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つづき 再軍備は却って労働者に職業を与える
昭和三十一年
 
 
無論「軍需工場」を「平和産業工場」に転換して同じ工員をその平和産業に転用すれば問題はないのでありますが、それは如何なる平和産業が重要されるかが問題であり、専門技術の上からも容易には転換できません。南洋の未開国ならいざ知らず、大抵の文化国家は平和産業の生産品は過剰生産であります。だから、どこの国でも如何に生産原価をやすくして輸出を増大し、他国との貿易競争に負けまいとして骨を折っているのが現状であります。

そこで国際的貿易競争に打ち勝つために、日本のように原料品を他国から買わなければならない国では原料費を安く出来ないから、生産費をやすくしなければならない。そのためには工賃をやすくするか新鋭の能率の高い機械を設備するかしなければならないけれども、従来の機械を廃棄し、新鋭の機械をつくるには、新規事業をはじめるのと同様に設備費が非常に高価につくので、その設備の輸入代金や、設備費の消却費を考えると輸入超過にもなるし、製品の生産費も高くつくのです。

そこで工員の収入を減ぜずにしかも国際貿易に負けない値段で製品をつくるには単位工賃を安くし、その代わり従業時間を長くして工員の収入を殖やす(既ち生産性を高める)よりほかにその産業を維持すると同時に、日本が経済的に生きて行く道がないのは明らかです。それなのに、総評のやりくちを見ていると、工員賃金の増加だけを要求するストライキを指令して、工員の生産性を高めることには反対しているのです。彼らの要求するように、生産性を高めないで賃金を増加すれば製品価格が増大して、日本の製品が国際競争にまけることになる。これでは「軍需産業を平和産業に転換せよ」という呼号は大衆の耳に入り易い美辞麗句に過ぎないのであって平和産業そのものが成り立たないことになるのであります。

こうすることによって彼らは何を目的としているのかというと、日本の平和産業が国際競争に負けて崩壊し日本の産業秩序が混乱するのを悦んでいるかのように見えるのであります。こんな事が計画的に進められていて、口先ばかりで「軍需産業を平和産業に転換すれば、貧民が助かる」などというのは、空理空論の宣伝に過ぎないのであって、国民はこんな空理空論にまどわされてはならないのであります。


つづく
 
谷口雅春著「私の日本憲法論」
 
 

閉じる コメント(2)

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政治家をまともな人にかえて欲しい。人並以下ばかりで、どうしようもない。

2013/3/29(金) 午後 6:47 [ pep**akkura*ta ]

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pep**akkura*ta
コメントありがとうございます。本当にまともな政治家に出てきてもらいたいですね。しかし民主党が敗れてあの口先だけの大臣達の顔をみないでけでも嬉しいですね。

2013/3/30(土) 午後 6:34 [ サイタニ ]


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