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続き(4)天皇とその御責
 
 
 
ところが、昭和三十年の夏、時の外務大臣重光葵氏が用務を帯びて、米国に
赴くことになり、出発に先だち、お暇乞いのため、那須の御用邸に伺侯して、
陛下にお目にかかった。このとき、陛下は重光外相に、一つの御伝言を
托された。それはニューヨークにいるマツカーサ元帥に対する、陛下の
御挨拶の御言葉であった。
 
そこで重光外相は、九月二日の朝、ニューヨークで、加瀬国連大使を伴って、
ワードルフ・アストリア・ホテルにマ元帥を訪問し、陛下の御侯言を伝えた次第
であるが、この際、重光氏はマ元帥の口から、従来厳秘に付せられていた
昭和二十年九月二十七日、陛下対マ元帥、第一回御会見の内容を初めて
聴かされた次第であった
 
元来、内容は一切、厳秘に付せられた御会見のことであるから、爾来、
陛下は一切を黙して、:一言たりともお洩らしになったことがない。然るに
十年後とはいえ、マ元帥が重光氏に、あえて事の真相を物語ったことは、
恐らく、元帥自身の世界情勢判断と、且つ陛下に対する深い思慕の情と
非常な好意とが然かあらしめたのであろう。
 
これを聴き知った重光外相の驚きと喜びとは、想像に絶したものであったらしい、
同氏は事の正確を期するため、この会見に同席し、マ元帥と重光外相との
会話を詳細に遠記していたスクリップ・ハワード通信杜主ロイ・ハワード氏の
速記録と自己の記録とを照合し、帰朝の後、これを邦訳して、九月十四日の
読売の朝刊に寄稿した次第。これが、昭和二十年九月二十七日、
 
 
陛下とマ元帥との第一回の御会見に関する日本人向けの報道の第一報となった
訳である。この第一回の御会見の際、命乞いにきたのだ、とばかり思って、
服も改めず、お出迎えもせず、自分の居室で陛下を迎えた元帥が、お帰り
の際には、いとも鄭重に玄関先までお見送り申し上げていることは、一体
何を物語るのであろうか。
 
 
数千年の世界歴史の上で、民族の興亡は、いくたびも、いくたびも、くりかえ
されたが、未だかつて、国民を庇って、身命を捨てる君主のあることを知ら
なかった元帥が、眼前に立たれる陛下のお姿を熟視して、なんと感じたで
あろうか。自分は、あのとき、興奮のあまり、陛下に抱きついて、キスしよう
思った、と重光外相に告白していることは、元帥がいかに、はげしく、
感激したか、を物語るものといわなければなるまい。
 
この重光外相の寄稿文は、日本歴史、否、世界歴吏の上で、極めて貴重な
文献である。マ元帥すでになきいま、陛下は、あくまで沈黙を守られるであろうし、
重光氏も、また、他界した今日、この文献の価値は至大である。かく思うが故に、
私は読売新聞社の了解を得て、左に、重光氏の寄稿の一部を掲げる。
 
重光「東京出発前、那須御用邸で、天皇陛下に拝謁した際、陛下は〃もし
マッカーサ元帥と会合の機もあらば、自分は米国人の友情を忘れた事はない。
米国との友好関係は終始重んずるところである。特に元帥の友情を常に感謝
して、その健康を祈っている、と伝えてもらいたい"とのことであった」
 
マック「自分は目本天皇の御伝言を他のなにものよりも喜ぷものである。私は
陛下にお出会いして以来、戦後の日本の幸福に最も貢献した人は
天皇陛下なりと断言するに憚(はばか)らないのである。それにもかかわらず、
陛下のなされたことは未だかって、十分に世に知らされておらぬ。十年前、
平和再来以来、欧洲のことが常に書き立てられて、陛下の平和貢献の仕事が
十分了解されていないうらみがある。その時代の歴史が正当に書かれる場合
には、天皇陛下こそ新日本の産みの親であるといって崇められることに
なると信じます。
 
私は戦前には、天皇陛下にお目にかかったことはありません。始めてお出会い
したのは、東京の米国大使館内であづた。どんな態度で、陛下が私に会われる
かと好奇心を以てお出会いしました。しかるに実に驚ろきました。
 
 
陛下は、まず戦争責任の問題を自ら持ち出され、つぎのようにおっしゃいました。
これには実にびっくりさせられました。
すなわち、「私は、日本の戦争遂行に伴ういかなることにも、また、事件にも
全責任をとります。また私は、日本の名においてなされた、すべての軍事
指揮官、軍人および政治家の行為に対しても直接に責任を負います。自分
自身の運命について貴下の判断が如何様のものであろうとも、それは自分
には問題でない。私は全責任を負います」
 
 
これが陛下の善言葉でした。私は、これを聞いて、興奮の余り、陛下にキス
しよう、とした位です。もし国の罪をあがのうことが出来れば進んで絞首台に
上ることを申出る、という、この日本の元首に対する占領軍の司令官としての
私の尊敬の念は、その後ますます高まるばかりでした。陛下は御自身に対して
いまだかって恩恵を私に要請したことはありませんでした。とともに決して、
その尊厳を傷つけた行為に出たこともありませんでした
 
 
どうか日本にお帰りの上は、自分の温かいごあいさつと親しみの情を
陛下にお伝え下さい。その際、自分の心からなる尊敬の念をも同時に
ささげて下さい」
重光「それは必ずお受合い申上げます」以下略
 
 
 
                 元侍従次長 木下道雄著 「皇室と国民」より
 
 
 
 

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