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憲法復原の宣言者は天皇が最適なリとの説
占領憲法がたとい、本来無効なるものであるとしても、「各人勝手に自己の所信のままに、無効の現行憲法に従うことをやめて、これに背反し、これを蹂躙してよい」ということになれば、「国を挙げて収拾すべからざる無政府的混乱に陥る外はない」「その手段は何かといえば、先ず公の権威による無効の確認が必要とせられる。この確認によって、初めて無効の法が無効となり、正当の憲法が正当の地位に復帰することになる」と井上氏は言うのである。ではその「公の権威」とは誰をもって権威の代表となすべきかと言えば、井上氏は、
「かかる無効確認を為すべき公の権威者は単なる立法府とか行政府とか裁判所とか、凡そ他と互角に対立するようなものでなくして、一切の対立を絶し、一切を超越する至尊者を要することになるのである。…日本では、実質的にかかる権威者がある。しかもそれがそのまま成文憲法の文面にも現れておる。帝国憲法は勿論であるが、日本国憲法の第一条の規定にも残されておる。憲法の無効確認者が天皇にして天皇に限られていることはいうまでもない」と言っている。
憲法無効確認後の諸問題
理論的にはそうであり、帝国憲法は欽定憲法であり発議者が天皇であるのは勿論であるが、日本国憲法も帝国憲法七十三条の規定をもってそれが改正せられた形をもっているのであるから、その無効宣言も天皇が為されるべきものではある。併し、そのような形をとるということは、天皇が自由に恣意(しい)をもってほしいままに憲法を改廃する専制君主の如き観念を国民に与えるおそれがあるので、私は鳩山首相(元民主党鳩山首相の祖父)に首相みずから「日本国憲法の無効、帝国憲法の復原」を建言したのであった。ところが、井上氏もこの問題にも触れていて、「天皇には常に輔翼機関が随伴するのであって、その輔翼機関をして無効確認を行わしめると、事態を円滑に処理できるであろう」意味のことを述べている。ところでその無効確認を行う天皇の輔翼機関とは一体誰であるか。現行の日本国憲法は無効であるから、無効なる憲法の下に成立している輔翼機関が、現行憲法無効確認を行い得る実権を有するであろうかという疑間が生ずるのである。井上氏はこれに対して、「本来無効のものであるに拘らず、差当り、実定法の世界に於て有効の推定を受くべき地位にあるものは、現行憲法下に於ける諸機関であり」「これまで無効の法を無効とも知らずに迂闊(うかつ)に過して来たことを詫び無効を無効と見るの聡明と、これを確認する勇気とをもって、無効者が無効なりと自己確認することにすればよいのだ」という意味(意味というのは、その通りの文章ではない)のことを述べているのである。つまり輔翼大臣が無効を確認し、無効宣言の詔書煥発を天皇に奏請し、その詔書に輔翼大臣が副署すればよい訳である。
谷口雅春著 「私の日本憲法論」より
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2013年01月13日
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