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超高峰を踏んで立つ生き甲斐
昭和四十四年
日本の学生騒乱のテキスト・ブック『日本革命の根本問題』について、田中卓氏は『国家興亡の岐路』に次のように説明されている。
「著者は太田竜となっていますが、太田はペンネームで、ほんとうは栗原登一という人物です。一九六三年の五月に初版が出たのですが、それが全学連の過激な指導者の愛読書、いわば"バイブル"になっているのです。最初の書き出しに『日本革命は武カ革命である。わが国のプロレタリア革命は平和的に、議会を通じて実現することはできない。それは必ず武力を以て、議会の外で実現されるのである』とあります。はじめから武カで革命をやるんだと言い、つぎにこの武カをどのようにして手に入れるかということが書いてあります。
そして革命を行なうときには、まず第一に自衛隊を内部からマヒさせる。第二には全国の主要街道をバリケードを築いて封鎖する。第三には首都東京における市街戦を展開する。その次には自分が働いている工場経営を占領する。その次には警察権カの中枢を破壊する。最後にマスコミ機関を占拠し革命権カの掌握下におくーこういう順序で革命のやり方が詳
しく書かれているのです」
はたしてこの通り、うまく実行できるかどうかは疑わしいが、こういう戦略を詳細に書いて示されると、「父コンブレックス」を十二年間、小、中、高校と、日教組の〃父母を恨む教育"で養われて来た大学生には、“父代表“として立つ”権カ機構“または”国家権カ“を破壊する冒険にとりかかって見たくなるのは自然の順序なのである。それはあたかも、冬山の懸崖(けんがい)に、ピッケルとザイルを頼りに、自分の生命をかけて登攀(とはん)を試みる冒険のスリルに似たものを味わうに相違ないのである。「そんな危険な山登りをするな」といって父兄が止めても、”高い権カ機構“を踏みにじって立つ試みは、超高峰に登るのと同じで、青年にとって、ある種の生き甲斐となるのである。
谷口雅春著 「私の日本憲法論」より
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