西方見聞録

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フルトヴェングラーのブルックナーの演奏は、次の演奏が録音で残されている。特に説明がない限りはライブ収録である。

交響曲第4番『ロマンティック』
1941/12/14-6  ベルリンフィル (旧フィルハーモニー プライベート・エアチェック)*欠落あり
1951/10/22  ウィーンフィル (シュトゥットガルト SDR収録)
1951/10/29  ウィーンフィル(ミュンヘン ドイツ博物館)

交響曲第5番
1942/10/25-8  ベルリンフィル (旧フィルハーモニー RRG収録)
1951/8/19 ウィーンフィル (ザルツブルグ祝祭劇場 ザルツブルク音楽祭 RWR収録)

交響曲第6番
1943/12/13-6  ベルリンフィル (旧フィルハーモニー RRG収録) *第1楽章は欠落

交響曲第7番
1941/2/2-4  ベルリンフィル (旧フィルハーモニー プライベート・エアチェック)*欠落あり
1942/4/1 ベルリンフィル (ベルリン テレフンケンによるスタジオ録音)*第2楽章のみ
1949/10/18 ベルリンフィル (ダーレム・ゲマインデハウス SFB収録)
1951/4/23 ベルリンフィル (カイロ エジプト放送収録)
1951/5/1 ベルリンフィル (ローマ RAI収録)

交響曲第8番
1944/10/17  ウィーンフィル (楽友協会 RRG収録)
1949/3/14  ベルリンフィル (ダーレム・ゲマインデハウス SFB収録)
1949/3/15 ベルリンフィル (ティタニア・パラスト RIAS収録)
1954/4/10 ウィーンフィル (楽友協会 RWR収録)

交響曲第9番
1944/10/7 ベルリンフィル (ベートーヴェン・ザール RRG収録)


ブルックナー演奏については、近年はハースやノヴァークなどによる原典版が好まれる風潮があるので、フルトヴェングラーのようなハース版に手を加えた演奏については賛否両論があるであろう。他の指揮者がやらないようなテンポの自在な変化を批判的に見る人もいるだろう。しかしながら、フルトヴェングラーのような巨匠が、作曲家としての視点で深く楽譜を読み込んで、実際の演奏現場を考慮した演奏は説得力にあふれており、「インテンポの演奏ではない」という理由で全く評価しないのは勿体ない。フルトヴェングラーが導き出す音色の変化は、自在に変化するテンポと一致しており、自然な音楽に聞こえる。それは完全に曲を自分のものにして、まるで自分が作った曲であるかのように演奏したかのようである。

20世紀後半、同じテンポの中でオーケストラを美しく鳴らすブルックナーの演奏が流行して、確かにブルックナーの新たな良さを引き出していた。それもありだと思う。しかしながら、日本には「テンポを変えないで演奏するブルックナー」だけを認める極端な批評家さえもいる。それは時代の流行にとらわれて自ら楽譜を深く読み込まない愚かな行為としか思えないし、プロとしてフェアな判断ではない。多くの指揮者がこの巨匠のやるように自分の音楽のような演奏ができずに逃げた結果、インテンポの中で音楽を造り出す方法を見つけたのではないだろうか。フルトヴェングラーがやるような、音楽を語るために必然的にテンポが自然に変動する演奏には、より力強い説得力がある。それは音楽が言語のように何かを伝える性質を持っているからだけではなく、ブルックナーの生きた時代のドイツ・オーストリアでは、そのようなテンポが自然に変化する演奏が一般的に行われていた。そのような環境の中で作曲された作品であるということを考える必要があるのではないだろうか。つまり、インテンポの演奏だけを認めるのは、歴史的な視点から考えておかしいのである。ブルックナーに限らず、作曲家の生きた視点で楽譜を読むことは、音楽を糧に生きるプロとして当然やるべきことではないだろうか。

