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軍閥への道を歩く自衛隊
とにかくいまのままだと、高まりゆくナシヨナリズムが革命勢カに吸収されてしまう。一方、自衛隊はますます孤立化し、おかしなことになる。
中立化した軍隊というのは、つまりは軍閥のことなんだよ。いまの自衛隊はいや応なしに軍閥への道を歩かされている。
白衛隊の最終指揮権がどこにあるのか、いま左右両翼とも心配している。総理大臣なのか、それともアメリカなのか:…・。六十年安保のとき、岸首相の出動要請に自衛隊はオイソレと乗らなかったんだよ。
いったい最終的には誰の命令によって動くのかわからない。(形式的には首相だが)そこが一番、国民にとっても自衛隊にとっても損なところだ。国土防衛軍をつくればその心配はなくなる。どこのための軍隊でもない、日本国民のための軍隊だ。最終指揮権を首相に与えてもよろしい。
いま一つの国連警察予傭軍の方は、集団安全保障体制への保険として供出する。これによって集団安全保障の実を失うこともない。以上述べたことはみんな、新憲法下で出来ることなんだ。ぼくは大いにPRしたいね。
核兵器?戦賂核は高価につくから日本の経済構造の変化を要求する。いまのような経済成長が望めなくなる。これはまあ、いわば裏店の娘がパリ一流のジバンシーの洋服を着たがるようなもんだから、どうしても無理がゆく。これは必ず労働組合を刺激し、労働争議の誘発を招く。景気のバランスが崩れるかもしれない。ひいては間接侵略に道を開くことになる。
安い戦術核はどうかといえば、通常兵器との差がますます縮まりつつある。ならば通常兵器で十分とも考えられる。しかも安い戦術核をもつことができても、それを使えばもはや核戦争で、敵が戦略核をもっていたら、こっちはイチコロだ。従って戦術核は、戦略核をもたない国がもっても、意味がないことになる。以上の理由からいまの段階では、核兵器は持つべきじゃないというのがぼくの考えだ。
核兵器、核兵器というけど、国土防衛というのは結局は日本刀の原理、国民の一人一人が相手を日本刀でブッタ斬るぐらいの覚悟と自身がなければ、核兵器をもったって所詮は張子の虎なんだよ。
なんだいこりゃ、毛沢東のような口ぶりになってきちゃったね。(笑)
(昭和四十四年一月)
三島由紀夫著 「若きサムライのために」
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