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釈尊出興(しゅっこう)の最大目的は
 (仏典・聖書より観たる宇宙の実相)
 
釈尊が此の世に出興せられた最大の目的は宇宙の実相が、蓮華の花びらの如く、中心に巣(す)(統(す)・.枢(す))があって、万象悉(ことごと)くその巣より出で巣に還るー即ち宇宙の実相は、中心に“ス”即ちスメラミコト在(ましま)して万象悉くそれより発しそれに還るーその実相を説き明かさんがために出興せられたのが釈尊がこの世に出興された目的であり使命であると私は思うのであります。
 
 
何故かというと、釈尊が六年苦行の後、山を降りて尼連禅河(にれんぜんが)の畔(ほとり)の菩提樹の下で静座瞑想してサトリを開かれて、第二七日目(だいになぬかめ)にはじめて、その悟つた真理を、何の方便なくそのまま説教せられたのが「華厳経(けごんきょう)」であるからであります。この「華厳経」の題目は、詳しく謂えば『大方広仏華厳経(だいほうこうぶつけごんきょう)』でありまして、このお経の題目を解釈すれば、“大方広仏“即ち凡(あら)ゆる方角に無限に広がっている如来が大方広仏であり、その普遍的如来の生命の展開が大宇宙であり、その構図は蓮華の如く中心に”ス“があって、万物悉くその”ス”より発しそこに還って行くというのであります。
 
 
ところが釈尊が『大方広仏華厳経』をお説きになって、この宇宙に内在する実在の構図を示されたけれども、普賢菩薩ひとりにだけその真意がわかつただけで、他の聴衆にはその真意がわからなかった。そこで釈尊はこの「華厳経」を竜宮へ秘めて置いて、道徳修養を主とするような『阿含経』のようなお経をお説きになつていて、それ以後は久しく宇宙構図の奏を顕わさなかったのであります。
 
 
『大方広仏華厳経』が竜宮に秘められていたということには、深い象徴的意義があるのであります。竜宮というのは、あの浦島太郎の神話で御存知の竜宮であります。竜宮とは浜の砂を掘って、三池炭鉱のように深く深く海の底へ沈んで往つたら、そこが竜宮というようなお伽噺ではないのであります。竜宮とは海の底であります。一切のものを「生(う)み出す根底(こんてい)」の世界「生(う)みの底(そこ)」のことであります。換言すれば創造の本源世界のことであります。創造の本源世界は、時間空間以前の世界でありますから、超時間の世界です。だから浦島太郎が竜宮海に往っていた間は年が寄らなかったという神話になっているのであります。
 
つづく
 
谷口雅春著 「私の日本憲法論」より
 
 
 

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