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職業革命家に踊らされている純情な学生
                                            昭和四十二年

私は暴れた学生たちに多少同情的な言論を吐いたかもしれないが、憲法の不当性が原因となってその結果生じている社会事象を、結果だけ見て学生のみに罪をきせるのはまちがいであると思う。こうした社会事象が起こるのは、職業革命家に指導されて扇動されている
結果だと考える人も多いと思う。慶大教授の池田彌三郎氏(やさぶろう)も、「暴力行為を是認し、これを行動の出発点としているいまの学生運動家たちを、わたしは学生だとは思わない。彼らが学生の名を借りた職業革命家であることは、法政大学事件の経緯をみても
あきらかだ。職業的革命家たちに指導されている学生運動は、全く社会とのつながりを失い、不健全なものに堕落してしまっている。


ただおとなが真剣に考えなければならないことは、現代の日本の青年が希望を失っているという点だ現代では国家と個人が調和を失い、学生を含めて青年たちは情熱のハケ口を失い、欲求不満に陥っている。学生運動家とフーテン族とでは形はひどく違っているが、青年たちの自己表現の模索という点では変わりがないともいえる」と批評している。池田彌三郎氏のいう「国家と個人が調和を失い」という事象が起こったのはなぜであろうか。それ現行憲法が、一つ、の生きた国家の中心であらせられる 天皇から統治の大権を奪い、中心なき国家、バラバラの国家とした。そして多数国民がおのおの主権をもっていて自己主張をほしいままにし、それを言論の自由、行動の自由、表現の自由で、統一なくそれを行動に表現しようとするからにほかならないからである。

行政府の長官は内閣総理大臣であるけれども、それは、天皇のような神聖な伝統ある権威の中心ではないのである選挙の票集めに汲々としてお辞儀してまわった、われわれと同様、の国民の一人にすぎないそれが運よく当選し、さらに運よく多数党の総裁に選ばれた結果、「国家議員の中から国会の議決で」指名された者にすぎない。指名したのは国民であって、それは推挙したものでもなく「指名」したのである。(憲法第六十七条)だから首相というものは少しも国民に対して権威がない。権威がないくせに、それが国家の代表者のごとく。指名された以上は勝手な真似をするのである。そしてベトナム戦争を間接に援助したり。いろいろ国民(またはその一部)にとって気にくわぬことをする。主権は国民にあると考えているのに、総理大臣が国家の主権者のごとく国民(またはその一部)の意志に反することをする。

主権のある国民がその意志を言論や請願やいろいろの方法で、総理大臣のやり方は国民の意志に反すると表明しても、それを聴き入れない。すなわち総理大臣の行う「国家としての行動」が国民の意志に反する。単に国民の意志に反するだけではなくなく憲法違反のことも屁理屈をつけて行う。これが池田教授のいわれる「国家と国民とが調和を失い」である。

現行憲法にもとづく日本国のごとく「一中心国家」ではなく「多中心国家」であるかぎりにおいて、国民の意見はバラバラであり、われわれが指名した権威のない一公務員にすぎない総理大臣が憲法に違反することを平然とやるように見える場合、首相の行動に中心帰一することができないのは当然である。だから、そのような「多中心国家」においては常に、首相または行政府の長官は反対党によって叩き落とされる時期が来るのにきまっているのである。ソ連でも中共でも合衆国でも同じことである。これが現行の、占領軍に押しつけられた憲法下の日本国の、なれの果て、であるのである。

押しつけの暴力が、日本国家の神聖なる中心を奪い去り、中心に帰一しようと思っても多中心(国民主権)であるから中心は無数にあってバラバラの主張をして帰一するところを知らないで、自己を主張しようとするならば、暴力によるほか致し方がないようになっているのである多数の国民は、あきらめに似た気持ちで政治に無関心になっているのである。しかし若い純情な青年は、あきらめてはいられない。日本国家を救うために自分の理想を主張するには、暴力によるほかは仕方がないと考える。そこに職業革命家がこの種の純情なる青年学生を教唆し扇動して暴力革命にもって行こうとする危険をつねに孕んでいるのである。

池田彌三郎教授は、「彼らが学生の名を借りた職業革命家であることは、法政大学事件の経緯を見ても明らかである」といわれるが、あの事件でデモ隊が奪って乗った自動車に轢き殺された京都大学の文学部一年生、山崎博昭君(18歳)のごときが職業革命家であるはずはないのである。純情な文学青年が、国を愛するあまり職業革命家に扇動され、わざわざ京都から東京まで駆り出されて、踊らされたと判断するほかはないのである。

              
                      
谷口雅春著「私の日本憲法論」より
 
 

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