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つづき “死の衝動”をどうするか
自動延長か、再延長か、新しい軍事条約の締結かどれもこれも抵抗があるだろう。そこでオレは考えているんだ。ナショナリズムの要求も満たし、国防の実効も失わない方法としては、自衛隊を二つに分けるしかないと、はっきり考えている。
一つは国土防衛軍だ。陸上自衛隊の九割、航空自衛隊の一割、海上自衛隊の四割を安保条約とは全く関係のない、いかなる外国とも手を結ばない、われわれ国民だけの軍隊として確保し、これに志願による民兵を加えて編制する。
いま一つは国連警察予傭軍だ。陸上一割、航空九割、海上六割を投入し、組織から征服まで前者とは違う。いかなる場合にも国連と共同して行動するのであって、日本だけを守るためではない国際平和のための軍隊なんだ。これが安保条約とリンクする。
国土防衛軍は間接侵略に対処するのが任務だ。新憲法によって海外派兵はない。われわれが、われわれを守るためにつくる軍隊だ。アメリカのための軍隊じゃない。だからこそ国民はこれを支持して、共に戦う覚悟でいなきゃいかん。
現在の十六万ぐらいの自衛隊で国を守れるわけがないんで、場合によつちゃ百万の人間がその気にならないと守れない。そしてふだんから国民は軍事協力する。
どういうことかというと、その上を二十トンしか走れないような高速道路をつくらないで、戦車の一個大隊が走れるようなものをつくるとか、新宿副都心の地下道はシエルター(対空避難)基準を入れてつくるとか:…・要はふだんの平和な生活の中にも、万一のことを考えてやることなんだ。
いつもは地下道に洋裁店が開かれ、女の子がプレタポルテを買いにくるが、一朝コトあれば地下道がシェルターに化する。それがスウェーデンあたりの普通の考え方だよ。東京都の建築基準にシェルター基準なんかありゃあしないよ。
いざとなったときにも何とかスマイルで、ニコニコ笑っているのかね。
つづく
三島由紀夫著 「若きサムライのために」
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2012年09月15日
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