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ソ連(ロシア)は決して平和勢力ではない
昭和四十四年
左翼の学生やマルクス主義者は、「アメリカは戦争勢力であり、ソ連や中共は平和勢力であるから、アメリカと手をつないでいると、戦争に巻き込まれるおそれがある。だから、アメリカには日本から還ってもらって、日本は独立国となり、ソ連中共という隣国と仲よくして中立条約を結んでおいたら、日本は永久に平和で他国の侵略のおそれはない」ーなどという説をなすのであり、それを信ぜしめられている国民も多数あるけれども、それは全く事実に符合しない宣伝であるのである。日本がアメリカの空軍に広島、長崎を爆撃されて「日本弱し、抵抗力なし」と見たときに、ソ連が、日ソ中立条約を破って一方的に満洲、朝鮮、樺太に侵入して来たのであった。そのようなソ連国の性格を私たちは忘れてはならないのである。そして昭和二十年八月十五日、日本がポツダム宣言を受諾して相互停戦状態になってからも、ソ連はその三日後に千島に侵入し、エトロフ、クナシリ、ハボマイ、シコタンを占領して、未だにそれを返還しようとしないばかりか、日本を交えていないヤルタ会談の協定で、それらの日本の諸島はソ連が貰う約束をしておったので、その問題は解決ずみだといって、日本に対して「潜在主権」さえも認めようとしないのである。このように、まるで強盗の贓品(ぞうひん)分け前分配みたいなことを平気で主張している国がソ連なのである。それを返還してもらおうと思っても、このような、「国際紛争解決の手段としては武力を決して用いない」と規定している日本国憲法がある限り、ソ連のように武器をもつ強盗国の主張に易々諾々と従うほかに道はないのである。このようにソ連は決して、今のところ平和勢力ではないのである。それは最近に於いてもチェコの自由化を妨げるために戦車をもってチェコに侵入して威嚇(いかく)したのを見てもわかるのである。
戦争直後、ハボマイ、シコタンを占領したソ連が、北海道に進駐しなかったのはアメリカ軍がそれを許さなかったからであり、もう一つは中華民国政庵の蒋介石総統が、「中国が九州に駐屯すれば、ソ連の北海道進駐を阻止する正当な理由がなくなる」といって、みずから九州駐屯を遠慮して下さったお蔭なのである。
もし蒋介石総統がこの深慮遠謀ある行動に出てくれていなかったら、日本はソ連、アメリカ、中国に三分割せられていたのである。われわれが蒋介石総統の国府に無限の感謝を感ずる所以である。
谷口雅春著 「私の日本憲法論」より
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