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服部家たてなおし
 
金次郎は、友吉と力を合わせて働きました。
新しい土地を開墾したり、小田原の城下町に働きに出たお金で、父が以前手放した田も買いもどしました。自分たちで耕しきれない田は小作にだしましたので、毎年小作米も入ってきます。金次郎の田はだんだん増えていき、村でも大地主といわれるほどになりました。
 
大地主になっても、金次郎は小田原に働きに行きました。おもしろくて勉強になることが多かったからです。商人の家では、やりくりのたくみさ、物を無駄にせず生かして使う節約のしかたを、じっくりと自分のものにしました。
 
次に、金次郎は小田原藩の家老である服部十郎兵衛の屋敷で若党づとめをすることになりました。服部家の息子たちが藩の塾に通う送り迎えをするのが仕事です。教場の窓の下で、もれきこえてくる講義に一心に耳をすまし、学ぶことのできるのがよろこびでした。そして息子たちが復習をしている時、教えてあげたりしました。そんな金次郎は、だんだんみんなの相談ごとを受けることが多くなってきます。
 
その頃服部家では、家の借金が増えるばかりなのに困り果てていました。
「このままではお家がつぶれてしまう。どうしたらよいだろうか」
きりもりの責任者である山本英左衛門は、自分の生家をみごとに再興した金次郎に、たびたび助けを求めにきます。金次郎も、お金がないのに派手なこと、無駄なことをする武家の生活ぶりには首をかしげたくなる気持ちでしたので、親身になって話をきいてあげました。
 
そのうち、金次郎は栢山(かやま)にもどることになりました。その時、彼は服部家のこれまでの帳簿をすっかり調べ、たてなおしについての考えを書いて英左衡門に渡してきたのです。二年後、主人の服部十郎兵衛は、これは是非、金次郎にたてなおしをやってもらいたいと、使いのものを遣(つか)わして依頼しました。
 
『考えを述べることはできても、千二百石のご家老さまの家の財政たてなおしが、百姓である自分にできるものではない……』そう考えて金次郎は断りました。しかし十郎兵衛はあきらめません。二度も三度も使者を遣します。
『ご家老さまのお家がたちゆかなくなるということは、お殿さまも悲しまれることだ……』と金次郎は思いました。そして、「ご主人さまをはじめ、皆さまがわたくしの申しあげるとおりにしてくださるならば、おひきうけしましょう」といいました。
 
 
つづく
 
財団法人新教育者連盟「二宮金次郎」より
 
 

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