落ちこぼれ夫婦の子供二人が医学部へ

二人の息子の子育て、大学受験の振返り日記です。コメント大歓迎です!!

全体表示

[ リスト ]

一寸先は闇 その2

翌日の朝、私は仕事を休んで病院に向かいました。
夫は点滴とモニターにつながれているだけで普段通りの表情に見えました。夫のいた部屋は一般の病室ではなく、ナースステーションにつながっているHCUという部屋で目が離せない患者のための部屋だそうです。なんだかそれが大袈裟で不思議に思えるくらいでした。


前の晩に損保の代理店さんから聞いていた事故当時の話を夫に伝えました。

相手方は3トントラック。
夫は相当なスピードを上げていたのでしょう、走っていたトラックに追突したらしいのです。もし停まっていたトラックだったら大ケガをしていたに違いないと言われました。そして助手席側の損傷がひどいので助手席に誰かが乗っていても危なかっただろうと。

私の言葉に夫は信じられないと言いました。スマホで写しておいた事故車の写真を見せても信じられない様子でした。
長年ゴールド免許の夫です。
スピードは出さない安全運転の夫なのです。


話をしていると主治医が来ました。
血圧や心拍も問題ないし手足の麻痺などもない。しかし昨日の状況からして普通ではないので時間をずらしながら脳のMRIを撮り様子をみましょう。そして脳波の検査も必要ですね。
その結果がはっきりするまでは退院できませんよ、と。

私は早い退院など望んではいませんでした。徹底的に検査して原因をはっきりさせて欲しい、そればかりでした。

主治医が去った後長男が来ました。
やはり長男には知らせるべきだと思い連絡したら休みを取って来てくれたのでした。
主治医の話を伝えるとウンウンとうなづき、夫の顔を見て「何なんだろうね〜」と。資格はあってもまだまだ研修医です。


その晩、事故の相手方のトラックの運転手に謝罪に行くことにしました。
代理店の話だと「首が痛いような事を言っていますよ」と。
夫は事故に関しては何も体に異常がなく無傷だし、トラックの運転手にケガというのも考えにくいけど、できればお見舞いを持って謝罪に行った方が良いでしょうと。そう言われなくても行くつもりでした。本人が行くのが一番ですが入院中だし長男と2人で行くことにしました。
できれば人身事故にはならない方が良いけど、100%夫が悪いし、それならそれで受け止めてしっかりお詫びをしようねと長男と話しました。
長男はスーツを着て行かなきゃね、と言いました。私は正直そこまで気が回りませんでした。なんか大人になったんだなーとしみじみ…それに男の子なんて役に立たないとずっと思っていたけど、こんな時には男の子って頼りになるんだと思いました。

相手方の家は車で20分ほどの距離のアパートでした。年齢は30歳。
アパートの玄関前に立つと赤ちゃんの声が聞こえて来ました。
ピンポン鳴らすとすぐに童顔の運転手が出て来ました。目が合った瞬間「あ、優しい目をしてる!」と思いました。

その後何をどう言ったかはよく覚えていませんが、とにかく2人で頭を下げて、言い訳になるけれど夫が体調不良であったことも説明してお詫びしました。
その間、運転手は一言も発せずじっと聞いているばかりでした。最後に私が
「お身体の具合はいかがですか?」
と聞くと、ちょっと笑って
「大丈夫です!」とはっきり答えてくれました。
用意しておいた菓子折りとお見舞い金の包みを渡してその場を去りました。

停めておいた車まで2人で歩いて戻る途中に後ろの方から
「すみませーん」
と声がしました。振り返ると運転手が私達を追いかけて来ました。
「これは受け取れません。保険で修理してもらえれば良いんで」
とお見舞い金を返そうとしました。

私も長男も驚き、こちらの気持ちが済まないので受け取って下さいと頭を下げてなんとか受け取ってもらいました。

アパートまで戻っていく運転手を見送ると、アパートの前に立って赤ちゃんを抱っこした奥さんが心配そうにこちらを見ていました。ちゃんと返したの?と言っているようでした。

「いい青年だね。いい夫婦だね」
「俺なんかよりよっぽどちゃんとしてるよな」
それほど歳も変わらないのに妻子がいてあんな気遣いができて…長男も心を動かされたようです。

前日の悪夢のような出来事で重く固くなっていた心がふっと軽くなったような、そんな気がしました。
救われた。あの青年に救われた。あの優しさに救われたと心底思いました。

閉じる コメント(14)

相手の方、素敵なご夫婦だったんですね。
文章を読んでいても、人間的に出来たかたなんだなぁというのが分かります。
精神的に弱っている時に、そういった対応をしてもらえたのは、有難いですね。
子供同士のトラブルなんかで、相手方に謝罪に行って、罵られて帰って来たという話を聞いたことがあります。
その時は、ひたすら耐えたと言っていました。
聞いていて、相手方の人となりが見えるなぁと思ったものです。
年下であっても、人間的に尊敬できる人っていますよね。

2018/6/9(土) 午前 1:04 [ kzk*tm ]

顔アイコン

相手のご夫婦が良い方でしたね。

優しさに救われた〜、マリさんの気持ちが良く解ります。

ご主人どこも何ともないと良いですね。大事にして下さい。

2018/6/9(土) 午前 11:12 [ 花園夫人 ]

