン、亜鉛の抗酸化力に、UV曝露による害を予防する可能性があることが示唆されている。しかしながら、長期間にわたるサプリメントの影響を抗酸化剤の高用量でテストしている臨床試験では、皮膚がんの発生率の上で効果がみられなかったという報告もあり、セレンのサプリメント13年投与後に皮膚がんのリスク増加の関連を暗示した報告もある。

(目 的) 抗酸化ビタミンとミネラルの組合せによるサプルメント投与によって皮膚癌(SC)のリスクを減らすことが可能か調べる。

(方 法)
デザイン: 二重盲検無作為化比較試験
対 象 者: フランス人、女性7876人(35-60歳)・男性5141人(45-60歳)
介入方法: ビタミンC120mg、ビタミンE30mg、βカロテン6mg、セレン100mg、亜鉛20mgまたはプラセボを無作為に割り付けた対象者に投与。
追跡期間: 平均7.5年

(結 果) 膚がん患者157人(そのうち25人はメラノーマ)
女性
皮膚がん    ハザード比(95%信頼区間)=1.68(1.06-2.65); P = 0.03
メラノーマ   ハザード比(95%信頼区間)=4.31(1.23-15.13); P = 0.02
メラノーマ以外 ハザード比(95%信頼区間)=1.37(0.83-2.28); P = 0.22
男性
皮膚がん    ハザード比(95%信頼区間)=0.69(0.43-1.10); P = 0.11
メラノーマ   ハザード比(95%信頼区間)=0.49(0.12-1.97); P = 0.32
メラノーマ以外 ハザード比(95%信頼区間)=0.72(0.44-1.18); P = 0.19

(結 論) 女性では、抗酸化ビタミンとミネラルのサプリメントはメラノーマのリスクをあげる。男性では、サプリメント皮膚がんとの関連はみられない。

(考 察) 
--抗酸化物質がメラノーマの危険因子になる。動物実験の結果と矛盾する。--
 動物モデルでは、抗酸化剤を含んだ食事はUV-AまたはUV-B照射の前に与えられている。対照的に、本研究では、抗酸化剤は日光または他のリスクファクターの長年の曝露の後に与えられている。この段階では、抗酸化剤がDNA損傷を予防するにはあまりに遅い可能性がある。一方、抗酸化剤は動物モデルで腫瘍細胞を破壊するナチュラル‐キラー・リンパ球の作用に干渉することが報告されている。

--抗酸化剤はメラノーマのリスクをあげるがその他の皮膚がんとの関連はない。--
メラノーマの発症は他の皮膚がんに比べ、リスクファクターの長期曝露が影響する。幼少の間の日射への曝露によってメラノーマ発症が誘導されると推定される。

 著者らは、ある特定の栄養素を大量に長期間摂取することは必ずしも健康に良い効果を与えるとはいえないといっています。抗酸化物質のがん予防効果に関しては多くの研究が行なわれていますが、いまだに結論は出ていません。健康補助食品の利用とその効果、危険性についての定義を決めることは重要ですが、それにはまだまだエビデンスが足りないようです。

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まだ今週は終わっていません。ギリギリセーフの今週の栄養疫学論文は、Lancet 8月25日号から紹介します。

カルシウム(+VD)投与が骨折を予防するか、無作為割付臨床試験のメタ解析

Tang BM, Eslick GD, Nowson C, Smith C, Bensoussan A. Use of calcium or calcium in combination with vitamin D supplementation to prevent fractures and bone loss in people aged 50 years and older: a meta-analysis. Lancet. 2007;370:657-66.

