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東京建物が中国で分譲マンション事業を始めた。バブルの教訓から、日本の不動産大手は海外事業に慎重姿勢を崩していないが、現地の住宅ブームは無視できないのが本音。東京建物は富裕層向け物件で様子をみることにした。社内を説得してプロジェクトを推進する住宅事業第二部の中国事業担当、山本英作マネージャーは「日本のモデルルーム手法を展開する」と語った。(NIKKEI NET 古屋絵美)
――中国の不動産大手、上海万科房地産集団(上海市)と業務提携した
中国最大手の不動産会社、万科グループの上海支社と手を組んだ。万科グループは「城市花園(シティーガーデン)」ブランドで分譲マンションを手がけており、中国全土で年1万8000戸を供給している。パートナーとしては申し分ない。
中国のマンションは、内装なしで販売する「スケルトン分譲」が一般的だが、最近、日本のような「内装込み分譲」に注目が集まっている。万科グループは2年ほど前から手がけているが、不慣れなこともあって苦労していた。東京建物のノウハウ提供に興味を示したようだ。
――なぜ「内装込み分譲」に注目が集まっているのか
上海の街を歩いてもらえば分かるが、現地では「ルイ・ヴィトン」「グッチ」といった高級ブランド店に2階などに、システムキッチンや浴室を提案する内装メーカーのショールームがある。「スケルトン分譲」でマンションを買い、自分の好きな内装を選ぶのが、一般的なスタイルとして定着している証だ。
ただトラブルも多い。入居しても、隣接する住戸の工事音が騒がしいのは当たり前。配水管などを切断しても責任の所在があいまいになってしまうことも多いと聞く。内装工事まで仕上げて引き渡す日本式の分譲マンションなら、この問題を解決できる。
金銭的な負担からも関心が高まっている。中国政府は、住宅ブームの過熱を抑えるため、マンション購入時に必要な頭金を2割から3割に引き上げたばかり。スケルトン分譲は別途、内装工事費を用意しなければならない。手元資金が少ない場合、内装込み分譲のほうが検討しやすくなる。
――業務提携と前後して物件開発を進めてきた。第1弾の概要は?
第1弾物件の完成予想図
アメリカンスクールなど教育施設が充実している上海市北西部の高級住宅地、華漕(ファーサオ)地区に建設中だ。2007年12月に完成する予定で、9月にモデルルームをオープンする。2―4階の低層階タイプで、総戸数は約240戸。上海万科、大成建設との共同事業で、東京建物の事業持ち分は19%。内装のカラーパターンを3種類設定するなど、日本のマンション販売で培ったノウハウを持ち込んでいる。
1戸あたりの広さは180―200平方メートル。ただ、日本と異なり、バルコニーや廊下なども専有面積に組み込まれているため、実質的には7がけ、つまり100―140平方メートルぐらいだ。価格は日本円で3000万―5000万円。東京感覚では1億2000万―2億円の物件に相当する。
――不動産取得で新たな規制が発表された。分譲マンション事業の見通しに影響はないのか
中国政府は7月末、外国人による不動産購入を制限すると発表した。住宅価格の高騰を抑えるのが狙いで、7月以降、中国に1年以上住んだ外国人しか家を買えなくなる。
現在、東京建物が開発している物件は、アメリカンスクールなどに子どもを通わせたい長期滞在の外国人をターゲットにしたもの。立地の良さから、家賃収入が見込める投資物件として中国人も購入するだろう。規制影響はほとんど出ないと考える。ただ、今後の事業展開は、慎重に進めなければならないのも事実。提携先である万科グループとも、よく話し合いたい。
◆不動産大手の進出状況
進出状況
概要
三菱地所
○
米子会社のロックフェラーグループ(RGI)を通じ、上海に進出。現地企業と合弁会社を設立している。
三井不動産
○
上海に現地事務所を設置。提携先などを模索中。
住友不動産
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国内事業に注力。海外展開は検討していない。
大和ハウス
○
現地企業と合弁会社を設立。大連でマンション建設が着工。10月以降に販売予定。
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