ブルックナーの交響曲第9番は、フルトヴェングラーが若いときに指揮者としてデビューした演奏会で取り上げた曲である。長い曲ばかりにもかかわらず、第9番を含めて、主要な交響曲が大戦中の録音で聴くことができるのは喜ばしい。とても録音が素晴らしい交響曲第6番の演奏は、第1楽章が欠落しているのが惜しい。元から録音されなかったのか、戦後の混乱で失われたのか定かではない。状態が良いのは、再生回数が少なかったのでテープの劣化が進まなかったからだろうか。交響曲第4番と第7番のプライベート・エアチェックは、当時、ウィーン国立歌劇場のエンジニアだったヘルマン・マイがプライベートでラジオ放送から録音していた。マイは、オペラの出演歌手のために上演されている演奏を録音する仕事をしていた。78回転のディスクによる録音のため、約5分毎にディスク交換のために空白ができた。そのため、演奏が素晴らしいにも関わらず、これらの録音は余り顧みられることがなく、LP時代では2枚組のプライベート盤AT-11/2として出ただけだった。交響曲第7番は、聞き苦しい金属的なノイズが邪魔するものの、演奏は霊感に満ちた素晴らしい内容。断片的にしか聴けない演奏なのに、体力と気力に満ちた巨匠の独自の世界があるのがよく分かる。交響曲第4番はマグネットフォン録音に負けない素晴らしい録音状態で、ディスク交換時の欠落が誠に惜しい。

フルトヴェングラー・センターは、WFHC-018/20として、とても興味深い交響曲第4番の3枚組CDを出した。1枚目は残された大戦中の録音そのまま、2枚目は1951年シュトゥットガルトでの録音で欠落を補った大戦中の録音、3枚目は補うのに使った1951年シュトゥットガルトでのウィーンフィルとの録音が全曲入っている。2枚目のCDの編集に携わった、キング関口台スタジオの安藤明氏の仕事は、ほとんど神業である。違うオーケストラ、テンポ、録音条件の異なる演奏を自然に繋ぎ合わせて、起伏の激しい表情豊かな演奏を楽しみやすくしてくれた。

シュトゥットガルトの演奏会の一週間後、ミュンヘンでウィーンフィルと交響曲第4番を取り上げた時の録音も残っている。シュトゥットガルトの演奏は、マイクの位置の問題と思われるが、管楽器のバランスが悪く、聞こえにくい楽器の音がある。それに対して、ミュンヘンの録音は、マイクの位置がオーケストラから遠くて、もう少し鮮度が欲しいが音のバランスはよい。また、フルトヴェングラーのデッカ録音を集めた独Decca SATURN 1(4LPs)では、一つの演奏会全体を聴くことができる。このセットでは、唯一の録音であるシューマンの交響曲第1番『春』も聴ける。元々、録音状態が良くなくて、CDではかなり無機質な音になってしまっているが、LPの音は、そこそこ聴けるレベルである。

●1951年10月29日 ウィーンフィル ミュンヘン ドイツ博物館
・ベートーヴェン:コリオラン序曲
・シューマン:交響曲第1番『春』
・ブルックナー:交響曲第4番『ロマンティック』

大戦中の交響曲第5番は全曲が残されている。ヘルマン・マイによってエアチェックも残されたらしいが、基本的には、優秀なマグネットフォンによる録音があれば聴く必要がないだろう。しかしながら、その録音を聴いたことがあるフルトヴェングラー・センター会員が2015年7月4日(土)に話してくれた情報よると、マグネットフォン録音とは別の日の録音で、1941年録音の交響曲第4番『ロマンティック』のように面の交換による途切れがあるものの、音がとても良いとのことなので、ファンとしては是非とも聴いてみたい。

この戦時中の第5番の演奏は、一般的に演奏されるテンポよりも速めの印象を受ける。全体の構成を考えて指揮者が与えたテンポは、バロック様式を参考としながらも実質的にロマン派の内容であることを、オーケストラに容易に理解させている。つまり、この演奏は、「建築物」のような構造的側面だけではなく、フルトヴェングラーが生きた同時代の「ロマン派」の音楽としての側面を深い共感で明らかにしている。

