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人口制限は日本を弱体化する
昭和二十七年
人口が過剰になると、止むを得ず侵略をする慎(おそ)れがあるから日本の人口を制限しようと云う人は、人口がとぼしいためにその固有の領土すら常に近隣の大国の侵入に晒(さ)されて手も足も出ない少数民族の現状を見るがよいのである。真に完全に独立している国は、他国の手助けを借りることなくして自国を護り得る者でなければならないのである。
この意味に於いて、人口の少い少数民族の国は、国際的に独立国とみとめられているだけで、実質は独立しているのではないのである。実質が独立国になるためには人口が多くなければならないのである。その国の人口が唯、多いと云うだけでも一つの対外的威力となり得るのである。
中共が朝鮮に侵入して来て、それが明かに北京政府の指令によるものでありながら、中共義勇軍と仮称して国連軍に対して押しをきかせて北鮮を有利にしたのは、中共軍の装備が立派だからでなく、中共の人口が尨大なものであり、アメリカが出来るだけ中共軍を怒らせたくないために遠慮したからに過ぎないのである。人口の多いさは、ただそれだけで強大なアメリカに対してすらもこれだけの威力を発揮し得るのである。アメリカが日本の人口を増加しないように、或る点でくいとめたいために産児制限を奨励しようとしたのは占領政策として無理もないことであったけれども、日本人自身が人口を制限して、自国の威信を弱小に制限しようなどと考えるのはまことに愚かなことだと云わなければならないのである。
谷口雅春著「私の日本憲法論」
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