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つづき 二十一世紀のにない手を育てる
自民党はそういうお考えで学生を扱っているんだったらだめですよ。学生には、片一方じゃ友だちの保釈金のためにカンパを募りながらやろうというものがいて、一方は自民党から金を出してもらってごちそうを食べているんじゃ、これは青年というものをやっぱり引きずってゆけないと思うんですね。青年は、向うが悲壮感を持っていればこっちも悲壮感を持つ、向うが戦闘意欲があればこっちも戦闘意欲を持たせなければね、多少危険でもそうしなければついてゆきませんね。
それとまた、権力ないし法秩序に対する尊敬の念ですが、これは市民になって学ぶものだと思う。学生が本来市民ならいいんですが、日本には、昔から市民としての学生という考え方が伝統的にない。つまり学生というのは反権カで、反体制で、自分の教養体系でもって権力機構の欠点を是正して真理を追求するというのが東京大学の昔からの伝統ですね。この伝統が残っておりますから学生が権力機構に疑いを持つのはあたりまえですね。しかも、日本の権カ機構は権カ機構としての威厳があるか。そして、こう申し上げちゃ失礼ですが、この間の国会の、いろいろな国防間題なんかの答弁を見ていても、自民党自体、日本の国防について、干万人といえどもわれ行かんという強烈な自負があるのかそれがあればおれたちは死んでもついて行くけれども、それがあいまいなところでどうしてついて行けるか。
それからナショナリズムの問題でも、われわれの政府がもし南ベトナム政府みたいになってしまったらどうしようかアメリカと手を結んで、われわれが集団安全保障で行くのはいいけれども、万が一、アメリカにどこかと手を結ばれちゃって取り残されて、南ベトナム政府の二の舞が起こるんだったらどうしようかと。そのために、われわれのほんとうの自立の精神を満足させてくれるものがあるだろうか、これは学生の当然持つ疑問で、右も左も問わない、
それを満足させ、安心させてやって、そうだ、おまえの行く道は三派じゃないんだが、おまえの行く道はほんとうの日本の自立の道で、おまえが日本を背負うんだという自信を与えられるかどうか。ただ明るくほがらかに法秩序を守り、市民として正しい道徳でということでは、青年はついて行きません、青年は破壊力がからだの中に充満しているんですから。福田さんがお若いときのことをお考えになれば十分おわかりになるでしょう。そこを何とかキヤツチしないと、青年というものはついて行かないと思いますね。
福田 だから、一般の学生に対する考え方というものをよほど掘り下げてみる必要があるんですね。ほんとうに次代のにない手としてのたくましい精神、たくましい体格を持つように仕上げて行く方向で、思い切ったくふうをこらして行く必要があるんじゃないか…。
三島由紀夫著「若きサムライのために」
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