「ドキュメント」としても貴重で、終楽章の終結部に向けて、全身全霊をかけて演奏したオーケストラだけではなく、会場に居合わせた聴衆さえもが音楽にのめり込んで、一致団結して壮大なクライマックス創り上げたというのが、このレコードを聴けばよく分かる。音のある静寂と分厚い立派なサウンド、「信仰」を表すような信じられないような美しいサウンドを次々と生み出すオーケストラの演奏に、長時間にもかかわらず聴衆がのめり込んだためか、ほとんどオーディエンス・ノイズが聞こえない。この演奏が行われたフィルハーモニーは、信仰心を持った人々によって特別な空間が造り出されたのだ。これは、大戦中どころか、フルトヴェングラーの全ライブ録音の中で最も心を動かす演奏の一つではないだろうか。

1980年頃に出たM10-42555/8(2LP)の青レーベルGost-73が初回盤と思われるが、長時間の演奏にもかかわらず良い録音で残されている。同じ青レーベルでGost-80と書かれたレーベルが貼られたレコードもあるが、マトリックスは同じである。その後、赤レーベル、黒レーベルの順で出たが、青レーベルとは違うマトリックスである。

戦後にウィーンフィルと演奏した交響曲第5番には、大戦中の演奏とは全く違う落ち着いた雰囲気がある。この曲本来が持っているバロック音楽的な構造ががっちりと表現されていて、こちらの演奏も魅力的である。フルトヴェングラーのザルツブルク音楽祭の録音は、音が良くないのが多いが、LP、2枚組の独フルトヴェングラー協会 F 667. 497/8Mを聴く限りは悪くない音質で、力強い演奏を楽しむことができる。それに比べると、OrfeoのCD、"Die Salzburger Orchesterkonzerte" C409 048L(8CD)のこの曲の音質は全く冴えない。加rococo 2034(2LP)で初めて聴いた後、しばらくしてCD時代に再びCDで聴いて、音の劣化が相当に進んだものだと思った程である。尚、独フルトヴェングラー協会盤には一回のコンサート全部が収められており、フィッシャー=ディースカウによる素晴らしい歌も聴くことができる。

<プログラム>
●1951/8/19 ウィーンフィル (祝祭劇場 ザルツブルク音楽祭 RWR収録)
・メンデルスゾーン:「フィンガルの洞窟」序曲
・マーラー:「さすらう若人の歌」(Br:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ)
・ブルックナー:交響曲第5番

写真:
´↓B臉鐫罎離屮襯奪ナーを収めた2枚組のプライベート盤AT-11/2
・ブルックナー:交響曲第4番『ロマンティック』 1941/12/14-6  ベルリンフィル (旧フィルハーモニー プライベート・エアチェック)*欠落あり
・ブルックナー:交響曲第7番 1941/2/2-4  ベルリンフィル (旧フィルハーモニー プライベート・エアチェック)*欠落あり
・ブルックナー:交響曲第7番 第2楽章 1942/4/1 ベルリンフィル (ベルリン テレフンケンによるスタジオ録音)

ぅ侫襯肇凜Д鵐哀蕁次Ε札鵐拭爾砲茲CD ブルックナーの4番 WFHC-018/20
テDecca SATURN 1(4LPs)
●1951年10月29日 ウィーンフィル ミュンヘン ドイツ博物館(1〜2枚目)
・ベートーヴェン:コリオラン序曲
・シューマン:交響曲第1番『春』
・ブルックナー:交響曲第4番『ロマンティック』
<商業録音>
●1948年3月22, 23, 25日 ロンドンフィル キングスウェイホール 英デッカスタジオ録音(3枚目)
・ブラームス:交響曲第2番 ニ長調
●1953年12月14,15日 ウィーンフィル 楽友協会 英デッカスタジオ録音(4枚目)
・フランク:交響曲 ニ短調
ΝЛ┃ブルックナーの交響曲第5番 加rococo 2034(2LP)

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