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つづき 桜町仕法  
 
金次郎はきびしく言い付けました。幼いころから百姓仕事をしてきた金次郎は、人問の労働力の限界を知っていました。この男のようなスピードで鍬(くわ)をふり続ければ、たちまち疲れ果て、のびてしまうでしょう。
 
身長百八十㎝、体重九十㎏以上もある大男の金次郎が、本気で怒るとすさまじいものがあります。男は震えあがり、
「お許しください」
とあやまりました。
「人問は不正直なのが一番いけない。たとえ人はだませても、自然をだますことはできないのだ。畑仕事だって、怠けていては米も野菜も実らないではないか」
と、金次郎はかんでふくめるように言ってきかせました。
 
 
更に見回っていますと、一人の老人が木の根株(ねかぶ)を掘り出そうとしています。
地の下深く根をひろげている根っこほりはなかなかの力仕事です。老人は力がないので、掘りだすのにずいぶん時問がかかります。
「なんだ、あいつは。ほかの者の三分の一も働いてないぞ」
「首にしたほうがよいのではありませんか」
役人たちは口々に言いました。
 
この時も金次郎は返事をせずにじっと老人の仕事ぶりをみていました。それからも見回りにきたとき、いつも老人の仕事ぶりを注目していました。
ようやく開墾がおわりました。物井村(ものいむら)の荒れ地は立派な耕地に変わりまし
た。ほかの土地から働きに来ていた人たちには賃金を支払いました。この時、金次郎はあの老人を呼びました。
 
「私は常陸国(ひたちのくに)(茨城県)の百姓で藤助(とうすけ)と申します。年老いておりますので他の衆の半分も働けません。それなのに皆と同じ賃金を頂(ちょう)だいして本当にありがとうございます」
藤助は心から礼を述べました。金次郎は優しくうなずいて、
「いや、藤助。おまえさんは実によく働いてくれた。力が弱いのは年のせいで仕方のないことだ。ふつう根っこ掘りのように手間がかかって地味な仕事はみんないやがるのに、こつこつとよくやってくれた。これはわたしからのほうびだ。受け取っておくれ」
と言って十五両のお金を藤助の前におきました。
ただただびっくりしていた藤助老人の目から涙があふれてきて、彼はそのお金を押しいただきました。
 
 
桜町仕法は着々と進み、三つの村は生き生きと姿を変えていきました。もはや桜町にこわれた家も荒れた田もありません。青々とした水田がひろがっておりました。
 
 
つづく
 
財団法人新教育者連盟 「二宮金次郎」より
 
 
 
 

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