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筆者略歴:
伊藤 見富法律事務所(外国法共同事業 モリソン・フォースター外国法事務弁護士事務所) 中国弁護士

阿麗莎氏
(ありさ)
 中国内蒙古生まれ。北京大学法学部卒。北京大学大学院法学修士課程修了。その後、内蒙古大学法学部において約2年講師として勤務。1993年、中国弁護士資格取得。1995年に来日。早稲田大学法学研究科修士課程及び博士後期課程修了し、2002年5月からあさひ・狛法律事務所(現・あさひ法律事務所)に勤務。当事務所中国室において、日本企業が中国に進出する際の法律問題、現地法人の設立、運営、撤退、中国企業との取引、紛争解決、知的財産権の保護など各種の問題につき相談に応じる。2007年6月より現職。



近年、数多くの外国のベンチャーキャピタルファンドが中国に進出し、中国本土のベンチャーキャピタルも成長しつつある。中国政府もベンチャーキャピタルの発展を推進する政策を取っており、ベンチャーキャピタル関連の法整備も進んでいる。今回からは、中国のベンチャーキャピタルの設立、運営に関する法規定、政策、現状などについて紹介したい。


1.外商投資ベンチャーキャピタルの規定


 中国では、外国投資家が中国で設立するベンチャーキャピタルについて、「外商投資創業投資企業管理規定」 (注1)(2003年1月公布、3月施行。以下「外資ベンチャーキャピタル規定」という)がある。外国投資家や外国ファンドは、この規定に基づき、中国でベンチャーキャピタルを設立することができる。この規定の主なポイントは、以下のとおりになる。


(1)組織形態


 外国投資家が中国で設立するベンチャーキャピタルは、会社制組織形態または非法人制組織形態をとることができる。会社制ベンチャーキャピタルは、100%外資、中外合弁、中外合作等の企業形式によることができる。


(2)主な設立条件


 外資ベンチャーキャピタルの主な設立条件は以下のとおりである。


  【1】 投資者の人数が2名以上50名以下で、かつ下記(3)に述べる「必須投資者」が少なくとも1名含まれていること。
  【2】 投資者が払い込みを引き受ける出資総額の最低限度額が、非法人組織の場合は1000万米ドル、会社制の場合は500万米ドルであること。「必須投資者」以外の各投資者がそれぞれ引き受ける出資額が100万米ドル以上であること。

  【3】 企業の経営活動を他の管理会社に委託する場合を除き、ベンチャーキャピタル業務に従事した経験のある専門人員を3名以上有すること。




(3) 「必須投資者」の要件


 「必須投資者」とは、以下の条件を満たす投資者をいう。


  【1】 ベンチャーキャピタル業務を主要業務としていること。
  【2】 「必須投資者」が外国投資者である場合、その設立申請前3年間に管理した資本累計額が1億米ドル以上で、かつそのうち最低5000万米ドルをすでにベンチャーキャピタルとして使用していること。「必須投資者」が中国投資者である場合、申請前3年間に管理した資本累計額が1億人民元以上で、かつそのうちの5000万人民元をすでにベンチャーキャピタルとして使用していること。

  【3】 3年以上ベンチャーキャピタル業務に従事した経験のある専門人員を3名以上有すること。

  【4】 非法人組織の場合、「必須投資者」の引き受けた出資額および実際の出資額がそれぞれ、全投資者の引き受けた出資総額および実際の出資総額の1%以上で、かつ設立するベンチャーキャピタル企業の債務に対して連帯責任を負うこと。法人制の場合、「必須投資者」の引き受けた出資額および実際の出資額がそれぞれ、全投資者の引き受けた出資総額および実際の出資総額の30%以上であること。

  【5】 投資者の「関連企業」(注2) が上記【1】ないし【3】の要件を満たしている場合は、当該投資者は「必須投資者」になることを申請できる。




(4)設立手続き


 一般の外商投資企業を設立する場合と同様に、外商投資ベンチャーキャピタルの設立も、商務部門の審査認可が必要である。「外資ベンチャーキャピタル規定」によると、すべての外商投資ベンチャーキャピタルの設立は、省レベルの商務部門を通じて、最終的に商務部の審査認可を経なければならないものとしている。しかし、今年3月、商務部は、資本総額が1億米ドル以下の外商投資ベンチャーキャピタルの設立および変更に関する審査認可権限を、省レベルの商務部門に委譲した。したがって、1億米ドル以下の外商投資ベンチャーキャピタルの設立と変更については、商務部の審査認可が不要となった。



(注1) 中国では、ベンチャーキャピタルを「創業投資企業」と称している。
(注2) 「関連企業」とは、当該投資者が支配する企業、当該投資者を支配する企業、あるいは当該投資者とともにある企業の支配を受ける企業をいう。ここに「支配」とは、支配する側が支配される側の50%以上の議決権を有していることをいう。


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