(いまさらカルシウムが骨折予防…?)という気もしたのですが・・・

(背 景) カルシウム投与の骨折予防効果について、初期の臨床試験では効果が認められていましたが、その後の大規模な調査では効果が認められませんでした。さらに、いくつかのメタ解析においても結果は一致していません。そこで、これまでよりも詳細に文献をレビューしてカルシウム投与(またはCa+ビタミンD)が、骨粗しょう症や骨折を予防するか検討しました。

(方 法) 電子データベースに加え、参照文献の探索、レビュー文献、学会の抄録によって、29の臨床試験(参加者合計63897人)を抽出しました。参加者が50歳以上である試験を条件とし、主要な評価指標は、“骨折”と、“ベースラインからの骨密度低下率”としました。(※食事によるカルシウムを補給した研究は対象外としました。) それぞれの研究の追跡期間を平均すると、3.5年でした。

(結 果) “骨折”を評価した17件の研究(参加者数合計52625人)において、カルシウム(または+VD)投与群の対照群に対する相対危険度=0.88 (95%CI: 0.83-0.95)と、有意にリスクが低下しました。
 “骨密度”を評価した23件の研究(参加者数合計41419人)では、Ca投与群の骨量低下率を、尾てい骨;0.54% (0.35-0.73%)、背骨;1.19% (0.76-1.61%)、それぞれ抑制する方向で有意 に関連していました。

・参加者が、投与されたサプリメントをさぼらずに飲んだ研究において、そうでない研究よりも“骨折”のリスク低下の効果は大きいものでした。
・投与量の多い研究の方が、より大きな効果を示しました(Ca ≧1200 vs. <1200mg: RR= 0.80 vs 0.94、VD ≧800 vs. <800 IU (0.84 vs 0.87)。
・カルシウムのみを投与したものより、カルシウム+VD投与の研究の方が、より大きな効果を示しました。
・もともとの食事からのCa摂取量が少ない研究の方が、より大きな効果を認る結果でした。(Low: RR=0.80, Normal: RR=0.95)

(まとめ) 50歳以上の人において、骨折予防にカルシウム(またはカルシウム+VD)を用いることの効果が確認されました。Ca1200mg+VD 800IUで、最も効果が得られると、考察しています。
 ちなみに、身体活動の影響(相互作用)については、各研究によって測定や単位がまちまちで検討できなかった、としています。

ところでWHO慢性疾患予防の報告書によれば、カルシウムとビタミンDは”リスク低下”が”確実”とされていますが、これは骨折の発生率が高い国の、カルシウムやビタミンDが不足している50-60歳の男女にのみあてはまる、と補足されています。今回の研究は、そうでない地域集団にも、リスク低下をもたらす可能性を示す大事なエビデンスと言えるのかも知れません。

それにしても、1200mgをさらに追加って・・・! 思わず、どこぞのサプリメントメーカーが書かせた論文かいな?と疑ってしまいましたが、オーストラリア政府の研究費によるものでした。

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今週の栄養疫学論文NEJM

こんにちは。久々登場の上杉@大妻です。

阪大の丸山先生から紹介がありました、社会的減衰地域の近隣には肥満を促進するような低質な食環境(ファストフード店)という話題を受けて 、
「肥満者増加の原因は何か?」を社会ネットワーク要因から探し出すという論文を紹介させていただきます。

The spread of obesity in a large social network over 32 years.

The New Englang Journal of Medicine. Vol.357: 370-9; 2007

アメリカにおける肥満者の割合は過去30年間で23%から31%に急増し、過体重者の割合は66%にもなっているという深刻な状況にあります。
そんなアメリカ人の肥満には、社会ネットワーク的要因の何が影響するのか?について調べた論文です。

研究はフラミンガム心臓研究(1948年開始)の一部として実施され、対象者は1971年から2003年の参加者12,067名です。対象者の体重増加とその対象者の友人、兄弟姉妹、配偶者、隣人の体重増加との関連を時系列モデルを用いて解析しました。

その結果、友人同士の場合、一方が肥満になった場合にもう一方が肥満になる可能性は57%増加しました。また、兄弟姉妹の場合では40%増加し、配偶者の場合には37%増加しました。しかし、隣人同士ではこのような影響はみられませんでした。

この結果から、介入研究を行う際にはこれらの点について留意すべきであると述べられています。

なんと!肥満になりたくない人は、自分の友人、兄弟姉妹、配偶者を肥満にさせない!ということでしょうか?と、ちょっと飛躍しすぎましたが、多かれ少なかれ、親しい間柄の人から受ける食生活の影響は大きいということですよね?そして、この現象に歯止めをかけるためにはどうしたらよいのでしょうか?

なお、詳細について東北大学の坪野先生が解説しているホームページがありますのでみなさん、ぜひともご覧ください。

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