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国家は義務ばかりで、国民は権利ばかりの憲法
この占領憲法では、国家は国民の福利のために奉仕する義務があり、国民は国家から福利を得る権利があるのであって、国民の権利の条章のみが多くて、国家はほとんど義務ばかりを負わせられているのがこの憲法なのであります。
たとえば、その第二十五条には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とあるが、これは国家がその義務を負うということを言い換えたにすぎないのであります。私が不審に感ずることは、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努カしなければならないのは、人間自身の努カにまつべきであるのに、
人間の方には努力の義務はなく、ただそれによる福祉を受ける権利のみがあって、国家の方はそのために尽す義務があるばかりなのであります。
もっともただ一箇条、国民の義務が規定されているのは、第三十条の「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ」という税金支払の義務だけであって、いかにこの憲法が金銭的であり、福利的であり、唯物論的であるかを暴露しているのであります。
谷口雅春著 「私の日本憲法論」より
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