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「家」の制度を復活せよ
昭和二十七年
占領中にアメリカが与えたところの施策の中には表面は日本人に民主主義と云う好餌を与え、恩恵を与えているかのように見せて懐柔しながら、その内容は被占領国を弱体化して米国の永久支配の下にあらしめようと意図したものが続々含まれていたことを知らなければならない。
一方政治犯を釈放して共産党の自由活動を便にしながら野坂参三を愛国者と称して中国からアメリカの飛行機に乗せて日本に上陸せしめ日比谷公園に所謂る愛国者の講演を行わしめ、ラジオは勿論、大新聞を動員して一頁(ページ)大にわたる記事を書かしめ、週刊何々、サンデー何々を動員して「野坂参三特集号」を発行させるなど、共産党こそ真の愛国者であり、真の民主主義者であり、少くとも真の人道主義者であると云う印象を、日本国民の大多数に与えたのである。それが現在、日本の治安維持に一大障害を与えていることは否むことは出来ないのである。頭脳の単純なる学生層には特にこの印象は深くきざまれていて最近の学生の集団的反治安的行動の如きは、アメリカの失政の齎した好ましからざる成果だと云うことが出来るのである。
占領下にある被占領国に一面恩恵を与えていると見せかけながら、被占領国を骨抜きにして永久に属領の如き状態にならしむるためにとられたるもう一つの占領政策は、日本国家の強力なる骨組であった所の天皇を中心とする日本国民の大家族的信念の破壊である。天皇は神格から引卸され人民と平等の格にまで引落されたのは人間平等の民主主義的立場からは合理としても、家督相続を廃止して家は一代限りとしたのは、日本国民を家系的歴史なき浮浪児として、歴史的連綿継続のうちの「今」に立つ一員として「家」を護るー更に進んでは「国家」を護ろうとする-愛国精神を失わしめることになったのである。
今、アメリカがその御都合政策で日本を東洋の防壁に仕立てるために日本に国防軍を組織せしめようと願いながらも、最も困っているのは国防軍が何を目標として「国」を護るか、其の目標が家なく、歴史なく、神格ある天皇なく、浮浪児国民と云う観念にまで教育されて来たところの日本国民の大多数にとっては、生命を賭してまで護るべき「国」はない感じがするのであって、その国の支配者がコスイギンであろうが、ジヨンソンであろうが、毛沢東であろうがそんなことはどうでも好い。「国」はただ人間の住む場所であって、「国」なる理念は破壊されているのであるから、成るべく兵隊になどとってくれず、高い租税などを誅求せず、平和に安楽にくらさしてくれる統治者であれば好いと云うような気骨の抜けた状態になっているのであって、いつ国防軍に編成替されるかも知れない自衛隊に日本の若い人達があまり興味を持たないと云うことは、この辺の消息を物語るものだと云うことが出来るのである。
谷口雅春著「私の日本憲法論」
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2013年03月12日
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