アバター

その後、ご主人の体調はいかがですか?
予想以上の事故だった様子、驚きました。
偶然が重なって大事故にならずに済んだのですね…。
また相手方がいい方で本当によかったです。
相手によっては示談までに何年もかかるようなこともありますもの💦
息子さんとマリさんの誠実な対応もよかったのでしょう。
ご主人かなりの衝撃だったのではないですか?
お大事になさってくださいね。

2018/6/9(土) 午前 11:29 みらい

> kzk*tmさん
ケガがなかったのも気持ち良く謝罪を受け入れて下さった一因だと思います。もしケガなどされていたらまた違ったのかもしれませんが。それにしても人柄の良いご夫婦で救われました。おっしゃる通り尊敬に値します。もし私が同じ立場になることがあったら見習いたいと思います。

2018/6/9(土) 午後 11:22 [ マリ ]

> 花園夫人さん
ありがとうございます。
息子と2人で何を言われても受け入れて謝ろうねと覚悟して行ったのに、拍子抜けするくらいの優しさでした。玄関で最初に目が合った時の優しい瞳が忘れられません。
そんな青年に育て上げた親御さんもきっと素晴らしい方なんだと思います。うちの息子だったらどうしただろうと思いました。
親子で大変良い体験をさせてもらったと思っています。

2018/6/9(土) 午後 11:29 [ マリ ]

> みらいさん
信じられないくらい夫は普通にしています。シートベルトをしていたからか、事故の衝撃は全くなかったと言うのです。その瞬間の記憶がないからかもしれませんが。
車もかなりの損傷で廃車の一歩手前でした。
本当に不幸中の幸いです。トラックでなければ相手の方はケガをされていたでしょう。謝って済む話ではなかったかもしれないですね。今でも想像すると胸が締め付けられる思いです。

2018/6/9(土) 午後 11:38 [ マリ ]

いろいろと大変でしたね
なかなかコメントも残せず🙇ただただ、びっくりしてました。
大変な時に、頼りになる息子さんがいて
心強いですね!
心労はあとあと響きます。
マリさんも気をつけてね!

2018/6/10(日) 午後 11:41 [ しほりん ]

> しほりんさん
暖かいお言葉をありがとうございます。
いつのまにやら子供を頼りにする年齢になってしまいました。初めて男の子でも役立つ事があるんだと思う事ができました^ ^
しほりんさんも体に気をつけて下さいね。

2018/6/11(月) 午後 4:25 [ マリ ]

相手の方、若いのに気遣いのできる温かい心の持ち主で良かったですね。
私も1年半前にもらい事故で被害者となりましたが、
相手がチャラチャラした若者で、菓子折りひとつ、電話1本も無かったです。
息子さんが来てくれて良かったですね。
マリ家の皆さんの良識ある対応が素晴らしいと思いました。
息子さんが言った「俺なんかより…」そんなことないです!
息子さんもしっかりした青年だと思います♡

2018/6/13(水) 午前 11:44 [ 鬼嫁 ]

顔アイコン

はじめまして。
みらいさんのブログ経由でお邪魔しました。
大変でしたね。
息子さんもしっかりしてますよ。
相手の方も。
こんな話を伺うと、無茶苦茶な事件が多い中で
日本もまだ大丈夫だとほっとします。
失礼しました。

2018/6/13(水) 午後 1:19 [ hondajunior ]

> 鬼嫁さん
もらい事故だなんて酷い目に遭いましたね。その相手がそんなチャランポランな相手なら余計に腹が立ったことでしょう。
全くの他人が突然密接な関係になるのが交通事故の相手方です。うちの場合、今回は本当に救われました。これからもし同じ立場になったら、この時の青年のように振る舞いたいねと思います。息子にもそうして欲しいです。

2018/6/13(水) 午後 2:28 [ マリ ]

> hondajuniorさん
はじめまして。お訪ねいただきコメントまで^ ^ありがとうございます。
本当に。世の中にはこんな青年もいるのだと心が洗われた思いがいたしました。
わけのわからない事件が起きる一方で、日本もまだまだ捨てたもんじゃないと思う気持ち、同感です^ ^

2018/6/13(水) 午後 2:34 [ マリ ]

何度かこちらに立ち寄りながらも、いろいろあって
タイトルに「2』が付いているのを気付かず、コメントが大変遅れました!

追突した相手方が、ひとめで良い人であることが分かって良かったですねーーー
此方がどんなに善意を尽くしても相手が悪ければてこずるものです。

ご夫婦の日頃の善行に神が味方されたように思います。

それと美しき教育ママ様の筆力に驚きました。長い文章を読んでいて一つも飽きることなく筋を追わせるあたりは正に小説家並みです。
御長男様の育ち方も立派ですが、これも感情より論理力の強い確りしたお母様の存在をひしひしと感じますーーー!
一つの事件を小説並みに仕上げる筆力に敬服です〜〜〜

2018/6/20(水) 午後 2:03 raoron34

> raoron34さん
ありがとうございます。滅多に更新しないので申し訳ありません。ちなみにその3も書く予定です^^;

褒められ過ぎです〜。私はひとつの記事を書き上げるのにすごい時間がかかります。更新が少ないのもそのせいです。どうやったらraoronさんのようにスラスラ書けるのか教えて欲しいです。

2018/6/20(水) 午後 2:25 [ マリ ]


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!
話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事